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竹内  謙彰先生(産業社会学部) 

    竹内  謙彰先生の研究概要
 
 
 研究の専門領域は発達心理学です。人が時間とともに変わっていくという,一見「当たり前」のことの中に不思議を感じて,この分野の研究を続けています。現在は発達障害,その中でも特に自閉症スペクトラム障害の子どもたちや青年・成人の発達的特徴やニーズを明らかにするとともに,どのような支援が可能かを考えることが主たる研究テーマです。また,広く人間の発達をもたらす諸条件についても関心を持っています。
「自分の専門領域とその周辺に関する本」
『発達障害のいま』
   杉山登志郎著(講談社現代新書、2011年)

 発達障害には遺伝要因が関係しますが,そこに環境要因がかけ合わさって発達障害の特徴が現れます。環境要因の中で最も決定的な影響を与えるのがトラウマです。著者はまた,統合失調症と診断された人の中にかなりの割合で自閉症スペクトラム障害者が含まれているのではないかと論じています。2011年7月発行時点における発達障害の研究と実践に関わる最新の情報が盛り込まれています。


『つながりの作法 : 同じでもなく違うでもなく』
   綾屋紗月, 熊谷晋一郎著(生活人新書 、2010年)

 アスペルガー症候群と脳性まひの障害をそれぞれ持つ著者二人が当事者研究を論じています。マジョリティとマイノリティの関係について,「研究の論理」(マイノリティの中でも多様性を認め合う第三世代)を導入することで,本当の意味で「わたし」を立ちあげられる可能性ができるという主張は傾聴に値します。


『変光星 : 自閉の少女に見えていた世界』
   森口奈緒美著(花風社、2004年)

 日本ではじめて高機能自閉症の当事者が書き下ろした自伝的著作です。特別支援教育が始まるかなり以前,まだ高機能自閉症の存在が知られていなかった時代には,その当事者にとって学校がいかに過ごしにくい場所だったかがわかります。今の教育に活かせる内容を含んでいると思います。


『生涯発達のダイナミクス : 知の多様性生きかたの可塑性』
   鈴木忠著(東京大学出版会、2008年)

 人間の発達の捉え方に関して,「生涯発達」の観点から興味深い論点を提示しています。たとえば,ペーパーテストで計ることが難しいけれども,確かに存在する「英知」のようなものは,どのようにして獲得されるのかを論じています。心理学に関する予備知識は必要ですが,読んでみる価値のある本です。


『オオカミ少女はいなかった : 心理学の神話をめぐる冒険』
   鈴木光太郎著(新曜社、2008年)

 「狼に育てられた少女」の話は,人が育つための人間的な環境の大切さを説くための「証拠」として,今でも取りあげられることがありますが,実は狼に育てられた少女などいなかったのです。何度でもよみがえる心理学にまつわるいくつかの「神話」をとりあげ,丁寧に証拠を挙げて否定しています。


『デカルトの誤り : 情動、理性、人間の脳』
   アントニオ・R・ダマシオ著 (ちくま学芸文庫 、2010年)

 かつて『生存する脳』という邦題で翻訳出版されたものの改訳版。私たちが合理的に意思決定を行っていると思っていても,実際にはその時の身体状態と結びついた情動のはたらきが不可欠であるというソマティック・マーカー仮説を,多くの証拠とともに提案しています。


「世界をどう見るかという『教養』に関する本」
『銃・病原菌・鉄 : 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』
   ジャレド・ダイアモンド著(草思社、2000年)

 なぜ人間は,五つの大陸で異なる発展を遂げたのか?かつてであれば,人種間の優劣で説明されていたでしょう。著者はこの問いに対して,自然地理学的な観点から説明を行っていきます。人間の歴史を扱っていて,これほどおもしろい本は初めてでした。


『ヒューマン : なぜヒトは人間になれたのか』
   NHKスペシャル取材班著(角川書店、2012年)

 NHKスペシャル取材班が,「人間とは何か」という問いに挑んで番組を作りあげました。本書はそれに背景情報なども加えてまとめたものです。人間らしさがどのように形成されたかを最近の研究成果を駆使しつつ,「分かち合う心」「飛び道具の発明」「農耕革命」「お金の成立」の4つのテーマから追究しています。


『ふしぎなふしぎな子どもの物語 : なぜ成長を描かなくなったのか?』
   ひこ・田中著(光文社新書、2011年)

 テレビゲームからテレビヒーロー,アニメ,マンガ,児童文学に至るまでの「子どもの物語」を広く見渡して,かつての主流であった成長物語が消滅しつつあることを示した労作です。では「子どもの物語」はこれからどうなるのか?著者は答えを示していませんが,少なくとも私には希望を語る物語が子どもには必要に思えます。


『教育問題はなぜまちがって語られるのか? : 「わかったつもり」からの脱却』
   広田照幸, 伊藤茂樹著(日本図書センター、2010年)

 「少年犯罪は凶悪化している」,「親子関係は希薄化している」等々,教育にかかわる根拠のない言説が横行しています。わかったように語られるところに教育問題の怖さがあります。地味ではあっても,丁寧に事実を確認することや論理的に考えていくことが大切であることを説いています。


『重力とは何か : アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』
   大栗博司著(幻冬舎新書、2012年)

 宇宙物理学の入門書です。かなり難しい問題を扱いながら,数式はほとんど出てきません。なので,様々な理論の深い意味までは分かりませんが,宇宙を支配する物理的な力の謎を解明しようとした多くの物理学者の発見の意義はわかります。


『「科学的思考」のレッスン : 学校で教えてくれないサイエンス』
   戸田山和久著(NHK出版新書、2011年)

 原発事故のあと,多くの人が科学技術に対する不信の念を強めているようです。しかし,科学技術にかかわる意思決定に際して,どの選択肢をとるべきか判断するためには,やはり科学的な思考が必要です。市民が科学リテラシーを「速攻」で獲得することを目指した本です。


『未曾有と想定外 : 東日本大震災に学ぶ』
   畑村洋太郎著(講談社現代新書、2011年)

 失敗学の権威にして「原発事故調査・検証委員会」委員長になった畑村洋太郎氏が,東日本大震災から何を学ぶべきかを大急ぎでまとめた本。将来起こりうる問題に対処するためには想定をしなければならないが,想定していない状態にも対処しうるかどうかが,大規模災害の時には問われるのです。

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