
わたしたちは病気や障害、老いなどによって、多くの人とは身体の状況が異なるために、周りの人々や社会からの情報が得にくかったり、自分からメッセージを伝えにくかったりすることがあります。
たとえばそんなとき、パソコンなどのITを使って自分を伝える。あるいは本のデータを機械に読み上げさせて音で読む。キーボードやマウスが扱いにくければ、別の方法でパソコンを動かせるようなスイッチを使う。そのスイッチが身体に合わなくなったら、合うスイッチを手作りする。こんなふうに、それぞれの暮らしのスタイルになじむ技法を、ローテクとハイテクを臨機応変に組み合わせて工夫をしながら暮らしている人々がいます。
「生存学」創成拠点では、「II.学問の組換――当事者・支援者による学問形成の場と回路の形成」において情報を共有したり障害者や患者が研究の担い手として活動する場と方法について研究しています。そのなかで、当事者の知恵に根ざした研究開発の仕組みの開発や、専門家との橋渡しにも取り組んでいます。生存学ITプロジェクトはそのひとつです。
今の世界の中では何かと不自由な身体で試行錯誤しながら、様々な技や道具を生み出し、人々や社会とつながっていく――そんな生活の現場から構想する技術や技術と人々の関わりについて考えます。