2009年度 研究会一覧
間文化現象学研究会
2009年度の総括
2009年度には、関係者の尽力によって、本研究会および科研費プロジェクトを基礎とする形で本学内に「間文化現象学研究センター」が設立された。これと連携して、本研究会の活動は大きな発展を見た。
10月には、科研費プロジェクトの研究協力者である木村敏、新田義弘両氏による「間文化現象学研究センター設立記念講演会」を、また、11月にはベルンハルト・ヴァルデンフェルス(ドイツ)、クラウス・ヘルト(ドイツ)の両氏による講演会を開くことができた。
他方、順序は前後するが、6月にはハヨ・クロンバッハ氏(イギリス)のゼミナール、11月にはゲルノート・ベーメ氏(ドイツ)の講演会が開かれた。
12月には、これらの成果の一部が『現代思想』の特集号(青土社、12月)に掲載された。
2010年1月には、今年度の研究活動の中心として、二つの企画(ワークショップとシンポジウム)が実現された。シンポジウムのテーマは「遭遇」――当初設定された「離合」の概念の内容を保持しつつも、よりわかりやすいものとして「遭遇」の語が選ばれた――であり、文化と文化の出会いのもつ問題性が扱われた。ここでは、リャンカン・ニー(中国)、カレル・ノヴォトニー(チェコ)、ローズマリー・ラーナー(ペルー)、アンソニー・スタインボック(アメリカ)の各氏に加えて、科研費プロジェクト・メンバーの田口茂、青柳雅文、谷徹の3名が提題を行い、活発な議論を繰り広げた。その際、身体、無意識、ヨーロッパ、理性、信頼概念など、多くの問題事象が発掘され、新たな光が当てられた。
これらの講演会などは公開され、一般の聴衆も参加したが、このことは間文化性という問題への関心を広げることにもなった。
研究代表者:谷 徹(文学部教授)
開催日時 | 【第2回シンポジウム】 統一テーマ「遭遇」 2010年1月23日(土)・1月24日(日) 衣笠キャンパス 創思館カンファレンスルーム |
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演題・ 報告者(所属) |
【1月23日(土) プログラム】 10:00~11:30 “Ālaya-Urstiftung und Genesis des Bewusstseins - Ein ergänzender Vergleich der Forschungen zur Längsintentionalität in Yogācāra-Buddhismus und Phänomenologie” リャンカン・ニーLiangkang Ni(中山大学教授) <昼食休憩> 13:00~14:30 “Interkulturelle Vernunft. Eine Vorstudie im Anschluss an Husserl ”(仮題) 田口茂(山形大学准教授) 14:50~16:20 “Europa und Nacheuropa in der philosophischen Reflexion Jan Patočkas” カレル・ノヴォトニーKarel Novotny(プラハ・カレル大学准教授) 16:40~18:10 “Kultur - Leben - Welt” 谷徹(立命館大学教授) 【1月24日(日) プログラム】 10:00~11:30 “Administration and Divergence(管理と逸脱)” 青柳雅文(立命館大学非常勤講師) <昼食休憩> 14:00~15:30 “Cultural and Ideological Encounters and Disencounters. Violence and Reconciliation under a Phenomenological Perspective” ローズマリー・ラーナーRosemary R.P. Lerner(ペルー・ポンティシア・カトリック大学教授) 15:50~17:20 “Being Bound to Others in Trust: A Basis for Intercultural Experience” アンソニー・スタインボックAnthony J. Steinbock(南イリノイ大学教授) 17:30~18:30 全体討論 |
司会 | 和田 渡(阪南大学教授) |
※当日は邦訳原稿を配布する予定です。 ※講演会終了後(23日)に懇親会を開く予定です。 |
開催日時 | 【ワークショップ:“Die Idee der Phänomenologie ”und Post-Husserlianer】 2010年1月22日(金)16:20~20:30 衣笠キャンパス 学而館2階 第2研究会室 |
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演題・ 報告者(所属) |
“Das Problem der Gegebenheit des Erscheinens Jan Patočkas und Michel Henrys Konzept der Phänomenalität” 「現出することの所与性という問題―現象性についてのヤン・パトチカとミッシェル・アンリの構想」 カレル・ノヴォトニー “Selbstgegebenheit und“Erleben des Erlebnisses””(仮題) 「自己所与性と「体験を体験すること」について」 池田 裕輔 |
司会・通訳 | 池田 裕輔(立命館大学文学研究科博士前期課程) |
※当日は邦訳原稿を配布する予定です。 ※講演会終了後に懇親会を開く予定です。 |
開催日時 | 2009年11月17日(火)16:20~ 創思館カンファレンスルーム |
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演 題 | 「ヨーロッパの運命としての理念化 Idealisierung als Schicksal Europas」 |
報告者(所属) | クラウス・ヘルトKlaus Held(ヴッパタール大学) <略歴>1936年生。ランドクレーベの助手を務める。1971年から1974年までアーヘン工科大学講師・教授。1974年からヴッパタール大学哲学科正教授。1986年から西ドイツ現象学会委員長。ご著書として、『20世紀の扉を開いた哲学――フッサール現象学入門』(九州大学出版会)、『生き生きした現在――時間と自己の現象学』(北斗出版)、『現象学の最前線――古代ギリシア哲学・政治・世界と文化――』(晃洋書房)他多数。 |
※当日は邦訳原稿を配布する予定です。 ※講演会終了後に懇親会を開く予定です。 |
開催日時 | 2009年11月16日(月)16:20~ 創思館カンファレンスルーム |
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演 題 | 「間文化性への現象学的諸パースペクティブ Phänomenologische Perspektiven der Interkulturalität」 |
報告者(所属) | ベルンハルト・ヴァルデンフェルスBernhard Waldenfels(ボーフム・ルール大学) <略歴>1934年生。1994年から1996年までドイツ現象学会会長。1976年から1999年までボーフム・ルール大学教授。ご著書として、『フランスの現象学』(法政大学出版局)、『行動の空間』(白水社)、『講義・身体の現象学――身体という自己』(知泉書館)他多数。編著として『現象学とマルクス主義Ⅰ・Ⅱ』(白水社)がある。 |
共 催 | 東京大学COE「共生のための国際哲学教育研究センター」 |
※当日は邦訳原稿を配布する予定です。 ※講演会終了後に懇親会を開く予定です。 |
人はみなそれぞれの文化によって規定されているからこそ、異文化との関わりは、魅力的である一方、多くの摩擦を生みます。これは古くからの問題でありながら、現在ではますます大きな問題となってきています。この「文化と文化の関わり」をめぐる諸問題を「現象学」という研究方向から解明していくために、本年4月、文化都市京都の立命館大学に「間文化現象学研究センター」が創設されました。これを記念して、この研究方向の泰斗お二人を招いて、講演会を開きます。ぜひご参加ください。 |
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開催日時 | 【間文化現象学研究センター設立記念講演】 2009年10月22日(木)14:40~ 末川記念会館 第3会議室 |
テーマ・報告者 | 14:40~16:10 「〈あいだ〉としての文化――文化と文化の〈あいだ〉」 木村 敏(京都大学名誉教授) 16:20~17:50 「現象学と解釈学の新たな交わり ―超越論的媒体性の間文化論的展開について」 新田 義弘(東洋大学名誉教授) |
報告者紹介 | <木村敏先生略歴> 1931年生。現在、京都大学名誉教授、河合文化教育研究所主任研究員。ご著書として、『関係としての自己』(みすず書房)『木村敏著作集』(弘文堂)『自己・あいだ・時間』(ちくま学芸文庫)他多数 <新田義弘先生略歴> 1929年生。現在、東洋大学名誉教授。ご著書として、『世界と生命―媒体性の現象学へ』(青土社)『現象学と解釈学』(ちくま学芸文庫)『現象学とは何か』(講談社学術文庫)他多数。 |
講演会終了後に懇親会を開く予定です。 |
開催日時 | 2009年10月23日(金)16:20~ 末川記念会館 第3会議室 |
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テーマ | “Phänomenologie in pragmaticher Hinsicht” |
報告者(所属) | ゲルノート・ベーメGernot Böhme(ダルムシュタット工科大学)教授略歴 1937年生。現在、ダルムシュタット工科大学哲学科教授。ご著書として、『雰囲気の美学』(晃洋書房)『感覚学としての美学』(勁草書房)他多数。 |
司会/通訳 | 高橋 義人(立命館大学客員教授・京都大学名誉教授) |
※<ドイツ語原稿><邦訳原稿>はございません。 ドイツ語での講演形式となります。 ※講演会終了後に懇親会を開く予定です。 |
開催日時 | 【ハヨ・クロンバッハ教授講演会】 2009年6月4日(木)18:00~ 末川記念会館 第3会議室 |
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テーマ | “ Phenomenological Responses to the Philosophy of Life” |
報告者(所属) | ハヨ・クロンバッハ(Hayo Krombach)教授略歴 1945年生。現在ロンドン政治経済科学大学(The London School of Economics and Political Sceienc)研究員。主著に『核時代のヘーゲル』(法政大学出版局 1998年)、主要論文に「フッサールと歴史の現象学」(専修人文論集66 2000年)等多数。 |
※<通訳><英語原稿><邦訳原稿>はございません。英語での講義形式となります。 ※講演会終了後に懇親会を開く予定です。 | |
アクセス | ●立命館大学衣笠キャンパス ●キャンパスマップ (※講演会会場である「末川記念会館」はキャンパスマップ上の22番となります。) |
A Conference of Inter-cultural Phenomenology “ Phenomenological Responses to the Philosophy of Life”. |
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Date | June 4th (Thu) from 6:00PM to 7:30 PM |
Place | Ritsumeikan University, Kinugasa Campus, Suekawa Memorial Hall, the 3rd conference room |
Lecturer | Dr. Hayo Krombach (The London School of Economics and Political Science) |
The lecture will be given in English. | |
Access to Ritsumeikan University This Lecture is sponsored by The Center of Inter-Cultural Phenomenology of Ritsumeikan University |