立命館大学人文科学研究所は、グローバリズムが、政治や経済、文化や社会の諸領域に生み出している諸問題を理論的に解明し続けています。

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2004年度秋季学術シンポジウム

人文科学研究所主催
「秋季学術シンポジウム」について

2004年11月8日
本企画推進責任者 人文科学研究所 所長 中島 茂樹

ポスト冷戦世界で進行するグローバリゼーションの下で、国家は、対外的に主権を有しており、国内的にはヒエラルヒー的従属関係によって特徴づけられており、議会によって制定された法律を基礎にして社会の発展を形づくる、というイメージはますます過去のものになっているかのようである。国家は、グローバルな行動範囲をもつ独自の行為主体として確固とした地位を占めるグローバル企業に、より恒常的に、より直接的に左右されるようになっており、彼らの利害は国家的政策の構想・立案・決定プロセスにおいて決定的な影響を及ぼすに至っている。こうした文脈においては、国家の「私化」(Privatisierung)・「社会化」(Vergesellschaftung)という側面と特殊利益の担い手(本来は、私的なるもの)の「国家化」という側面が、ますます顕著になっているといえよう。

このようにして、国家の分権化、国家の管轄能力と秩序維持権限の縮小、国家装置の分裂、私的制度との境界の消滅、総じて「国民国家の相対化」ということがしばしば語られるが、しかし、問題はそれほど単純ではない。というのは、グローバリゼーションの条件の下でも、「物理的暴力の独占」(マックス・ヴェーバー)に支えられた、グローバル資本の「権利」の保証人としての国民国家の役割はますますその重要性を増し、世界市場を志向する産業政策、研究政策、テクノロジー政策、技術革新政策が国家活動の不可欠の構成要素になっているからである。こうした文脈において重要なことは、経済的グローバリゼーションが、事実上、国民国家のある種の構成要素を強化してきたということである。

人文・社会科学が直面するこのような国家論上の課題に対処するために、人文科学研究所は、2004年11月27日に、産業社会学部がその40周年記念学術企画の講演者として招聘したBob Jessopランカスター大学教授およびJoachim Hirschフランクフルト大学教授を報告者に招いて、本学のみならず関西の研究者の参加を得て、国際学術シンポジウムを開催する。このような試みは、立命館が目指す世界的レベルでの研究とそれを通しての国際化の推進に大きく寄与するものと考える。

キャサリン・ギャラガー教授 マーティン・ジェイ教授
2004年11月27日(土)創思館カンファレンスにて
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