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国際学術シンポジウム

グローバル化と国民国家の行方

2008年3月27日(木)・28日(金)、イギリス・ランカスター大学、中国・曁南大学、韓国・中央大学の3カ国3大学の社会科学系研究者を招いて、「グローバル化と国民国家の行方」を統一テーマとする国際学術シンポジウムを開催した(両日あわせて175名が参加)。

本シンポジウムは、「グローバル化」のなかで「国民国家」の形状が変わりつつある現状を踏まえ、一衣帯水の地にあるとはいえ体制を異にする東アジアに視点を据えて、国民国家の再編の実態と地域間連鎖の趨勢を政治と経済や社会などの学際的次元から明らかにしようとしたものである。

まず、27日には、中谷義和・立命館大学法学部教授の「グローバル化と現代国家の位相」、ボブ・ジェソップ・英国ランカスター大学教授の「世界市場・国民国家・政治秩序」、曹雲華・中国曁南大学教授の「グローバル化と中国の対応―対アセアン政策を中心に」、そして申光榮・韓国中央大学教授の「グローバル化と韓国社会―新自由主義と政治の保守化」の4つの基調報告が行われた。

28日には、基調テーマに関連して第1セッション「国際関係の変容と民主政の展望」および第2セッション「新自由主義と東アジアの現状」が開催された。

第1セッションでは、張振江・中国曁南大学副教授の「グローバル化時代の中米関係」、白承旭・韓国中央大学准教授の「変動する東アジア経済―中国と日本」、足立研畿・立命館大学国際関係学部准教授の「グローバル化と国家―NGO関係の変容」と題する、3つの報告が行われた。

第2セッションでは、ナイ・リン・サム・英国ランカスター大学教授の「新自由主義と東アジアの競争文化」、陳喬之・中国曁南大学教授および鄧仕超・同講師の「グローバル化と中国の経済・社会格差」、金京姫・韓国中央大学准教授の「グローバル化時代における韓国家族の変容と課題」そして、筒井淳也・立命館大学産業社会学部准教授より「低福祉時代における家族ネットワークの弱体化」と題する4つの報告が行われた。これらの報告では、現代のグローバル化による格差拡大を肯定する新自由主義の文化が東アジア地域においていかにその支配を確立しようとしているのか、また、新自由主義が東アジアの各社会に浸透していくなかで社会や家族関係にどのような変容をもたらしてきているのかが明らかにされた。齋藤真緒・立命館大学産業社会学部准教授および王京濱・大阪産業大学経済学部准教授からのコメントやフロアからのコメントをも交えて、東アジア地域での新自由主義のあり方について議論が深められ、また、新自由主義によって引き起こされる社会的諸問題について国を超えた広がりと共通課題があることが認識され、国際的で学際的な観点からのより緊密かつ詳細な共同研究の必要性が明確になった。

なお、本シンポジウムは、人文科学研究所における重点研究プロジェクト「グローバル化と公共性」が準備を進めてきたものであり、来年度以降も、イギリス・ランカスター大学、中国・曁南大学および韓国・中央大学との間で、引き続き国際的な共同研究を推進していくことで合意を見ている。

1日目の討論の様子 ボブ・ジェソップ・英国ランカスター大学教授
1日目の討論の様子 ボブ・ジェソップ・英国ランカスター大学教授

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