立命館土曜講座 開催講座一覧


2013年9月7日 講師:日下部吉信

アリストテレス「形而上学」を読む

 論者の関心は西洋形而上学の運命(ゲ・シック)です。2500年以上にわたって展開されてきた西洋形而上学の根源層にいかなる原理の動向があったのかが論者の一貫した研究対象であります。存在と主観性という二大原理の戦いの場が西洋の歴史であり、その動向を見極めることを論者は畢生の研究課題としています。現代はまさにこの主観性原理が地球的規模で世界を蔽い尽くしつつあり、その途次それは存在に根ざすエートスのことごとくを破壊せずにいませんでした。それがアメリカ発のグローバリゼイションであり、今日の世界状況であります。後期近代世界のこの世界状況は近代が生み出したものではありません。2500年の西洋形而上学の帰結なのであります。近代世界は、意外に思われるかも知れませんが、哲学が作り出した世界なのであります。政治や経済が作り出した世界なのではありません。残念ながらこの哲学史観、世界観はまだ一般のものになっていませんので、違和感を持たれるかも知れません。拙著『ギリシア哲学と主観性』をご参照ください。また論者のブログ:「シリーズ・ギリシア哲学講義」(Schola Philosophiae Graecae)をご覧ください。ウイキペディアの論者の項でも結構です。この剣呑な時代を共に哲学できれば幸いです。

前のページに戻る

このページのトップへ