立命館土曜講座 開催講座一覧


2013年11月2日 講師:ウェルズ 恵子

「ウサギとカメ」イソップ、日本、アメリカ黒人版

 「ウサギと亀」の話は、紀元前600年から500年頃のギリシアで、奴隷のイソップが言い伝えたといわれています。口伝えの寓話ではありますが紀元前からすでに書き記され、語り直されたり書き直されたりして現代に伝わっています。翻訳や翻案は世界中にあります。この話の変化をたどると、それぞれの文化的特質がよくわかります。日本では1593年にイエズス会宣教師がローマ字でイソップ寓話をはじめて印刷しました。明治以降は小学校唱歌や国語教科書をとおして、勤勉を諭す道徳的な話として印象づけられています。一方、1865年まで奴隷であったアメリカの黒人たちは、イソップ物語とアフリカの動物民話をうまく混ぜ合わせ、面白くて笑える話を作りました。私たちの知っている「ウサギと亀」からは想像もできない、愉快な展開になっています。本講座では、イソップ寓話、明治時代の日本語版、19世紀後半のアメリカ白人版、奴隷制時代から伝わるアメリカ黒人版を読み比べて、民話が言い伝えられていく力のすごさを感じてみたいと思います。

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