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2014年2月15日 講師:山室 信一

大戦の衝撃と民主主義の命運

 2014年は第一次世界大戦の開戦から100周年を迎える。そして、2015年には第二次世界大戦の終戦から70年を数えることになる。 もちろん、時間の経過そのものに格別な意義があるわけではない。
 ただ、日本国憲法が第96条によって規定された手続きによってではなく、国家安全保障会議(日本版NSC)の設置や特定秘密保護法の制定 そして集団的自衛権の容認などによって空洞化しつつある事態を前にして、人類が二度にわたる世界大戦による惨禍を代償にして得たものとは何であったのか、 という問いが改めて私たちに突きつけられていることも否めないはずである。
 そして、日本の民主主義が自由民権運動や大正デモクラシーを底流としながらも、国家存続の危機という叫びの前に途絶してしまったことを顧みるとき、 第一次世界大戦の衝撃の中で国家や社会そして民主主義のあり方を根底から問い直そうとした―その地点にまで立ち返ってみる必要がありはしないだろうか。
 そもそも日本にとっての第一次世界大戦が、いかなる経験であり、それがいかに「次なる大戦」へと繫がっていったのか、 今それを考えることは迂遠な道かも知れないが、やはり避けてはならない問いの試みであるように私には思われる。

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