立命館土曜講座 開催講座一覧


2016年10月29日 講師:青柳 雅文

ホルクハイマー、アドルノ『啓蒙の弁証法』を読む

 私たち人間は、理性的に考えることで、よりよい結果、よりよい未来が得られると思っています。しかし、本当に望ましい未来は実現してきたと言えるでしょうか。かならずしもそう言えないとすれば、それはなぜでしょうか。  まさにこの問題を取り上げているのが『啓蒙の弁証法』です。この著作は、フランクフルト学派の代表的人物であるM・ホルクハイマーとTh・W・アドルノの共著です。彼らにとって啓蒙とは、理性によって進歩をもたらすプログラムのことです。彼らは著作の中で、啓蒙と神話・道徳・文化との関係を引き合いに出しながら、この啓蒙の弁証法的構造を明らかにしています。
 今回の講座ではまず、彼らが明らかにした、理性そのものの抱える矛盾を紹介します。この矛盾は、理性にとって避けることができないものです。したがって、理性によってよりよい未来を得るのは、困難をともなうことだとわかるでしょう。またその一方で彼らは、矛盾を克服する見通しも示唆しています。その展望も、著作の中から浮き彫りにしてみたいと思います。

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