立命館土曜講座 開催講座一覧


2016年12月10日 講師:奈良勝司

幕末維新期の政治と中川家

  立命館大学の創立者中川小十郎は、一八六六(慶応二)年に中川禄左衛門の息子として丹波国馬路村(現亀岡市)に生まれました。禄左衛門は中川・人見両苗とよばれる在地の郷士集団を率いた人物で、戊辰戦争で当時少壮の青年公家だった西園寺公望が山陰道鎮撫を命じられた際にこれへの協力と随行を決めた責任者でもありました。つまり、中川・人見両苗が戊辰戦争時に西園寺を助けたことが、後に西園寺の私塾立命館の名前を小十郎が譲り受け本学を創設することになる最初のきっかけだったのです。
 しかしながら、中川・人見両苗がなぜこの時西園寺に協力したのか、またそもそも彼らが激動の幕末政局の中でどのような動きをみせていたのかは、これまで十分に明らかにされてはきませんでした。碑文などの近代以降の歴史叙述も、実は必ずしも当時の史実を一〇〇%正確に反映しているわけではありません。今回の講演では、彼らが激動の幕末政局にどう関わったのか、あるいはいかなる形で巻き込まれたのかを検討することで、立命館大学創設の前提をなした明治維新の裏面史を紐解いていきます。

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