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2022年5月28日 講師:クロス京子

「フィリピン麻薬戦争に隠れた人権侵害ーなぜ『左派』は超法規的に暗殺されるのか」

 国際刑事裁判所(ICC)は、フィリピンのドゥテルテ政権の違法薬物の取り締まりが「人道に対する罪」の疑いがあるとして、2021年9月捜査に着手すると表明しました。この8千とも3万人ともいわれる「麻薬戦争」の犠牲者の多くは、違法薬物に関わりのない一般市民とされており、警察や軍による強硬な取り締まりに対し国内外から批判があります。その一方で、ドゥテルテ政権下で先住民や貧しい農民、人権や環境活動家、ジャーナリストらも司法手続きを経ずに殺害されていることは、「麻薬戦争」の陰で十分に知られていません。2016年7月から2020年12月までに350人以上が暗殺されたと言われ、2020年の国際人権理事会においても、この超法規的殺害が問題視されています。 実はこうしたフィリピンの人権侵害は現政権に限ったものではありません。犠牲者数に幅はあるものの、歴代政権下において、いわゆる「左派」と呼ばれる人権や環境活動家らが、殺害や強制失踪の対象となってきました。本講座では、フィリピンの紛争の歴史を振り返り、超法規的殺害と言われる人権侵害が行われる背景に何があり、そしてなぜ今日もなお続いているのかを考えていきます。



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