世紀転換期の国際秩序と国民文化の形成  
著者・編者: 西川 長夫,渡辺 公三 編
出版社: 柏書房
発行年: 1999/02
定価: ¥6,090
 
目次
 
  序 帝国の形成と国民化 西川 長夫 (3)
  はじめに/世紀転換期の風景/帝国と帝国意識の形成/帝国主義時代 の国民統合と国民化/「国民」の創出と国民文化/まとめにかえて ――戦争と地方と植民地    
       
   
  1 西園寺公望と「国民国家」の形成――皇室をめぐって――
はじめに/名門公家の西園寺/西園寺と皇室/西園寺と天皇/おわりに
岩井 忠熊 (51)
  2 世紀転換期の「国語」の位相――教化と文化の交差する場――
国語の表象/「国民化」の技術/国語=言語の共有/音・言・歴史の 相剋/「言語」と「国語」の分岐/国語の戦略の分化
長志 珠絵 (73)
  3 一国思想史学の成立――帝国日本の形成と日本思想史の「発見」――
「一国史」の成立/日本文化・日本思想の摘出――中国を差異化し ての/文献学というもの――西洋との同一化としての/おわりに
桂島 宣弘 (103)
  4 日本史の誕生――『大日本編年史』の編纂について――
はじめに/『大日本編年史』の編纂とその意図/アジアと普遍への 志向/萎縮する意図と「日本史」への傾斜/おわりに
小路田 泰直 (127)
  5 桜とナショナリズム――日清戦争以後のソメイヨシノの植樹――
はじめに/明治維新と桜/弘前城と桜/むすびにかえて
高木 博志 (147)
  6 京都滑稽家列伝
はじめに/一々庵百一/木葉散人/草廼舎綿隣子/花笠雨燕/ 五新堂,虎屋町小文
福井 純子 (171)
  7 雑誌『太陽』の「十九世紀」特集号に見る世紀転換の意識
はじめに/雑誌『太陽』「十九世紀」特集号の位置づけ/「十九世紀」 特集号の記事における「西洋」「東洋」「日本」/「十九世紀」特集号 の表象情報とそのメッセージ/おわりに
西川 祐子 (195)
       
II    
  8 ラフカディオ・ハーンの世紀末――黄禍論を越えて――
はじめに:あなたがた――彼ら/ジャーナリスト――フォークロリスト/ 日本論――戦争論/わたしたちへ
西 成彦 (221)
  9 ツーリズムと国民国家――書記される<西欧近代>――
はじめに/ツーリズムの発生/ツーリズムのハード・ウエア, ソフト・ウエア/書記されるツーリズム
中川 成美 (235)
  10 崩壊する日本語――台湾統治初期における日本語教育論議――
「精神ヲ征服」する手段/言語観の対立/露呈する不統一/崩れゆく 「日本語」
小熊 英二 (263)
  11 日本語論のなかのアジア像
はじめに/日本語系統論のなかのアジア像/日本語簡
安田 敏朗 (285)
  12 陸羯南の国際観
はじめに/国民主義と国際論/外政論からみた国際観/陸羯南と 第三世界の民族主義/おわりに
全 且煥 (303)
  13 帝国「日本」の自画像――一九二〇年代の朝鮮「同化」論――
はじめに/研究史への所感/原敬首相の「内地延長」論/「文化政治」 と統治論議/青柳綱太郎の「徳光的大日本主義」/おわりに
今西 一 (335)
  14 植民地「朝鮮」における「国文学史」の成立――趙潤済の「文学史」叙述を中心にして――
はじめに/京城帝国大学「朝鮮語文学科」の設置と趙潤済/「民族 史観」の創出と『国文学史』叙述の始まり/「国文学」の理念/ <理念としての形式>――『朝鮮詩歌史綱』というテキスト/「純 韓国文学」の言説と「漢文学」/おわりに
姜 海守 (357)
       
III    
  15 世紀転換期における植民地総督とイギリス帝国
はじめに/世紀転換期におけるイギリス帝国=植民地体制/インド 副王と自治領総督/非自治領の植民地総督/植民地総督の社交生活 とその意義/むすびにかえて
川村 朋貴 (387)
  16 十九世紀末フランス社会の政治的反ユダヤ主義――国民意識の変容過程――
近代フランスと反ユダヤ主義/E・ドリュモンの言説と伝統と歴史 に基づく「祖国」像――ジャンヌ・ダルク像への旋回/精神医学を 論拠にした「さまよえるユダヤ人」像の問題/保守的カトリックの 知的ヘゲモニー
中谷 猛 (411)
  17 「ドイツ国民」から「フランス国民」へ――第一次大戦直後のアルザスにおけるフランス化をめぐって――
アルザスと「国民化」/「遅れてきた国民」としてのアルザス人/ アルザスのフランス化/小学校教師とフランス化/国民化と「アル ザス」の変容
中本 真生子

(437)

  18 コルシカ地域・自治主義運動の展開と「コルシカ方言」の形成
ヨーロッパにおける「中核」――「周縁」の重層的形成と「民族性」 意識の醸成/「植民化なき植民地」――一九世紀コルシカの状況/ コルシカにおける地域・自治主義運動の展開/「コルシカ方言」を めぐるイタリア,コルシカ,フランスの対立/ヨーロッパの「周縁」 ――地中海島嶼地域――における自治主義運動形成の背景
長谷川 秀樹 (455)
  19 第三共和政期フランスの公教育と植民地 ――人種主義の観点から教科書を読む――
共和主義教育と植民地/白色人種と北アフリカの人びと/「文明 化」された者/『マルセルの子供たち』/結びにかえて
平野 千果子 (477)
  20 世紀転換期フランスにおける市民=兵士の同一性の変容
はじめに/国民国家における登録と動員の問題/国民国家の成長と 司法記録保管制度(Casier judiciaire)の創設/世紀末における同一 化空間のネットワーク/おわりに
渡辺 公三 (497)
       
あとがき 西川 長夫・渡辺 公三 (519)
執筆者紹介 (529)
       


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