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知識資本と世界経済研究会
研究課題:知識の公共性と私的性格の相克から見た知識資本と世界経済
研究代表者:国際関係学部教授 中川 涼司
 かつて、P.F.ドラッカーは知識が重要な役割を果たす社会を「知識社会」と呼び、『ポスト資本主義社会』の中で、「知識」が、労働、資本、土地とならぶ一つの資源というよりも、唯一つの意味ある資源であるとした。

 また、A.トフラーは『パワーシフト』の中で知識が高質な力の源泉であり、来るべきパワーシフトの鍵を握っているとしている。クウィンは企業の競争力や生産力は土地や工場や設備などのハード資産よりも知的能力やサービス能力にあるとした。野中郁次郎と竹内弘高は企業内における知識創造プロセスを問題にし、暗黙知と形式知の4つの知識変換モードによってそれが起こることを松下電器のホームベーカリーやホンダシティの開発プロセス等を事例にしながら明らかにしている。

 アラン・バートン・ジョーンズは無形の知識資本が富と権力の源泉として浮上するとしそのような社会を知識資本主義とよんだ。そして知識資本主義のもとでは、知識の価値と知識の固有度に従い、雇用や取引の柔軟化や外部化が発生していくことを明らかにしている。 このように知識資本や知識資本主義という視角や用語は決して新しいものではない。

 しかし、われわれが問題にしようとしているのは、単なる生産要素や権力の源泉としての知識というだけではない。知識というものが固有に持つ「公共性」とその私的な生産や利用の矛盾が国際経済社会においてどのような形で現れているか、ということである。世界中にプロパテント政策が浸透する一方で、それに対抗する形でクリエイティブ・コモンズ(パブリック・ドメインとそれに準じるものに対するライセンス付与)の運動も進展を見せ、yahooなどもそれに協調し始めた。

 これらの相克関係が多国籍企業と世界経済にいかなるインパクトを与えているのか研究するのが当プロジェクトの目的であり、このような視角を持った研究は知識社会論をリアルな次元に引き戻す意義がある。


2007-2008年度活動報告
先行研究としてはローレンス・レッシグ『FREE CULTURE』、ドン・タプスコット/アンソニー・D・ウィリアムズ『ウィキノミクス』、リチャード・フロリダ『クリエイティブ・クラスの世紀』等の検討を行った。 また、研究報告として以下のテーマが検討された。Web2.0時代のビジネスモデル、中国のコンテンツビジネス、知識集約型企業のビジネスモデル、ICT革命の新展開と日本産業の課題、ハリウッド型ビジネスモデルの考察ーエンターテイメント産業の経済原理と知識資本ー、情報・知識・知識生産労働・知識資本:基礎概念の検討、知識資本主義諸理論の成果・課題、アメリカの知的財産関連産業と知的財産立国戦略、知識(Knowledge)と安全保障―高技能外国人の受け入れをめぐる米国の経済安全保障とそのジレンマ―、著作権の保護期間、日本のアニメ産業と知的財産権、IT産業のサービス化とオープンソース――IBMのLinux戦略との関係で、遺伝子組替作物と知的財産権:モンサント社の事例を中心に、アメリカの知的財産業界の業界団体について、メジャーの国際線競争とオープンスカイ政策、金融危機下におけるヨーロッパ経済の現状と課題、1980年代以降のアメリカ製造業の再編等である。これらによって、知識の持つ経済的・社会的意味が多側面から深めることができた。  調査としてはアメリカ(IPO、IIPAなど)、北京(北京帰国者創業園など)、ヨーロッパ(欧州委員会・域内市場&雇用問題担当総局など)、東京(外務省経済局知的財産室など)を実施した。


2008年度研究会実施状況

第9回2008年5月31日
・「アメリカの知的財産権関連産業と知的財産立国戦略」中本 悟(大阪市立大学)
・「軍事における知的財産権」 松村 博行(立命館大学)
第10回 2008年6月28日
・「著作権の保護期間」 宮脇 正晴(立命館大学法学部)
・「日本のアニメ産業と知的財産権」 小山 大介(京都大学大学院)
第11回 2008年9月13日
・「IT産業におけるサービス分野の台頭の意味--米系製造業IT企業の戦略との関連で」
  森原康仁(京都大学大学院)
・「組換え作物と知的財産権:モンサント社の事例を中心に」千葉典(神戸市立大学)
第12回 2008年11月8日
・「アメリカの知的財産業の業界団体について」中本悟(大阪市立大学)
・「メジャーの国際線競争とオープンスカイ政策」松本俊哉
第13回 2008年12月20日
・「金融危機下におけるヨーロッパの現状と課題」 星野郁(立命館大学国際関係学部)
・「1980年代以降のアメリカ製造業の再編」 田村太一(大阪市立大学大学院)
2007年度研究報告
 合計7回の研究会を開催し、共通認識を高め、議論を深めた。

第1回 2007年5月19日
・「知識資本と世界経済についてープロジェクトの主旨ー」関下稔(名古屋学院大学)
・「今後のプロジェクトの進め方について」中川涼司(本学国際関係学部)
第2回 2007年6月23日
・「ローレンス・レッシグ『FREE CULTURE』を巡って」
 井出文紀、松村博行(ともに本学非常勤講師)
第3回 2007年7月14日
・「Web2.0時代のビジネスモデル」森原康仁(京都大学大学院)
・「中国のコンテンツビジネス」中川涼司(本学国際関係学部)
第4回 2007年10月13日
・「知識集約型企業のビジネスモデル」西井進剛(兵庫県立大学)
・「21世紀のICT革命の行方」野口宏(関西大学)
第5回 2007年11月17日
・「『ウィキノミクス』をめぐって」
田村太一(大阪市立大学大学院)・森原康仁(京都大学大学院)
第6回 2007年12月22日
・ 「リチャード・フロリダ『クリエイティブ・クラスの世紀』をめぐって」
松本俊哉(立命館大学大学院)・田村太一(大阪市立大学大学院)
第7回 2008年2月5日
・「ハリウッド型ビジネスモデルの考察ーエンターテイメント産業の経済原理と知識資本ー」
関下稔(名古屋学院大学)
聞き取り調査として、中川が12月末において北京の聞き取り調査を実施した。 その他、知識産業に関わる諸文献の収集を行った。


2009年度2008年度


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