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知識資本と世界経済研究会
研究課題:知識の公共性と私的性格の相克から見た知識資本と世界経済
研究代表者:国際関係学部教授 中川 涼司
 かつて、P.F.ドラッカーは知識が重要な役割を果たす社会を「知識社会」と呼び、『ポスト資本主義社会』の中で、「知識」が、労働、資本、土地とならぶ一つの資源というよりも、唯一つの意味ある資源であるとした。また、A.トフラーは『パワーシフト』の中で知識が高質な力の源泉であり、来るべきパワーシフトの鍵を握っているとしている。われわれは単なる生産要素や権力の源泉としての知識というだけではなく、知識というものが固有に持つ「公共性」とその私的な生産や利用の矛盾が国際経済社会においてどのような形で現れているか、ということを問題にする。これらの課題解明のために①知識資本主義チーム、②知的財産権チーム、③知識消費財産業チームの3チームを組み、研究を行った。


2009年度活動報告
 2009年度はこれまでの研究成果をまとめ、関下稔・中川涼司編『知識資本の国際政治経済学』同友館、近刊として纏め上げることができた。 本書の章構成は以下の通りである。
        
第1部「知識資本主義の台頭」(第1、2章)は知識資本主義の歴史的位相を明らかにするとともに、従来の知識社会論の流れの変化および到達点を確認する。第1章「知識資本の時代」(関下稔執筆)は知識資本が今日の資本主義においては「創造の世界」と「想像の世界」の両方を生み出すことを明らかにし、知識労働の特質、知財が生み出す超過利潤その他、知識資本主義の諸相を論じることで、知識資本主義の歴史的位相を明らかにしている。第2章「知識資本主義論の諸潮流と世界経済」(井出文紀執筆)は1950~80年代の知識社会論の流れについてフォローするともに、1990年代以降、知識の「囲い込み」とそれに反発する「共有」の双方の議論が活発化していることを明らかにしている。

第2部「知識資本主義時代の知的財産権を巡るジレンマ」(第3~5章)は知識資本主義時代のプロパテントとアンチパテントの相克の中で、アメリカ、EU、日本の政府や諸産業がどのような対応をしようとしているのかを明らかにする。第3章「知識基盤型経済に対するEUの取り組みと課題」(星野郁執筆)は知識基盤型経済に対するEUの取り組みを、リスボン戦略並びにリスボン戦略の下で各々EU構成国によって進められてきた構造改革を中心に、その成果と問題点を検証し、併せて今後の知識基盤型経済の更なる発展に向けた課題を明らかにしている。第4章「日本アニメ産業と知的財産権問題-ブロードバンド時代におけるアニメ制作会社・市場の将来像-」(小山大介執筆)は日本のアニメ産業の発展プロセスを明らかにするとともに、その諸課題について明らかにしている。第5章「農産物特許とそのガバナンス」(千葉典執筆)は、現代における農産物特許の取扱いの実情を検討し、そのガバナンスの形態を素描している。

第3部「知識人材の国際移動」(第6、7章)は知識人材の国際移動について焦点を当てる。 第6章「米国における知識人材の確保―理工系人材の育成と移民政策を事例にー」(松村博行執筆)は、A.サクセニアンやR.フロリダの主張を紹介検討し、その欠落点として米国内の理工系人材育成の意義について検討する。第7章「中国オンライン・デジタルコンテンツ・ビジネスと『頭脳還流』・『クリエイティブ・クラス』」(中川涼司執筆)は中国のオンライン・デジタルコンテンツ・ビジネスを展開する企業家たちのパーソナル・ヒストリーとビジネス・モデルを明らかにする。

第4部「知識資本主義時代のビジネス・モデル」(第8~10章)は第1~3部までで明らかにしてきた経済・社会環境の中でどのようなビジネス・モデルが取られようとしているのかを明らかにする。第8章「オープン・ソース・ソフトウェアの普及とIT産業のサービス化―IBM社のLinux戦略との関連で」(森原康仁執筆)はLinuxに代表されるオープン・ソース・ソフトウエアのビジネス社会への普及は、単に品質の良さと無償であることによっては説明できず、IBMをはじめとする米大手IT企業の全面対応が不可欠であったことを明らかにする。第9章「コンサルティング・ファームのグローバル化―『経営知識』の生産・普及に関する構造的視角からの考察―」(西井進剛執筆)はコンサルティング・ファームのグローバル化という現象の発生について、経営知識が生産され、普及していく一連の構造から説明しようと試みている。第10章「日本ソフトウエアビジネスの課題」(野口宏執筆)は日本のソフトビジネスの到達点と課題、特に人材育成の課題について明らかにしている。

2009年度研究会
第15回   2009年7月11日(土) アカデメイア立命21 会議室K305 
 テーマ 1  知識資本主義の時代に関する予備的考察
 ―スマートパワー・頭脳還流・クリエイティブ・クラス
              ・ソーシャルビジネスを中心にして―
   ※研究プロジェクト「序章」のための検討  
 ※参考文献 関下稔・有賀敏之編著『東海地域と日本経済の再編成』
  同文舘、2009年、第6章「ポストアメリカングローバリズム時代の
  産業クラスターとグローバルシティ」
 報告者(所属)   関下 稔 (立命館大学教授)
 テーマ 2   20世紀の電子情報化と制度補完 ―21世紀への意味―
 報告者(所属)   中川 涼司 (立命館大学教授) 
   ※参考文献 中川涼司 「20世紀の電子情報化と制度補完
                        ―21世紀への意味―」
  仲田正機・夏目啓二編『企業経営変革の新世紀』同文舘、2002年
      3    執筆要領の確認その他


第14回   2009年4月25日(土) アカデメイア立命21 会議室K302
 テーマ ① ITサービスに関する企業調査の概要(日本アイ・ビー・エム)
② インタビュー調査 NTTデータ技術開発本部 システム科学研究所
③ リスボン戦略の下での労働市場改革とその評価
  ―ヨーロッパにおける知識基盤型経済移行への取り組みと問題点―
 報告者(所属) ① 森原 康仁 (京都大学大学院)
② 田村 太一 (大阪市立大学大学院) 
③ 星野 郁 (立命館大学国際関係学部)


 知識資本と世界経済研究会は上記の関下稔・中川涼司編『知識資本の国際政治経済学』同友館、2010年の出版でもって活動を終了する。



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