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白川静記念 東洋文字文化研究所

立命館白川静記念東洋文字文化賞

「立命館白川静記念東洋文字文化賞(略称 立命館白川静賞)」について

---------- 制定の趣旨 ----------

日本の社会と文化の発展、また東アジアの交流と相互理解の歴史を顧みるに、漢字を中心とする東洋文字文化は大きな役割を果たしてきました。東洋文字文化はこれからも日本および東アジアの精神的支柱であり続け、その振興は重要な意義が有ると考えます。

この賞は、立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所が、東洋文字文化に関する研究、普及および教育活動等の奨励支援のため、優れた個人および団体の業績を表彰することを目的としています。日本社会・文化の継承と発展、東アジアの平和と繁栄のために本賞の制定がその一助となることを願っています。

<対象者>
① 立命館白川静記念東洋文字文化賞大賞
   特にすぐれた業績のもの
② 立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞 
   教育指導ならびに漢字文化の普及に貢献したもの
③ 立命館白川静記念東洋文字文化賞奨励賞
   若手の研究者


第11回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」表彰式

第11回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」は以下の2件に贈ることを決定し、2017年4月22日、立命館大学衣笠キャンパス 平井嘉一郎記念図書館カンファ
レンスルームにて表彰式を行いました。
 
 

立命館白川静記念東洋文字文化賞優秀賞

受賞者笹原宏之(早稲田大学社会科学総合学術院教授)
対象業績 国字の研究
副賞賞金 30万円

立命館白川静記念東洋文字文化賞奨励賞

受賞者成田健太郎(東京大学附属図書館アジア研究図書館上廣倫理財団寄附研究部門特任研究員)
対象業績 『中国中古の書学理論』および王羲之・顔真卿関連の論考
副賞賞金 20万円

---------- 授賞理由 ----------

(1)立命館白川静記念東洋文字文化賞優秀賞 笹原宏之 氏

対象業績は、国字に関する日本語学界初の体系的な研究書で、学術的に極めて高い水準にあり、これを超える研究成果は発表されていません。これらは、日本語学界における国字に関する誤解等を修正するもので、漢和辞典等の記述をより精緻なものにすることに貢献するものです。今後、さらに国字研究を発展することが期待されます。

(2)立命館白川静記念東洋文字文化賞奨励賞 成田健太郎 氏

対象業績は、唐の張懐瓘による書論『書断』をベースとしながら、「勢」「訣」「風格」「筆勢」など、これまであまり取り上げられなかった視点から、深みのある考察を行っています。考察は、独創的かつスタンダードになりうる内容であり、今後、文字学・書道史を学ぶものにとって必読書となると思われます。

-------- 立命館白川静記念東洋文字文化賞選考委員会--------

委員長 杉橋隆夫(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所長)
委員 加地伸行(衣笠総合研究機構特別研究フェロー)
下中美都(株式会社平凡社代表取締役社長)
上野隆三(立命館大学文学部教授)
芳村弘道(立命館大学文学部教授)
萩原正樹(立命館大学文学部教授)
                             ※順不同

第10回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」表彰式

第10回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」は以下の3件に贈ることを決定し、2016年10月15日、立命館大学衣笠キャンパス 平井嘉一郎記念図書館カンファ
レンスルームにて表彰式を行いました。
 
 

立命館白川静記念東洋文字文化賞大賞

受賞者上島有(摂南大学名誉教授)
対象業績 ユネスコ記憶遺産として登録された国宝、
『東寺百合文書』の整理・研究
副賞賞金 50万円

立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞

受賞者 冨谷至(京都大学人文科学研究所教授)
対象業績 簡牘、出土文献の知識の普及
副賞 賞金 30万円

立命館白川静記念東洋文字文化賞奨励賞

受賞者武内康則(京都大学白眉センター助教)
対象業績 契丹語、契丹文字の研究
副賞賞金 20万円

---------- 授賞理由 ----------

(1)立命館白川静記念東洋文字文化賞大賞 上島有 氏

上島氏は、京都府立総合資料館所蔵の「東寺百合文書」の整理とその研究に長く従事され、日本の中世古文書学・中世歴史研究に多くの業績を打ち立て、多大な貢献を果たされている。同氏は、これまでに『東寺・東寺文書の研究』(思文閣出版、1998)をもって第21回角川源義賞、また密教学芸賞を受け、斯界に赫赫たる名声をすでに馳せておられるが、90歳をこえてなお大著『中世アーカイブズ学序説』を世に問われ、古文書学に新しい方法を提唱する旺盛な研究を示された。長年に亘る古文書研究は、広く日本の学問世界のみならず、文字学においても敬意を表すべきものであると、高く評価する。

(2)立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞 冨谷至 氏

冨谷氏の主著『木簡・竹簡の語る中国古代――書記の文化史』刊行の2003年当時、出土文献についての専門書は少なく、また体系的に論じる書はほとんどなかった。同書は、専門的な内容を含みながら、一般向けにわかりやすく解説され、難しい言葉にはルビや説明をつけるなどして読み易い。題名にある木簡・竹簡だけではなく紙以前の甲骨から紙への移行までを追って書かれており、多くの人への簡牘、出土文献の知識の普及という点においては大変優れた書籍である。 簡牘の内容が中国西北辺境の漢代の行政文書と限定的ではあるが、これまでに無かった辞典であり、文字学のみならず行政史の研究の上でも高い価値を有するものである。

(3)立命館白川静記念東洋文字文化賞奨励賞 武内康則 氏

武内氏は、契丹小字中の漢語軟口蓋音の音写を扱い、契丹語の軟口蓋音の1部を解明した。また、漢語史書における漢字による音写で記録された契丹語に着目し、契丹語の音声特徴、特に音素配列に関する重要な特徴を明らかにした。同氏の研究は一見オーソドックスな分析であるが、漢語音韻学・契丹文字、特に小字の構造・モンゴル諸語の音韻に精通し、データの丹念な検証なくしてはなしえないものといえる。契丹文字は使用された期間は短いものの、その研究はモンゴル諸語の古層、遼・契丹族の歴史と文化、疑似漢字の類型といった様々な研究に寄与する。若手ながら有意義な多くの論考を持つ研究は今後も
斯界に貢献できるものと期待できる。

-------- 立命館白川静記念東洋文字文化賞選考委員会--------

委員長 杉橋隆夫(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所長)
委員 加地伸行(衣笠総合研究機構特別研究フェロー)
下中美都(株式会社平凡社代表取締役社長)
上野隆三(立命館大学文学部教授)
芳村弘道(立命館大学文学部教授)
                             ※順不同

第9回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」表彰式

第9回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」は以下の2件に贈ることを決定し、2015年3月8日、立命館大学衣笠キャンパス敬学館210教室にて表彰式を行いました。
 
 

立命館白川静記念東洋文字文化賞優秀賞

受賞者金成恩(大韓民国全南大学校教授)
対象業績 日韓近代翻訳比較研究
副賞賞金 30万円

立命館白川静記念東洋文字文化賞奨励賞

受賞者張宇衛(台湾中央研究院語言学研究所研究員)
対象業績 甲骨文研究
副賞賞金 20万円

---------- 授賞理由 ----------

(1)立命館白川静記念東洋文字文化賞優秀賞 金成恩 氏

キリスト教関係文献に対する日本語訳や朝鮮語訳、また日本人の今田束著『実用解剖学』(明治20年・1887年)の朝鮮語訳等についての詳細にして綿密な分析を通じて、東北アジア共通の漢字漢文から東北アジア諸国の近代語や語彙・文法体系がどのように再編されていったかという問題意識の下、東北アジアにおける近代知の形成に漢字漢文を通じての翻訳ルートが重要な要因として作用したことを明らかにしようとして成功している勝れた業績に対して、新設の白川賞優秀賞に値すると評価した。

(2)立命館白川静記念東洋文字文化賞奨励賞 張宇衛 氏

甲骨文研究において、形態よりも音韻を通じての分析に重点を置いているのが特徴で、一定の新しい解釈を創出しており、従来と異なる勝れた読みかたに成功している。 また、甲骨文の断片をつなぎあわせる作業(綴文)に取り組み、16例の報告を出しており、古代文字学の研究者として堅実な能力を備えており、将来に期待できることに対して、白川賞奨励賞に値すると評価する。

-------- 立命館白川静記念東洋文字文化賞選考委員会--------

委員長 杉橋隆夫(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所長)
委員 加地伸行(衣笠総合研究機構特別研究フェロー)
下中美都(株式会社平凡社代表取締役社長)
上野隆三(立命館大学文学部教授)
萩原正樹(立命館大学文学部教授)
                             ※順不同

第8回「立命館白川静賞」の募集について

第8回立命館白川静賞の選考は2013年9月に行われましたが、「該当者なし」との結果となりました。

 

第7回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」表彰式

第7回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」は以下の1件に贈ることを決定し、2013年6月6日、立命館大学衣笠キャンパス末川記念会館にて表彰式と故 白川静・立命館大学名誉教授への名誉漢字教育士認定証追贈式を行いました。
 
 

立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞

受賞者張莉(同志社女子大学現代社会学部准教授)
対象業績 白川静文字学的精華
副賞賞金 30万円

---------- 授賞理由 ----------

(1)立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞  張莉 氏

対象となる業績の1つである『白川静文字学的精華』は白川静先生の業績(釈史、釈文)を中心に中国語に翻訳し、紹介した上で、客観的な立場から解説している。翻訳の精度も高く、白川文字学の普及という側面において顕著な業績であることが認められる。

-------- 立命館白川静記念東洋文字文化賞選考委員会--------

委員長 加地伸行(衣笠総合研究機構特別研究フェロー)
委員 上野隆三(立命館大学教授)
下中美都(株式会社平凡社取締役)
萩原正樹(立命館大学教授)
芳村弘道(立命館大学教授)
                             ※五十音順

第6回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」表彰式

第6回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」は以下の3件に贈ることを決定し、2012年7月6・7日にて表彰式を行いました。
 
左から蘇氷氏(受賞者)、山元宣宏氏(受賞者)、加地伸行研究所長

 
福井県立嶺北養護学校(受賞団体)

立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞

受賞者 蘇氷(北海道文教大学外国語学部教授)
対象業績 『常用字解』の中国語版出版
副賞賞金 30万円

立命館白川静記念東洋文字文化賞奨励賞

受賞者山元宣宏(宮崎大学教育文化学部専任講師)
対象業績 秦漢時代の書体の諸相に関する研究
副賞賞金 20万円

立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞特別賞

受賞者福井県立嶺北養護学校(団体)
対象業績 福井県立嶺北養護学校における「書」作品制作
副賞賞金 20万円

---------- 授賞理由 ----------

(1)立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞  蘇氷 氏

白川文字学の一般的普及を目的とした『常用字解』を正確に中国語に翻訳し、かつ「導読」1章を設けて白川静の学問を深い尊敬の念をもって世に紹介した本書を白川学の普及における業績として高く評価した。

(2)立命館白川静記念東洋文字文化賞教育奨励賞 山元宣宏 氏

書体はその形式上からの研究が普通であるが、山元氏は中国思想史上の今古文論争の政治性を深く追求し、隷書とは、古文学派が今文学派の文字を貶めた呼称とする新鮮な説を提起した。広い視野と緻密な論証とは将来の研究の大いなる飛躍を示して余りありこれを高く評価した。

(3)立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞特別賞 
                             福井県立嶺北養護学校(団体)

障がいのある生徒への教育方法として、甲骨文・金文の絵画的性格を活用し、国語の書道ならびに芸術的感動を一体化した教育を実施されており、大きな成果を挙げている。この勝れた教育例は、全国の障がい児教育に普及する可能性が大きく、これを高く評価した。

-------- 立命館白川静記念東洋文字文化賞選考委員会--------

委員長 加地伸行(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所長)
委員 上野隆三(立命館大学教授)
下中美都(株式会社平凡社取締役)
芳村弘道(立命館大学教授)
                             ※五十音順

第5回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」表彰式

第5回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」は以下の2件に贈ることを決定し、2011年5月21日、立命館大学衣笠キャンパス以学館ホールにて表彰式を行いました。
 

立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞

受賞者森岡隆(筑波大学大学院人間総合科学研究科教授)
対象業績 書道史研究
副賞賞金 30万円

立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞

受賞者書論研究会(代表:杉村邦彦)
対象業績 学術機関誌『書論』の刊行を通じて、書論や書に関する諸文献の研究
副賞賞金 30万円

---------- 授賞理由 ----------

(1)立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞  森岡隆 氏

多年にわたる書道史研究による、文字や書法についての豊かな学識に基づき、日本における出土木簡の文に、左から右へ、すなわち左書きがあることを実証し、それは2幅対・3幅対のシンメトリーに発するものと推論し、そのシンメトリーの発想や思考は、甲骨文や金文にまで遡れるのではないか、とした、日本古代の出土資料に対する独創的解明を中心とする漢字文化の研究に関するすぐれた業績を高く評価した。

(2)立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞 書論研究会

京都教育大学名誉教授、杉村邦彦会長を中心に、学術機関誌『書論』の刊行を通じて、書論や書に関する諸文献の研究を着実に行ない、その成果は中国・台湾・韓国等においても極めて高い評価を得てきた。その多年にわたる、書を通じての漢字文化の普及に努めたすぐれた業績を高く評価した。

-------- 立命館白川静記念東洋文字文化賞選考委員会--------

委員長 加地伸行(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所長)
委員 上野隆三(立命館大学教授)
下中美都(株式会社平凡社取締役)
芳村弘道(立命館大学教授)
                             ※五十音順

第4回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」表彰式

第4回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」は以下の2件に贈ることを決定し、2010年6月6日、立命館大学衣笠キャンパス以学館ホールにて表彰式を行いました。
 受賞式写真

立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞

受賞者久米雅雄(大阪芸術大学客員教授)
対象業績 印章研究
副賞賞金 30万円

立命館白川静記念東洋文字文化賞奨励賞

受賞者岡墻裕剛(北海道大学大学院文学研究科専門研究員)
対象業績 『文字のしるべ』(B・Hチェンバレ著)の文献学的研究
副賞賞金 20万円

---------- 授賞理由 ----------

(1)立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞  久米雅雄 氏

従来の印章研究が印影や拓影を重んじた平面的研究に偏る学派と、実物の古印を重視する学派とがあるが、その2学派の手法に対して久米雅雄氏は、ともに批判的に検討し、考古学的手法を導入した。すなわち、発掘によって層位学的に時代差を把握すること、ならびに実物印の形式を区分し形式ごとの時代的変遷を把握すること、この2方法によって相対的編年を行い、各時代の鈕式と文字書体の特徴を明らかにし、印ならびに印影の作製時代を体系的に推定することに成功した。印章の文字書体を中心とする漢字文化の研究に関するすぐれた業績を高く評価した。

(2)立命館白川静記念東洋文字文化賞奨励賞 岡墻裕剛 氏

明治時代初期において、B・Hチェンバレンが著わした『文字のしるべ』の文献学的研究を行ない、『日本基本漢字』・「漢字用例」・公的漢字 表等との比較を通して同書の特徴と傾向とを明らかにし、かつ現存する同書29冊における書き込みの様態を精密に調査し、漢字学習の実態について精密な検討を行った。これは、日本近代における漢字普及度の実態や、国語教育史の研究において、従来になかった視点であり、この 『文字のしるべ』研究を基礎にして、研究のさらなる展開が大きく期待されると高く評価した。

-------- 立命館白川静記念東洋文字文化賞選考委員会--------

委員長 加地伸行(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所長)
委員 上野隆三(立命館大学教授)
木村一信(立命館大学教授・文学部長)
下中美都(株式会社平凡社取締役)
                             ※五十音順

第3回「立命館白川静賞」の選考について

第3回立命館白川静賞の選考は2008年11月に行われましたが、「該当者なし」との結果となりました。

 

第2回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」

第2回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」は以下の2件に贈ることを決定し、2007年9月28日、立命館大学朱雀キャンパス中川会館にて表彰式を行いました。
受賞者日本漢字教育振興協會(代表 理事長 土屋秀宇)
対象業績 幼児・児童への漢字教育活動
副賞賞金 50万円
受賞者エヴゲーニィ・イヴァーノヴィチ・クチャーノフ
Евгений Иванович Кычанов
ロシア科学アカデミー東方学研究所
荒川慎太郎
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授
対象業績 『タングート(西夏)語辞典』
СЛОВАРЬ ТАНГУТСКОГО(СИ СЯ)ЯЗЫКА;
Тангутско-русско-англо-китайский словарь
副賞賞金 50万円

---------- 授賞理由 ----------

(1)日本漢字教育振興協會

「漢字は、かなに比べて難しいので、かなの後に漢字を学習させる」という一般的な認識があると思われるが、日本漢字教育振興協會が行っている石井式に基づく方法は、幼児の視覚認識力に着目し、むしろ早期からの漢字学習を奨励し、さらに昔から伝えられている物語を仲立ちにして無理なく漢字を読むことができるようにする等、優れた内容を実践している。さらに漢字を覚えることだけではなく、「読み検定」の実施等、漢字・言葉を通した知識全般の拡大および情操教育に発展させていること、また長年の継続的活動そしてその活動が広がっているという実績を評価した。

(2)E.I.クチャーノフ 氏と荒川慎太郎 氏

古代語である西夏語の研究は、現在使用する者がいなくなったからこそ、学問的にも高い価値を有し、その困難さには計り知れないものがある。そしてこの分野に対して地道な資料収集と分析に取り組むことによって、辞典を完成した。西夏語・文字と中国語・漢字との対照表は古くから存在するが、これは字典(もじてん)ではなく辞典(ことばてん)であることが汎用性を非常に高めている。今後日本・中国・台湾を始めとする世界の西夏語・西夏文字の研究、さらには東洋史の研究に資することが期待される。

---------- 総括 ----------

第1回の推薦事項は、白川文字学および現代の漢字文化に関するものがほとんどでしたが、第2回はそれらに加え、古代漢字や漢字以外の東洋文字を対象とする推薦が有りました。「東洋文字文化」の概念および本賞の趣旨が、広く認知されるようになった結果であると認識しております。優れた業績が多数寄せられ、選考は昨年以上に難航しました。
本賞では先ほど申し上げた通り、3つの領域に基づく審議を行うこととしました。これは、本賞が白川文字学だけにとどまらず、広く東洋文字文化の分野における業績を対象とすることを示しています。
第3回の募集要項は追って発表いたしますが、本賞の制定が日本社会・文化の継承と発展、東アジアの平和と繁栄のための一助となることを願い、多数の推薦が有ることを期待します。

-------- 立命館白川静記念東洋文字文化賞選考委員会--------

委員長 高杉巴彦(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所副所長、学校法人立命館常務理事)
委員 上野隆三(立命館大学教授)
加地伸行(大阪大学名誉教授、同志社大学専任フェロー)
木村一信(立命館大学教授・文学部長)
下中美都(株式会社平凡社取締役)
本郷真紹(学校法人立命館初等・中等教育担当常務理事)
                             ※五十音順

選考委員会は、締め切りの2007年2月末日までに各団体から推薦のあったものを審議しました。委員会では、まず本賞の設立趣旨に基づき、推薦のあった候補を以下の3つの領域に基づいて業績を評価・審議することが決定されました。

①故・白川静博士(当時、名誉研究所長)の学問の継承・発展を目的としたもの。
②東洋文字文化の研究・調査にかかわるもの。
③東洋文字文化の教育・普及にかかわるもの。

この決定に基づき推薦された候補の業績を分類し、全会一致で上記2件を表彰することを決定しました。

第1回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」表彰式

第1回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」は以下の2件に贈ることを決定し、2006年6月3日、立命館大学末川記念会館にて表彰式を行いました。 表彰式の写真
受賞者沈慶昊(韓国・高麗大学教授)
対象業績 』(ハンジャ ペッカジ イヤギ),2005年 韓国・牡牛座
(白川静著『漢字百話』中公文庫2002年/中公新書1978年の韓国語翻訳版)
副賞賞金 50万円
受賞者漢字字体規範データベース編纂委員会
(代表 石塚晴通 北海道大学名誉教授)
対象業績 「漢字字体規範データベース」(URL http://joao-roiz.jp/HNG/)
副賞賞金 50万円

---------- 授賞理由 ----------

(1)沈慶昊 氏

』は、韓国での刊行後新聞各紙で直ちに書評が出され、注目を浴びた。自国語の表記法についてハングル専用と漢字併用との間で方法を模索している韓国において、漢字の諸問題や今日的課題を問う本書が刊行された意義は大きい。今後も白川の他の著作にとどまらず、日本での漢字研究の成果を韓国に紹介し、また韓国での研究成果を日本に紹介・比較研究を行うなど、日韓間の漢字研究の架け橋的役割を担うことを期待する。

(2)漢字字体規範データベース編纂委員会

大量の写本を丁寧に集め、膨大な時間をかけて資料を完成させる地道な努力をし、「字体・書体辞典」のような異体字や字体の集積とは別に「字体のゆれ」を把握するという、まさに日本的な着眼を行い、さらに中国だけではなく日本のものも収集し、編年化している。またこのデータベースを無料で公開しており、研究者に限らず書道家等の活動にも寄与することが期待される。選考委員会時点での公開内容は、整備・点検の終了された16文献(異なり字種3,638字種、総用例136,390字)のものですが、その後2006年4月に32文献(異なり字種4,037字種、総用例228,976字)のものに拡大している。韓国資料等も含めた全67文献、40万用例の資料が存在するということであり、それらの一日も早いデータベース化と、字体規範に関する研究を更に深められることを期待する。

---------- 総括 ----------

第1回と言うことで広報活動も十分ではなかったため、本賞がどこまで認知を得、その趣旨にご賛同いただけるのかを危惧していましたが、幸いなことに多数の推薦を得ることができました。残念ながら最終的に受賞には至りませんでしたが、優れた内容のものが多数有り、東洋文字文化に関する長年の活動が地道に行われてきたことや、日本国内で外国人が漢字を理解する必要性が有り、そのために様々な試みや工夫がなされてきたことを改めて感じております。

本賞では上述の通り3つの領域に基づく審議を行うこととしました。これは、本賞がいわゆる白川文字学だけにとどまらず、広く東洋文字文化の分野における業績を対象とすることを示しています。第2回の募集要項は追って発表しますが、多数の推薦が有ることを期待しています。

-------- 立命館白川静記念東洋文字文化賞選考委員会--------

委員長 高杉巴彦(学校法人立命館総務担当常務理事)
委員 上野隆三(立命館大学教授)
加地伸行(大阪大学名誉教授、同志社大学専任フェロー)
木村一信(立命館大学教授・文学部長)
下中美都(株式会社平凡社取締役)
本郷真紹(学校法人立命館初等・中等教育担当常務理事)

選考委員会は、締め切りの2006年2月末日までに各団体から推薦のあった
ものを審議しました。委員会では、まず本賞の設立趣旨に基づき、推薦の
あった候補を以下の3つの領域に基づいて業績を評価・審議することが決定
されました。

①白川静名誉所長の学問の継承・発展を目的としたもの。
②東洋文字文化の研究・調査にかかわるもの。
③東洋文字文化の教育・普及にかかわるもの。

この決定に基づき推薦された候補の業績を分類し、全会一致で上記2件を表彰することを決定しました。

立命館白川静記念東洋文字文化賞
選考委員会


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