研究プロジェクト例

私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(平成25年~平成29年)
「次世代「里山・里海」化を推進する情報化機械システム基盤技術研究」
研究代表者 川村貞夫

  • 研究目的

近未来の人の生活空間と自然の境界領域には,太陽光や風力などの自然エネルギー基地,橋,トンネル,堤防などの生活・防災目的の人工構造物,農林水産業などの生態系基盤の製造業施設等が存在します.このような境界領域を持ちながら,人と自然が持続的に調和を保つ関係が必要となります.古来より,日本では「里山・里海」として自然環境に人が入り,環境整備と資源確保を行ってきました.この概念を次世代の人の周辺環境として実現することが重要となります.しかし,現状では日本の「里山・里海」は人の不在により崩壊して自然が荒廃し,空中,陸上,水中のいずれにも,汚染等の多くの問題を有しています.自然エネルギー基地等を前提とする次世代「里山・里海」のためには,従来よりも高い時間的・空間的分解能で自然環境と人工物を観察し,科学的データに基づき,自然との調和を図る方策を実施する必要があります.本研究では次世代の「里山・里海」化のための環境調査,環境への働きかけ作業を人に代わって情報化機械システムで実現する基盤技術研究を行います.

  • 期待される効果

本研究では,「里山・里海」の荒廃の大きな原因である人の不在問題を情報化機械システムによって解決する試みです.人不在の理由としては,従事者の高齢化,林業・沿岸水産業の市場崩壊,エネルギー基地などへの新しい状況への対応が不明などが挙げられます.このような問題を情報化機械システムの援用により解決します.具体的な解決方法としては,多点同時環境計測,飛行体による山林の維持管理,山道を不要とする山林地面管理,多機能水中ハンドリング,高効率陸水両用移動等を想定する.これらの研究成果は,一般的な山林と沿岸域の環境維持,管理等に有用であり,世界的なニーズに対応すると予想されます.研究グループには,機械,電子,情報,通信,土木,建設,環境等の分野横断的な研究者が参画し,本研究テーマの解決法を分野横断的に行う中から新しいシステム創成が期待できます.さらに,開発されたシステムには実際にキャンパス内の山林と琵琶湖で実験を行うので,実験室レベルでの実験的検証よりも,実利用に近い状態での実証を行うことから,プロジェクト終了後の事業化が期待できます.