この頃の大学評価・IR室

開設記念シンポジウムを開催しました

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天狗先生
 立命館大学は、2019年4月に「大学評価・IR室」(IR:Institutional Research)を開設しました。
 これを記念して、9月5日(木)、朱雀キャンパス大ホールにおいて、立命館大学 大学評価・IR室 開設記念シンポジウム「大学の内部質保証をどう実現するか-認証評価やIRの視点から-」を開催しました。
 学外から多くの高等教育関係者にお申し込み頂き、当日の参加者は学内教職員も含めて300名近くに上りました。
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 基調講演では、大阪大学の川嶋 太津夫先生から、IRとは何かについて、歴史的変遷やアメリカの先進事例、日本の現状を交えながら大局的なご説明頂きました。また、日本の大学の内部質保証におけるIRの役割や課題についてご考察頂きました。
 お話の中では、日本においてIRは、教育プログラムの点検・評価や有効性の検2証、認証評価において強調されているが、アメリカではIRからIE(Institutional Effectiveness)、DS(Decision Support)へと広がりを見せ、大学の様々な領域や各部署における意思決定を支援するものとなっていることのご紹介もありました。
 ご講演の最後には、IRのあり方に定型は存在しないこと、自律的な組織にとって情報に基づいた意思決定は不可欠であること等の総括があり、IRが大学の行く末を照らすものとなるように願うと締め括られました。


 その後は、まずは立命館大学の事例として、大学評価・IR室 副室長の鳥居 朋子先生から、立命館大学が2018年度に受審した認証評価の経験を踏まえた内部質保証の到達点と課題についてご紹介頂きました。学部・研究科の独自性を尊重しつつ、部分最適を超えた全体最適を志向することの重要性が語られました。

シンポ3  次に、明治大学の事例として、教学企画部の
 山本 幸一氏より、明治大学におけるIRの機能と
 それを発揮するための組織体制、IRオフィスに
 おける多様な活動についてご紹介頂きました。
 明治大学におけるIRとは、意思決定を支援する
 上で必要な情報を提供するための調査・分析で
 あり、データを情報に変換し、レポートすること
 であるとのお話がありました。


 最後に、立命館アジア太平洋大学(APU)の事例として、副学長の横山 研治先生より、APUが世界市場で留学生に選ばれるための国際認証(AACSB)取得までの道のり、その評価基準やご自身のご経験に基づいた国際通用性のある大学教育と日本の大学教育とのギャップ、APUでの取り組みについてご紹介頂きました。お話の中では、AACSB におけるAssurance of Learning (AOL)の考え方のご紹介と、日本の大学におけるカリキュラムの細やかな見直しや必修科目の必要性について示唆がありました。
 
 その後、参加者交流会をはさんで、「国際的通用性を踏まえた大学の内部質保証とIRの役割」をテーマとしたパネルディスカッションを行いました。パネルディスカッションでは、大学が学位授与機関であることを改めて自覚し、授与する学位の水準やクオリティを保証することの必要性が再確認されるとともに、大学固有の理念や文化等に基づく内部質保証やIRのあり方の検討、中長期的かつ全学的な視点での教学マネジメントの重要性、日本国内に限らないグッドプラクティスの収集や大学での柔軟な制度化等について意見が出されました。

シンポ4


 参加者アンケートでは、「概念や理論の説明にとどまらず、現場レベル、運用レベルの話も聞けた。自大学に実装する想像がしやすかった。」、「IR室のマネジメントや学内での役割について、大いにヒントを得ることができました。」、「内容豊富な事例報告を3つも拝聴でき、またIRのこれまでとこれからをコンパクトにお伝え下さった基調講演を耳にすることができ、とても貴重な機会となりました。」「すべての報告、パネルディスカッションとも刺激的でした。」といったご感想を頂きました。


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