立命館大学 経営学部

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瀧 博教授

Hiroshi Taki

研究分野
①世界の職業会計士(公認会計士)の比較研究、②最新テクノロジーによる粉飾決算と監査の研究
主な担当科目
監査論、専門演習(以上、経営学部)、コーポレートガバナンス(経営大学院)、会計・財務(テクノロジー・マネジメント研究科)
Q1
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
上場会社の財務諸表に対する公認会計士の監査を研究しています。
しかし、2001年、世界を震撼させたエンロン社による巨額粉飾事件、2008年のリーマンショック後、EUで行われたコーポレートガバナンスや監査制度の大改革をきっかけに、会計・監査という狭い枠に閉じこもっていては、じつは会計や監査の課題を解決できないという限界を痛感しました。また、昨今の金融技術の発達、人工知能、ブロックチェーンなどの最新テクノロジーによって、会計や監査の技術は大きな変革を迫られるようになってきています。
そこで、会計や監査をとりまく、さまざまなルールに研究対象を拡げた国際比較研究を進めるとともに、そこにテクノロジーの進化がどのように影響しているかを研究しています。
Q2
どんな学生時代を送っていましたか。
全体として、勉強は好きでなく、大学にも通わず、当然授業にも出ず、ずっと音楽に熱中して過ごしました。勉強はほとんど自分でできてしまうので、わざわざ大学に行って退屈な授業を聴くのがホトホト嫌だったのです。
学部へ上がり、監査のゼミに入りました。そのとき、経済学部図書室で、ある本に出会います。それが、鳥羽至英著『監査証拠論』でした。単なる証拠論ではなく、「監査における『証明』の独自性を追求した研究」なんですね。感動と反感が入り交じった、高ぶる気持ちを抑えることができず、猛勉強の末、大学院に上がり(当時は2百数十人受験して5人しか合格しない時代です)鳥羽学説を攻略すべく、論理学や認知科学を勉強しました。それが、その後の私の研究のベースになっています。
Q3
現在の専門分野を志した理由・研究者になったきっかけを教えてください。
Q2に挙げたとおりなのですが、そもそも、大学時代の音楽も、それから監査論での「証明」も、極めないと気が済まない。それが大きいと思います。
それともう一つ。これは大学の教養部の授業で「光」をテーマにした物理学の講義があったのですね。後半になるとマックスウェルの電磁気学とか、アインシュタインの相対性理論の話も出てきます。先生は、難解な内容を、文系向けに上手に説明してくれました。毎回、本当に楽しみでした。
しかし、もっとも感動したのは「パラダイム・シフト」です。もしも研究者になったら、そういうものに出会えるかもしれない。これが研究者になろうと思った間接的な理由だと思います。
Q4
高校生へメッセージをお願いします。
英語は、大学生も高校生もstudentで違いはありません。しかし、日本語では、大学生は「学生」、中学・高校生は「生徒」ですね。
学生は、「生きるを学ぶ」と書きます。生徒は「徒に(いたずらに)生きる」と書きます。「徒に生きる」ので、生徒には親や学校による管理が必要ですが、学生は自ら学ぶものであり、自己管理が必要です。
大学では、何を、なぜ、どのように勉強するのか、自分自身で選択できるし、また、自分自身で選択しなければなりません。
君は何を極めたいか。
このことを念頭に置いて大学に来てください。

■おすすめの書籍や映画

映画
エンロン事件:「エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したか」「歪んだエンロン 虚栄の崩壊」
リーマンショック:「インサイド・ジョブ」「マネー・ショート」
日本の監査制度については、少し古いが次がある。 「NHK土曜ドラマ 監査法人」


■関連リンク

研究者学術情報データベース (ritsumei.ac.jp)