立命館大学 経営学部

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守 政毅教授

Masaki Mori

研究分野
華人の企業家ネットワークとビジネスの関係についての研究
主な担当科目
国際経営論、日中ビジネス論
Q1
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
華人と呼ばれる中国系移民がビジネスを行う際に、華人コミュニティー内で企業家のネットワークを活用しながら、どのようなビジネスを展開しているかということをテーマに研究をしています。世界中で4700万人ともいわれる華人は、移民先でビジネスを興した後、言語、文化習慣、物事の考え方、ビジネスルールなどを共通項に結束することによって大きなビジネスを生み出し、ダイナミックな展開につなげているのが特徴です。法律ではなく、関係性の中で守られるので、コミュニティーの秩序が常に保たれているという点でも興味深いものがあります。
チャンスを求めて色々な国に行った先人がコミュニティーを作っているので、後から来てもスムーズにビジネスができる基盤があります。そのコミュニティー・ネットワークがグローバルにも連結することで、華人のビジネスが世界に広がります。
Q2
どんな学生時代を送っていましたか。
中学生の頃、実家がホストファミリーとなったことで国際交流に関心を持ち、シンガポール人と英語で文通を続け、高校で米国でのホームステイを経験したことから、大学では海外留学を志していました。大学では経済学部で経営学を専攻し、3回生の時に1年間休学をして中国(北京市)に留学をして、中国語を勉強しました。中国は、改革開放政策が軌道に乗り高度経済成長が始まった頃で、長安街の近代的な国際貿易センターの前で野菜を積んだ荷馬車が走っているなど新旧入り乱れたなかで、人々がチャンスを掴もうと必死に生きている姿に、日本にない躍動感を感じました。また、素朴で飾らない中国の学生や、世界各国から集まった留学生と寮生活をしながら本音で語らうなかで、異なる価値観や考え方を知り、自分の原点や軸を見つめ直し、多様性とどう付き合うかを学んだ1年でした。日本では、青少年の交流活動(キャンプや観劇)や市民演劇にも取り組んでいました。
Q3
現在の専門分野を志した理由・研究者になったきっかけを教えてください。
中学生の頃、3年間を通じて「フロンティアタイム」という、自分の関心のある専門的な分野からテーマを設定し、探究活動に取り組む学習機会がありました。当時興味があった国際交流事業を県庁にインタビューしたり、教科書を取り寄せて海外の教育のシステムや内容を調べたりしました。何かを探求したり、それをレポート発表したりするなかで、研究に興味を持ちました。
また、中国留学中に、中国の人々は親族や友人といった人間関係を大切にし、それを利用して社会も回っていることに興味を持ちました。そして、経済成長のなかで、ビジネスの世界でも「関係(Guanxi)」をうまく活用し、中国系企業が成長している点に着目しました。大学院進学後は、専攻していた経営学と、留学時代に身に着けた中国語を活かして、恩師の勧めもあり、華人企業家のネットワークや、アジアにおける華人企業の経営について研究を始めました。
Q4
高校生へメッセージをお願いします。
今後皆さんが海外との繋がりの中で、グローバルビジネスを担う機会がますます増えることは確実です。企業は、若いうちから海外経験を積ませて、いずれはグローバルビジネスを牽引できるマネジメント力を持った人材の育成に注力しています。そのため、若い頃から頻繁な海外出張はもちろん、海外駐在も経験しながら、グローバルビジネスの最前線で頑張っている卒業生も多くいます。
大学では、それに対応できる基礎力を身につけて欲しいと思います。つまり、海外での留学やインターンシップを通じて、日本とは異なる社会環境に一定期間身を置き、様々な国籍の人たちと一緒に課題を解決したり、何らかの目標に対して成果を共創したりする。それを通じて、日本との共通点や相違点を理解しながら、課題解決のために自らがどう対応するか、多文化のバックグラウンドを持つ人たちとどう協働するかを経験することは、皆さんの将来にとって必要となるはずです。

■おすすめの書籍や映画

園田茂人(2001)『中国人の心理と行動』日本放送出版協会。
デイヴィッド・ツェ・吉田茂美(2011)『関係(グワンシ) 中国人との関係のつくりかた』ディスカヴァー・トゥエンティワン。


■関連リンク

研究者学術情報データベース (ritsumei.ac.jp)