立命館大学 経営学部

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下村 冬彦准教授

Fuyuhiko Shimomura

研究分野
異文化理解、多文化共生、人種差別(ホワイトネス研究)、英語リスニング教授法
主な担当科目
留学英語演習1&2、R1、CALL 1&2、Business English A1 & A2
Q1
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
今までに経験した「違和感を感じた」出来事を思い出してみて欲しいのですが、多くの場合「相手に無意識に期待していること」があり、その期待値(いわゆる「普通」の基準)からかけ外れた想定外の出来事や相手の行動だったから違和感を感じたのではないでしょうか?その「普通」の基準の大きく異なる文化背景の違う人々同士がコミュニケーションを取ろうとする場合に、互いの異なる「普通」の基準に基づいた相手の言動への期待が、いかに相互理解の障壁になりうるのか研究しています。また、社会はいわゆる多数派(majority)の「普通」の基準をもとに回っていることが多いため、その結果少数派(minority)にはどのような不平等を生み格差の維持に繋がるのか、人種差別の観点から研究を進めています。語学教育に関しては、シャドーイングの英語リスニング力向上への影響について調べています。
Q2
どんな学生時代を送っていましたか。
子供の頃から英語に関心があり英会話スクールに通っていましたが、大学2年の時に初めてアメリカ大陸の土を踏み、スタンフォード大学での短期留学を経験し、日本語以外の言語でのコミュニケーションをとる面白さ、アメリカという多様性が混在する社会の懐の深さやアメリカ文化、旅の魅力などに引き込まれ、海外や異文化への関心が深まっていた時期です。また、当時母校に在籍されていたイギリス人の教授の、洋書を用いて授業が全て英語で行われていた社会言語学のゼミで、四苦八苦しながらも興味のあった「文化とコミュニケーションの関係」について知見を深め、そのゼミで学んだ事柄への関心から最終的に大学院留学を志すことになったため、今にして思えば大学時代の経験や関心は今の私の人生やキャリアに大きく影響しています。
Q3
現在の専門分野を志した理由・研究者になったきっかけを教えてください。
授業が英語で行われることもあり、ゼミの友人の多くが英語圏からの帰国子女でしたが、帰国子女が公立学校に転入すると壮絶な差別を体験するケースが多いことを友人の体験談から知り、文化の異なる人々がなぜ「他者」として排斥される傾向が強いのか興味を持ったことが、異文化理解や多文化共生の研究への関心の糸口でした。また大学院時代を過ごしたアメリカでは、多様性について研究しようとすると人種差別問題は避けて通れないこともあり、いかに特定の人種の文化に基づく基準がアメリカ社会の「当たり前の基準」として通用しているか、その結果他の人種(いわゆる人種マイノリティ)が不平等や格差を強いられているのか、知ることになりました。Black Lives Matterの抗議活動以降、アメリカではstructural racism(社会構造的人種差別)に焦点が当たり始めていますが、格差や不平等を生む社会構造とその社会構造を維持する文化慣習への興味も今の研究分野への関心につながっています。
Q4
高校生へメッセージをお願いします。
自身に関する思い込みや決めつけが将来の可能性の幅を狭めてしまう可能性もあるので、知らない事柄にも可能な限り関心を持ってみることと、「面白そう」だと心動かされた事柄には可能な限り挑戦してみることで、気づいていなかった自分の一面に巡り合うこともあるでしょう。またさまざまな芸術の世界に触れ、自身の感性を磨くことで、物事に関する視点が大きく変わることもあります。気づいていなかった自身の才能の芽を大きく伸ばし、これまでの自身の限界の壁を越え、希望に満ちた豊かな人生を送られるように願っています。

■おすすめの書籍や映画

青木保 『異文化理解』 岩波新書 (2001)
佐藤淑子 『イギリスのいい子日本のいい子:自己主張と我慢の教育学』中公新書(2001)
桐島洋子『バンクーバーに恋をする–大人の旅案内』角川SSコミュニケーションズ(2010)
ジュール・ヴェルヌ『八十日間世界一周』東京創元社(1873)


■関連リンク

研究者学術情報データベース (ritsumei.ac.jp)