2002/04/26
顧客満足論
−第四回 戦略としての顧客満足(1) 顧客満足をどのようにとらえるか−
0.前回講義への質問など
(1)第二回講義の内容に関して
@「効率主義」から実際に「効果的効率主義」にシフトした企業はあるのですか。
A「効果的効率主義」を実現し成功したのはどのような例がありますか。
B病院のような人命にかかわる場で大きな利益を得ようとするのには問題があるのではないか。
C病院が効率化をはからざるをえなかったのは、患者を顧“客”として位置づけていたからなのでは。
D顧客とは、つまり企業にとっての“ターゲット”ですか。
E「喜びの投資」をすることは、理論的には良いように思えるが、現在低迷する企業のすべてが、多大な借金を抱えてまで投資することができるのだろうか。
F「事業環境に適合している状態」が捉えにくいと言った意見もあった。
G「イメージ消費」についてもう少し説明がほしいと言う意見も。
H消費という行動は人間の基本的な欲求があるから存在すると講義で言われたが、現在問題とされている「過剰消費」はどのようなことが原因なのでしょうか。
(2)第三回講義の内容に関して
@これからの時代に、競争優位を得て、顧客満足を達成するために必要な要素は何ですか。
A1970年代の「非営利組織のマーケティング」の課題、とは具体的にどのようなものですか。
B「ニッチャー」と呼ばれる企業は競争優位性を重視していないのですか。
C投資発想の失敗例にはどのようなものがありますか。
D選択性の代替案に「かける」という戦略がありますが、失敗例はどのようなものがありますか。また、この戦略が成功しやすいマーケットはありますか。
E戦略的顧客満足の点で、どこの重点を置くかの決定は、どのように行われるのか。
又、このような意見も・・・
・ ベンチマーキングについての話が聞きたい。
・ 「競争優位の結果としての顧客満足」が捉えにくかったです。
・ プレゼンテーションで企業の顧客満足について調べるが、どのように調べたらよいか。
・ 組織と顧客満足にはどのような関係があるのか。
・ 顧客は何を求めてるのか企業別に知りたい。
90年代はunsatisfaction状態であるが、例えば、高級ブランドなどは今でも買い控えが無いように思える。ここでいう消費者はunsatisfactionに当てはまらないと思うが、どうだろう
W 戦略的顧客満足の課題と対応(テキスト第3章)
1.はじめに
顧客満足の構造はどのようになっているのか→理論的な示唆を導く
2.機能充足仮説と対応
(1)ものやサービスの二つの属性〜テキストp67,表5
本質機能・サービス:満たして当然の機能やサービス
表層機能・サービス:「あればあるにこしたことはない」サービス
現在では、「どちらか一方」の充足だけでは十分な満足に至らない
(2)属性によるサービス充実度と満足度の関係の違い〜テキストp68、図4
本質では、最低許容水準を下回れば満足はゼロ以下(dissatisfaction)になる
逆に、一定以上の充実度は満足度の向上につながらない
表層では、充実度がゼロであっても満足度はゼロ以下にならない
例)銀行
安全性は本質であり、あきらかに不安な場合銀行に対する満足度はマイナスになる
しかし、ガードマンが10人でも100人でもほとんど安全性に対する満足度はかわら
ないだろう。
片や、窓口の親切さは親切であればあるほど満足度は向上する(はず)
3.機能代償仮説と対応
本質:一つの問題ですべてをつぶしてしまうので、代償作用がない
表層:一つの良さでほかの問題をカバーできるので、代償作用がある
例)ヤブだが愛想のいい医者
愛想は悪いが腕のいい医者で、受付の人は親切
もちろん、本質の部分でも改善が必要なところはやっていかないといけない
例)腕のいい医者でも、最新の医学知識を吸収しなければだんだんヤブになる
4.知覚矯正仮説と対応
(1)顧客満足はなにで決まるか
顧客満足はなにで決まるか・・・事前の期待と事後の評価との差で決まる
低い期待で高い評価ならいちばんよいが、じゃあ、事前の期待を下げておけばよいか?
・・・下げすぎるとそもそも買ってくれない
すると、「期待通り」でよいのか?・・・たいして期待せず、やっぱりそこそこだった、と
いうのも「期待通り」だが、それでいいのかなあ
(2)人の評価はゆがみがある
「多少不満」なくらいなら、人はむしろ自己正当化をはかる→「同化作用」
例)多少不満なクルマでも、他人に悪く言われると腹が立つ
結論的には、「実際より少し高めの期待をもってもらう」のがベストか?
5.顧客満足化の方法と統合戦略(p80〜81の図を参照)
(1)不満足空間への対応
a:本質機能・サービス〜改善戦略
b:表層機能・サービス〜無関心戦略
(2)満足空間への対応
a:本質機能・サービス〜維持戦略
b:表層機能・サービス〜表層機能強化戦略
(3)潜在的不満空間への対応
a:強化すべき機能・サービスの場合〜パフォーマンス・期待強化戦略
b:強化の必要ない場合〜低プライオリティ戦略
(4)潜在的満足空間への対応
a:将来必要な機能・サービスの場合〜期待上昇戦略
b:将来とも必要でない場合〜過剰削減戦略
6.顧客満足の実行と日常活動
戦略と実行活動の連動のために・・・適切な組織対応、コントロール(管理)システム
評価システム、などが必要
(1)権限委譲
「真実の瞬間」を充実させるために、顧客との接点に事業全体の主軸をおく
※サービス業に強く現れるが、メーカーにとっても他人事ではない
〜@メーカーでもサービスが重要になっている
A商品を送り出す「現場」の判断の重視
(2)組織対応
逆ピラミッド型組織作り・・・権限委譲を形にあらわす
(3)管理・評価システム
顧客満足、に焦点をあわせてこれらのシステム(さらには組織風土)を作る
例)ノードストローム百貨店
(4)組織ビジョン
「従業員満足(ES)」を高めることが顧客満足にも通じる
→従業員が自ら納得・満足できる高い社会的価値・意義付けを与えることの重要性
※トップはなにをすべきか
7.まとめ
@顧客満足をどのようにとらえるか
A顧客満足を実現する戦略的対応とは
B顧客満足を実現する組織のあり方とは