顧客満足論
−第6回 戦略としての顧客満足(2) サービス展開における顧客満足と組織−
 
 
 
 
 
 
X サービス展開における顧客満足と組織対応
 
1.はじめに−サービス経済化と顧客満足
(1)経済全体に占めるサービス・セクターの比重が相対的に高まっている
   →事業運営のあり方もサービスを軸とした考え方への転換が迫られる
(2)サービスの特徴
   基本的には無形性、派生的に同時性、顧客との共同活動など
(3)現場のオペレーションの重要性と戦略的方向付けの意義
 
2.二つのサービス運営スキル
(1)二つの運営スキル
  ・人間的運営法(アート)〜属人的 例)モスバーガー
  ・科学的運営法(サイエンス)〜一般的、普遍的。「愚か者の方法」 例)マクドナルド
(2)アートからサイエンスへ
 伝統的サービス・・・人間的運営方法が主
    →特定個人の能力が及ばない規模になると、これでは対応できなくなる
 近代的・大規模サービス・・・科学的運営法へ
(3)「サービスの工業化」
 @ハードのテクノロジーの導入(機械・設備):自動販売機など
 Aソフトなテクノロジーの導入(マニュアル化、システム化)
 B混合テクノロジーの導入:設備とシステムの結合
 
3.サービス満足追求の代替案と相互不可侵性
(1)対象となる顧客ターゲットに高い満足を提供することの重要性
   ディズニーランド〜経験の蓄積に裏打ちされた「子どもの目線」
(2)二つの運営方法は、同時に両方は追求できない
   一般的には、もっとも優れた業界内の科学的運営法の実行者がリーダー
         小さいながらも独特のサービスで狭い市場の疑似独占を達成するニッチャー
     →いずれもが対象となる顧客ターゲットに高い満足を提供する
(3)人間的運営をやってきた企業が規模拡大をする際の困難性
   これはベンチャーのステップアップなどでもおなじ問題がある
 
4.運営の未来戦略方向
 三つの新しいサービス業成長の条件と方向
(1)従来通りの小規模な人間的運営方式の維持
   小市場、高付加価値、高価格
(2)大規模化をねらい事業の運営全体を徹底してシステム化・マニュアル化(科学的運営方法の導入)
   大市場(マス・マーケット)へむけたサービスの工業化
(3)中間型:人間的運営を基盤にしながらサービス水準を落とさずに規模拡大をめざす折衷方式
   @伝承型拡大:たとえば「のれん分け」
   A理念による価値ベクトルあわせ:CI、企業文化の再構築など
   Bハイタッチ・ハイテック:裏方を技術で合理化し、人材を表へ回す
   C事業分権制:拡大した事業を細分化し、それぞれに優れた人材を配置し属人化する