顧客満足論
−第7回 顧客満足の今日的課題(1)関係性マーケティングとソリューション満足
1.関係性マーケティングと顧客満足
(1)関係性マーケティングとは(p179)
売り手と買い手のより長期的な「関係性(relationship)」に注目するマーケティングの発想。
企業と顧客との間のインタラクティブな双方向的コミュニケーションのなかから、具体的なウォンツが「共創的」に発生すると考える。(和田充夫の定義をもとに、近藤が整理)
(2)なぜ関係性マーケティングか(p183)
@環境の複雑化、不透明化→信頼に基づく長期的関係づくりが重要になる
A安定的な長期顧客との継続的な取引からこそ利益が上がる ※80対20の法則
B商品が高度化しシステム化することで、メンテナンスやアフターサービスの重要性が高まる
C関係性構築のための技術的基盤の発展(POS、会員カードなど)
D商品のライフサイクルが短くなり、顧客との関係を安定させた上で次々と新製品やモデルチェンジの対応をしていくことが求められる
Eサービス商品が拡大し、個客への対応が必要となる
F売り手と買い手の関係が変化している
(2)関係性マーケティングの意味
@相互依存性と「信頼」がキーワードになる。
単発的・合理的な取引では許されないことも、長期的利益から容認される。
→「満足」を長期的に考える 例)社会的貢献
(ただし、あるレベルを下回ると不信が増大し、「不満足」になる)
A長期的であるがゆえに、「全体」を捉えた発想が必要
たとえば個人であれば、単発的なウォンツの表現の背後にある「生活」を捉える必要。
B企業にとっては「関係」をもつ先は直接の顧客だけではない。
※具体的な方向性については、CRM(次回)でふれる。
2.ソリューション満足のマーケティング
(1)ソリューション満足とは
「二者の相互行為を通じ、買い手の認知した問題を売り手の解決策で充足すること」
もちろん、買い手のニーズなどに適合した商品を売ればそれだけでもそうなのだが、
問題の建て方としてこのように考えると、まったく異なってくる
例)ドリルか穴か
売り手が、買い手の問題の探索、発見から最終的な解決まで一連の対応で行うことが 課題。
※時に買い手は自分の問題がわかっていない
(2)ソリューション満足のマーケティング類型
@行動重視型:双方が問題と解決を知っている。単に距離などをうめて解決すればよい
マーケティングはあまり必要がない。要はどれだけがんばって「売る」か
例)のどが渇いている買い手、ジュースを売りたい売り手
A提案型:買い手が問題や解決をわかっていない。売り手から問題認識と解決方法を提供
例)どうやって事務経費を減らしていいかわからない買い手
B奉仕型:買い手はわかっているが、売り手がわかっていない
例)株の投資家と証券会社
Cワークショップ型:両方ともどうすればよいのかわかってない
時には「遊び」や試行錯誤も必要。数値管理になじまない。
例)セブンイレブン