2003/07/3
顧客満足論
−第12回 非営利組織と顧客満足−
1.非営利・公共組織と顧客満足
(1)非営利・公共組織とは
・狭義の「非営利組織」
公益法人:広く開かれた組織としてオープンな公共奉仕をめざすもの
たとえば医療、福祉、文化、教育など
共益法人:限られた会員のための組織として会員にのみ奉仕することをめざすもの
たとえば労働組合、農協、趣味のサークルなど
・公的機関(国際機関、政府、地方自治体など)
(2)顧客満足の観点から見た非営利組織
@事業は非営利だが、雇用された従業員が事業活動に従事するもの
→基本的には一般の企業などと同じ考え方で、事業活動の対象の顧客満足を考える
例)政府・自治体機関:国民、住民 病院:患者 学校:学生
A事業活動は基本的に自発的に参加する構成員・協力者によって担われるもの(b)
→事業活動の対象と、構成員・協力者の双方の顧客満足を考える必要がある。
例)政党:有権者・国民と党員・後援会員
ボランティア団体:援助される人と援助する人
サークル:おもには構成員自体の満足だけ考えればよい
B両方(@A)の側面を持つもの
→考え方としてはAと同じ
例)生協:組合員はお客さんであると同時に組織の主体者でもある
(3)非営利組織における顧客満足の重要性
非営利組織こそ「顧客満足」を重視する必要がある
〜「市場」の検証をうけない場合(行政など)
自己満足にならないために(ボランティア組織など):出資者との関係でも
(4)非営利組織における顧客満足の注意点
@顧客の表面的な要求にこたえるのがよいとは限らないことがある:学校など
=顧客自身が自分たちのほんとうの要求がわかっていないことが少なくない
A対価性がない場合、顧客の不満がいっそう潜在化しやすい:行政など
B構成員・協力者の顧客満足は忘れられがちである:ボランティア組織など
C提供される製品・サービスの「表層的」部分の重要性が忘れられがちである:行政など
D短期的な成果だけでは正しく評価できない場合がある:労働組合など
(5)非営利組織の顧客満足活動の具体的動き
@自治体における「行政評価」の導入
A大学における「授業評価」→「改善」のサイクルづくり