顧客満足論
-第1回 Ⅰ.「顧客満足」の時代-
 
 
 
0.受講ガイダンス
(0)教員自己紹介
  近藤 宏一 立命館大学経営学部助教授
        専門:サービス・マネジメント論、交通経営論
        メールアドレス kondok@ba.ritsumei.ac.jp
 
(1)講義のねらい
  ・顧客志向の経営の基本的な視点、考え方を把握する。
  ・「顧客満足」という考え方をリアリティのあるものとして学生自身の手で認識する。
 
(2)スケジュール
 4/16付で予定を大幅に変更しました。詳しくは第二回レジュメを参照してください。
 
講義の進行については多少前後することがある。
第10回から第14回の講義は、基本的に受講生生自身が企画運営する。受講生の関心に応じてグループを編成し、個別企業や産業分野におけるケースをとりあげてそれぞれの顧客満足活動の特徴や課題について調べるか、またはその他この講義から発想したそれぞれのテーマによって講義をつくりあげる。この部分については、講義運営のよしあしを含め受講生の相互評価とし、評価基準も受講生と協議の上決定する。
やむをえない事情などでこのグループに参加しない受講生については別途個人レポートを指示する。
 
(3)進め方
①講義(第1~9回、14回を予定)
   インタラクティブな講義にするため、毎回感想や質問を書いて提出してもらう。
   講義はレジュメをもとに行う。
    ※レジュメは教室以外では配布しない。必要なものはwebCTからダウンロードすること。
   原則として、それらの感想や質問に対しては翌週の講義の最初にコメントする
②受講生のプレゼンテーション(第10~13回を予定)
次のいずれかのテーマを選んで3~6人のグループを編成し、講義中にプレゼンテーションを行う。
 ・すぐれた顧客満足の実践を行っている企業をとりあげ、具体的に事例を紹介する。
 ・顧客満足の視点からみて問題のある企業/業界をとりあげ、改善提案をする。
※グループについては4/23の講義で登録するので、メンバーを決めておくこと。
※運営については、4/30にグループ代表者会議を開き、スケジュールを含め討議する。
 プレゼンテーション時の司会進行などはすべて学生が運営する。
※プレゼンテーションはレジュメまたはパソコンのプレゼンツール(PowerPointなど)を用いて行う。内容は1週間前までに近藤に提出し、必要な指示をうける。1週間前までに提出しない場合は、発表できない。
※プレゼンテーションの評価は受講生の相互評価とする。
※プレゼンテーションを行わない学生は、同じ内容の個人レポートを提出する。締め切り6月末予定。
 
(4)テキスト(4/16付で下記の通り変更)
 テキスト:和田充夫『関係性マーケティングの構図』有斐閣 主に第5回~第7回で使用
 サブテキスト:嶋口充輝『顧客満足型マーケティングの構図』有斐閣 主に第2回~第4回で使用
 
(5)試験
 記述式が中心。A4判用紙1枚のみ持ち込み可、とする予定。
 
(6)評価
  配点:試験           60点満点
     出席(レポート提出)   10点(5回未満ゼロ、5~9回:5点、11回以上:10点)
     レポート発表       30点(受講生による評価)
  評価:A:80点以上 B:70点以上 C:60点以上 D:60点未満 A+は状況による判断
 
 
Ⅰ.「顧客満足」の時代
 
1.「顧客満足」のイメージ
(1)学生の持つ「顧客満足」のイメージは?
 どれが正しいと思うか?
  ①親切ていねいに接客する。
  ②接客されるとうるさいと思うお客が最近では多いので、なるべくお客には近づかない。
  ③便利になることが重要なので、インターネットの通信販売が広がれば、店舗はいらなくなる。
  ④「棚の売り場はどこか」と聞かれたら、お客の手間を省くためすぐに棚の売り場へ案内する。
⑤お客様は神様である
 
(2)「顧客満足」への誤解
 ①90年代前半の「CSブーム」
    スローガンとしての「顧客第一主義」の広がり
    従業員の士気向上のための方策としての「CS運動」
 →「顧客満足」をなにかの「手段」と考える誤り
 ②「顧客満足」は経営理念か
    経営に対する考えの転換を迫るある種の「哲学」としての側面
     ・・・確かに「理念」の面はある
しかし、単なる理念ではない~具体的なシステムのあり方や経営手法を含む
 
 
2.企業主導から顧客主導へ
(1)生産性追求の時代
 戦後復興期=「いかにつくるか」
 
(2)セールスの時代
 高度成長期=「いかに売るか」
 
(3)マーケティングの時代
 「需要を作り出す」
 
(4)CS(Customer Satisfaction)の時代
 消費者が選択する時代 
  ※(1)~(3)は、消費者が十分に情報をもたず、また判断力も不十分だった
   現在は消費者が十分な情報と判断力を持つ時代である