顧客満足論
-第三回 戦略としての顧客満足(1) 顧客満足をどのようにとらえるか-
 
 
 
 
 
 
Ⅲ 戦略的顧客満足の課題と対応
 
(図表は『顧客満足型マーケティングの構図』p.70-81掲載。WebCTからレジュメをダウンロードした場合は、別途参照すること)
 
1.はじめに
   顧客満足の構造はどのようになっているのか→理論的な示唆を導く
 
2.機能充足仮説と対応
 
(1)ものやサービスの二つの属性~表5
   本質機能・サービス:満たして当然の機能やサービス
   表層機能・サービス:「あればあるにこしたことはない」サービス
    現在では、「どちらか一方」の充足だけでは十分な満足に至らない
 
(2)属性によるサービス充実度と満足度の関係の違い~図4
   本質では、最低許容水準を下回れば満足はゼロ以下(dissatisfaction)になる
        逆に、一定以上の充実度は満足度の向上につながらない
   表層では、充実度がゼロであっても満足度はゼロ以下にならない
    例)銀行
       安全性は本質であり、あきらかに不安な場合銀行に対する満足度はマイナスになる
       しかし、ガードマンが10人でも100人でもほとんど安全性に対する満足度はかわら
       ないだろう。
       片や、窓口の親切さは親切であればあるほど満足度は向上する(はず)
 
3.機能代償仮説と対応(図5)
 
   本質:一つの問題ですべてをつぶしてしまうので、代償作用がない
   表層:一つの良さでほかの問題をカバーできるので、代償作用がある
       例)ヤブだが愛想のいい医者
         愛想は悪いが腕のいい医者で、受付の人は親切
   もちろん、本質の部分でも改善が必要なところはやっていかないといけない
       例)腕のいい医者でも、最新の医学知識を吸収しなければだんだんヤブになる
4.知覚矯正仮説と対応(図8)
 
(1)顧客満足はなにで決まるか
   顧客満足はなにで決まるか・・・事前の期待と事後の評価との差で決まる
    低い期待で高い評価ならいちばんよいが、じゃあ、事前の期待を下げておけばよいか?
                    ・・・下げすぎるとそもそも買ってくれない
    すると、「期待通り」でよいのか?・・・たいして期待せず、やっぱりそこそこだった、と
                       いうのも「期待通り」だが、それでいいのかなあ
(2)人の評価はゆがみがある
   「多少不満」なくらいなら、人はむしろ自己正当化をはかる→「同化作用」
      例)多少不満なクルマでも、他人に悪く言われると腹が立つ
    結論的には、「実際より少し高めの期待をもってもらう」のがベストか?
 
 
5.顧客満足化の方法と統合戦略(図11
 
(1)不満足空間への対応
  a:本質機能・サービス~改善戦略
  b:表層機能・サービス~無関心戦略
 
(2)満足空間への対応
  a:本質機能・サービス~維持戦略
  b:表層機能・サービス~表層機能強化戦略
 
(3)潜在的不満空間への対応
  a:強化すべき機能・サービスの場合~パフォーマンス・期待強化戦略
  b:強化の必要ない場合~低プライオリティ戦略
 
(4)潜在的満足空間への対応
  a:将来必要な機能・サービスの場合~期待上昇戦略
  b:将来とも必要でない場合~過剰削減戦略