顧客満足論
-第4回 戦略としての顧客満足(2)顧客満足のマーケティング-
 
 
 
 
 
Ⅰ.サービス業における顧客満足マーケティングの展開
 
1.二つのサービス運営スキル
(1)二つの運営スキル
  ・人間的運営法(アート)~属人的 例)
  ・科学的運営法(サイエンス)~一般的、普遍的。「愚か者の方法」 例)
(2)アートからサイエンスへ
 伝統的サービス・・・人間的運営方法が主
    →特定個人の能力が及ばない規模になると、これでは対応できなくなる
 近代的・大規模サービス・・・科学的運営法へ
(3)「サービスの工業化」
 ①ハードのテクノロジーの導入(機械・設備):自動販売機など
 ②ソフトなテクノロジーの導入(マニュアル化、システム化)
 ③混合テクノロジーの導入:設備とシステムの結合
 
2.サービス満足追求の代替案と相互不可侵性
(1)対象となる顧客ターゲットに高い満足を提供することの重要性
   ディズニーランド~経験の蓄積に裏打ちされた「子どもの目線」
(2)二つの運営方法は、同時に両方は追求できない
   一般的には、もっとも優れた業界内の科学的運営法の実行者がリーダー
         小さいながらも独特のサービスで狭い市場の疑似独占を達成するニッチャー
     →いずれもが対象となる顧客ターゲットに高い満足を提供する
(3)人間的運営をやってきた企業が規模拡大をする際の困難性
   これはベンチャーのステップアップなどでもおなじ問題がある
 
3.運営の未来戦略方向
 三つの新しいサービス業成長の条件と方向
(1)従来通りの小規模な人間的運営方式の維持
   小市場、高付加価値、高価格
(2)大規模化をねらい事業の運営全体を徹底してシステム化・マニュアル化(科学的運営方法の導入)
   大市場(マス・マーケット)へむけたサービスの工業化
(3)中間型:人間的運営を基盤にしながらサービス水準を落とさずに規模拡大をめざす折衷方式
   ①伝承型拡大:たとえば「のれん分け」
   ②理念による価値ベクトルあわせ:CI、企業文化の再構築など
   ③ハイタッチ・ハイテック:裏方を技術で合理化し、人材を表へ回す
   ④事業分権制:拡大した事業を細分化し、それぞれに優れた人材を配置し属人化する
 
Ⅱ.ソリューション満足のマーケティング
 
1.ソリューション満足とは
 「二者の相互行為を通じ、買い手の認知した問題を売り手の解決策で充足すること」
   もちろん、買い手のニーズなどに適合した商品を売ればそれだけでもそうなのだが、
   問題の建て方としてこのように考えると、まったく異なってくる
    例)ドリルか穴か
   売り手が、買い手の問題の探索、発見から最終的な解決まで一連の対応で行うことが   課題。
    ※時に買い手は自分の問題がわかっていない
 
2.ソリューション満足のマーケティング類型
   ①行動重視型:双方が問題と解決を知っている。単に距離などをうめて解決すればよい
          マーケティングはあまり必要がない。要はどれだけがんばって「売る」か
           例)のどが渇いている買い手、ジュースを売りたい売り手
   ②提案型:買い手が問題や解決をわかっていない。売り手から問題認識と解決方法を提供
           例)どうやって事務経費を減らしていいかわからない買い手
   ③奉仕型:買い手はわかっているが、売り手がわかっていない
           例)株の投資家と証券会社
   ④ワークショップ型:両方ともどうすればよいのかわかってない
             時には「遊び」や試行錯誤も必要。数値管理になじまない。
              例)セブンイレブン