顧客満足論 質問への回答
(第5回)
 
 
0.関係性マーケティングとは
●関係性マーケティングに関するお勧めの本を教えてください。
 テキストか、同じ著者による『関係性マーケティングと演劇消費』でしょう。
●常連や顔なじみは関係性マーケティングの成功例といえますか。
 それがたまたまではなく、継続的に確保できるシステムができればそういえるでしょう。
 
Ⅰ.生活者のありようの変化
●「個性化」と「バラエティ化」の同時並行にさいて具体的に教えてください。
●「バラエティ化」と「多様化」の違いがよくわかりません。
 たとえば、音楽について、クラシックでも特定の作曲家に非常に興味をもってCDを集めている(個性化)人が、いっぽうでジャズやワールド・ミュージックにも関心をもって時々はCDを買ったりコンサートに行ったりする(バラエティ)ようなものです。いろいろな個性的消費をする人の幅が広がってくる(従来無名だった音楽家にも関心がもたれるようになってくるなど)のが多様化の広がりということになります。
●生活基盤形成部分では自社の製品をアピールするには値下げが最も有効な手段ですか。
 合理的・効率的な購買行動をするということなので、価格が絶対ではありません。コスト・パフォーマンスがよければよいわけですが。
●「バラエティ化」とはよくないことでしょうか。
 そんなことはありません。
●「バラエティ化」が若年層に特徴的なのはどうしてですか。
 経験が少ないので多様なものを求めること、先入観が少ないこと、探索にかけるエネルギーがあることなどです。
●生活基盤形成部分でも「多様化」「個性化」が現れる部分があると思うのですか。
 たとえば日用食器などでも、それを生活基盤形成部分として合理的・効率的消費を行うか、それとも生活の豊かさ実現を意図して個性的な消費を行うかは人によりけりです。
●「縦の多様化」の意味がいまひとつわかりません。
 たとえば、あなたが16歳のときと、いまとでは音楽の趣味がかわったりしていませんか? そうした時系列的な変化をさします。
 
Ⅱ.小売構造の変化
●コンビニで薬を売り出すということも、業態融合化になるのでしょうか。
 ただ薬を売るだけではなく、ドラッグストア的な機能を提供するようになるかどうかです。
●メーカーと小売の関係も強くなった場合、関係性マーケティングのデメリットはないのですか。
 なぜそのことでデメリットが生じるのでしょうか?
●メーカーと消費者の距離が近くなり、今後の卸・小売業はどうなっていくと思いますか。
 まさにこの講義をふまえて考えてみてください。
●「集中化」と「業態融合化」の具体例をもっと教えてください。
 いくらでもまわりにあります。むしろ自分で調べてみませんか。
 
 
Ⅲ.関係性構築のための技術基盤の進歩
●中小小売業には、技術基盤の導入は不可能なのですか、不要なのですか。
●現行の顧客管理システムよりパーベィシブ(・コンピューティング)の方が優れていると思うのですが、このような技術基盤の進歩により将来どのようになるか予想できますか。
 単純な予想はできませんが、最先端の機能がすべての企業・組織に必要ではないでしょう。パーベイシブ・コンピューティングは非常に多様な可能性をもつといえますが、そうした最先端でなくても、手の届く範囲での技術導入は可能ですしまた有効でもあります。たとえば一店舗で常連顧客が数百人程度なら、顧客管理システムに投資しなくてもパソコン程度でじゅうぶんですから、大規模なものを導入しないと関係性が構築できないことではないということです。
●これはネット上で消費者とコミュニケーションができるようになったことですか。
 それだけではありません。
●長期的に顧客を管理するためにポイントカード制以外のことをしている企業はありますか。
 顧客に単なる広告ではない来るのが楽しみになるようなDMを送ったり、顧客参加型イベントを開くなどがあるでしょう。
●過度な顧客管理は顧客満足を低くしてしまわないですか。
 過ぎたるは及ばざるがごとしということわざもありますね。