顧客満足論 質問への回答
(第7回)
Ⅰ. 流通取引と関係性マーケティング
1. 流通におけるパワーの問題
● 「正当性の認識」の“正当性”の意味がよくわかりません。
自分たちや他社が、同じシステムのなかで一定の依存関係にあることを正当なものとして認識するということです。
2. 関係性マーケティングを求める現場
● 「信頼と融合」は「合併」とはどう異なるのですか。
合併は、組織的にまったく一体化することであり、異なった主体がより積極的なものにつながる部分的な関係として「信頼と融合」を築くこととはまったく異なります。
● 「戦略同盟」であったとしても、長期的取引により信頼は築かれないのでしょうか。
テキストにも書いてありますが、認知的な信頼、つまりお互いの利益になる限りでの信頼関係は形成されます。しかし、関係性マーケティングの考え方からは、非認知的な信頼、つまり利益とは無関係に感情的・理念的な信頼をつくりだすことが重要です。そうした信頼は、自分と相手とがいてそれぞれ別な主体として関わり合うだけではなく、両者が一体不可分のものとして共同でことにあたることにつながるというわけです。
● 「戦略同盟」はどちらかのパワーが強ければ、成り立つ可能性は低いということですか。
ここで考えられているような「戦略同盟」にはならないということです。
● 「戦略同盟」によって、直接的に顧客との関係性を良くすることはできるのですか。
「戦略同盟」という発想は企業間の関係についてです。顧客との関係性は考慮されていません。
3. 焼きたてパン事業の「戦略同盟」は関係性マーケティングになりうるか
● 「ワークショップ型」戦略同盟は企業間に対等の力があることを前提に行われるのですか。
企業の規模や利益ということではなく、持っている能力の面で対等かどうかということです。
● 「アウトソーシング」と「ワークショップ型」の戦略同盟との提携というのは、どう違うのですか。
アウトソーシングは、アウトソースする主体がなにをどうすればよいかわかっていて、アウトソースをうける主体は基本的にはそれに従って仕事をすることになります。対等の同盟関係とはまったく異なります。
● 「チームMD」とは何のことですか。
「1商品にかかわる原料生産・加工・販売まで、言い換えれば川上から川下までの関係する各企業が情報を共有しながら、効率のいい生産活動を進めること。SCM(サプライチェーンマネジメント)の一種」(繊研新聞ホームページより)
● 「チームMD」とは逆に明確な役割分担の維持により安定した仕事から、お互いの信頼を得て関係性マーケティングになる可能性というのはないのですか。
それはあくまで認知的信頼の枠内であり、相互に簡単に解消できる関係です。
● 「両者の役割のあいまいさ」まで発展した場合、別会社として存在している意味はありますか。またこの「あいまいさ」はマイナスになったり、効率が悪くなったりということはないのですか。
両者は、すべての分野で共同で仕事をしているわけではありません。あくまで、お互いが戦略同盟をむすぶことに意味のある分野に限ってです。
また、短期の効率性に着目する限りでは、こうした関係性を構築するメリットはありません。相対的に中・長期の新しいブレイクスルーを導くことは、効率にこだわっていると困難です。
Ⅱ.ツー・ステージド・コミュニケーション
1. 第一段階としてのトライアル誘導
● 劇団四季の話題づくり(消防法との関連)はマイナスイメージにはならなかったのですか。
MKタクシーやヤマト運輸の例でもみられるように、「規制を突破しようとする」主体に対して世論は好意的です。個人的には注意が必要だとは思いますが。
2. 第二段階としてのリピート誘導
● 「インタラクティブ・コミュニケーション」がもたらすフィードバックこそがブランド・ロイヤルティと考えていいのでしょうか。
結果としてはそうだといえるでしょう。
● どのような企業もリピート誘導を必要とするのですか。
必ずしもそうだとはいえませんが、「関係性」が重視される背景を考えてもらえれば、非常に重要だということがわかると思います。
● 飲食店等を閉ざされた空間にする方法としてどのようなものがありますか。
一般論では回答が難しいですね。