2001/04/23
顧客満足論
−第三回 顧客満足論の系譜−
V 現代の顧客満足(テキスト第2章)
1.はじめに
2.顧客満足論の発展と系譜
(1)1950年代−認識の時代
ドラッカー:「利潤」から「顧客創造」へ
〜事業の「継続性」の観点から、次の成長のための新たな顧客創造の必要性
を強調 ※この考え方の正当性と限界
↓
「マーケティングの時代」を準備する考え方となる
(アメリカでは60年代からマーケティング全盛となる)
(2)1960年代−理念定着と体系化の時代
マーケティング全盛の時代
○「マーケティングの4P1)」の確立(マッカーシー、1960)
○マネジリアル・マーケティングという考え方(ケリー&レイザー、1962)
〜マーケティングは販売の「現場」ではなくトップマネジメントの課題である
○顧客志向による「事業の定義」の必要性(レヴィット、1962)
〜自分たちのやっている仕事が「事業」ではない!
※しかし、まだ「顧客満足」のマーケティングが理念や哲学としてのみ理解されていた。
(3)1970年代−社会価値導入の時代
急成長の「ツケ」がまわってくる→消費者運動などがもりあがる
○ソーシャル・マーケティングという考え方の発生(レイザー&ケリー、1973)
〜直接の顧客以外の「社会」を視野に入れる必要性
〜不満(dissatisfaction)への対応
↓
企業が本当に「真の」顧客満足を達成しているかどうか、ちゃんと測定・評価すべき
であるという反省を生む
※ただし、石油ショック以後の経済停滞のなかで十分にはソーシャル・マーケティングの考え 方はひろがらなかった
※いっぽうで、「非営利組織のマーケティング」という課題が認識される
(4)1980年代−競争結果としての顧客満足
○市場が拡大しないもとでのゼロサム型2)競争→「競争優位」の絶対化
市場シェアや利潤を評価基準とした経営戦略指向の強まり
↓
結局は「市場の価値」に基づく競争優位の意義が理解されてくる
※この時代は、「競争優位の結果としての顧客満足」という理解が支配的
(5)交換としてのマーケティング
※ここでの嶋口説には近藤は異論があるので、とばす。
(6)リレーションシップ・マーケティング
※あとの講義でふれるので、ここではやらない。
3.現代の顧客満足−dissatisfactionとunsatisfaction
どちらも、「顧客満足」が重視された時代であるが
1970年代:dissatisfactionの時代〜「不満」→怒りを沈静化する必要
1990年代:unsatisfactionの時代〜「満足でない」→一見消極的。仕掛けていくことが可能
(テキストp50,表2)
4.戦略的顧客満足の必要性−なぜ戦略か?
限られた経営資源のなかで企業の成長をめざすために顧客満足を追求するためには、戦略が必要である。では、ここで戦略とはなにをさすのか? (テキストp56、表3)
(1)選択性:不確実な環境のもとで最適と考えられるひとつの代替案に「かける」
→「あれもこれも」ではない
(2)競争優位性:常にライバル企業との相対的な競争優位のための顧客満足として考える
※「ドリルか、穴か」の問題がここで関わってくる
同時に、dissatisfactionへの対応とは異なる、選択的な判断が必要
(3)投資発想:コストではなく投資として追求される →未来志向と言い換えてよいかも
※加えて、「正しい方向付け」を「正しく行っていく」こと
5.戦略的顧客満足とベンチマーキング
では、自社が顧客満足を達成していくために、なにを基準としていくのか? Xeroxの例でみる
(顧客がどの程度満足しているのか、は調査でわかるにしても、それを向上させていくため の基準はどのように設定すればよいのか)・・・テキストp59、表4
(1)内的ベンチマーキング
(2)競争的ベンチマーキング
(3)機能的ベンチマーキング
(4)一般的ベンチマーキング
なんだあたりまえじゃないかというなかれ。これを本気でやるのはたやすいことではない。
〜「終わりのないレース」
レポート発表要項
<概要>
<指定テーマ>
@顧客満足について優れた事例(企業など)について紹介し、その何が優れており、なぜそれが可能になっているか検討する。
A顧客満足について問題のある事例(企業など)について紹介し、その何が問題で、何を改善する必要があるのかを検討する。
Bある産業分野をとりあげ、その業界における顧客満足活動について何がポイントなのかを検討し、具体的な事例をあげながら課題を提起する。
<グループの編成>
<グループの登録>
<グループ発表の運営>
1)4P:製品(product)、価格(price)、プロモーション(promotion)、チャネル(place)のこと。これらそれぞれがマーケティング活動の一部分をなすが、それらをばらばらではなく統合して行うことでターゲットを明確にしたマーケティング活動を行うことができる。プロモーションとは宣伝など製品やサービスを提供する側と提供される側とのコミュニケーション、チャネルとは製品やサービスを顧客に届けるルートのこと。
2)ゼロサム型:ゼロサム(zero-sum)ゲームとは、参加者の損得の合計が常にゼロになるゲームのこと。つまり、勝ったものがいれば、その勝った分負けたものが必ずいる状態。