2001/05/14
顧客満足論Q&A−第4回(5/7)分−
0.第2章以前に関わる質問
1.unsastisfacrtionは、私なら不満といえるし、今の消費者はあきらめたりしない。unsasitifacitonかdissatisifactionか、本質か表層か、というのは個人によって差があるのでは。
2.90年代は実績が上がったが、それ以上に顧客の期待度が上がったからunsatisfactionになったのでは。または、顧客の期待の質がちがってきたのでは?
3.企業が顧客満足を向上させるためにベンチマーキングを行い、それを目標、理念として掲げている企業が多いが、理念に掲げるだけではダメなのか。
4.ドリルで穴をあける会社はできないのだろうか。成功しそうな気がするが。
1.機能充足仮説に関して
1.本質機能=コア・サービス、表層機能=サブ・サービスと理解してよいのか?
2.表層機能と本質機能の関連性は?
3.表層機能は、本質機能が成立している上で機能するものなのか。
4.本質は前提条件で、顧客の満足度を上げるには表層をあげればよいのか。
5.サービスや商品の値段は本質機能と表層機能のレベルの高さで決まると思うが、それ自体は表層機能と考えてよいのか。
値段はいろいろな意味をもっていますが、値段本来は交換の基準の表示であり、それは本質とか表層というのとは別次元です。高い商品を買って満足感を得る、というような場合には表層的な次元で多少の意味があります。
6.表層が充実すれば価格は高くなるのでは。「この機能なくてもいいからもう少し安ければ」と思う商品があることからすれば、差別化でかえって顧客とのずれが生じるのでは(多数)。
7.表層の部分も行きすぎると「無駄だ」と思われて逆にマイナスでは。また、ATMで宝くじを買えるようなところまでやってしまうと、コストをカバーできないのでは。
第一に、充実させても高くなるとは限りませんから、これは「高くなった場合」という前提で議論する必要があります。議論する場合、このように一部にしか適用できない前提を無条件に導入してしまうと、ややこしくなります。
そのうえで、ある顧客層に対して必要な表層であれば、それは価格に費用が転嫁されても受け入れられるはずです。要は、顧客がどううけとめるかなのです。確かに、現実には「なくても・・・」と思う場合があることを否定しませんが。
8.商品は店頭に出る時点で本質は満たしているのではないか。とすると結局表層で勝負か?(多数)
9.表層機能のほうが期待と評価の差を付けるのが容易なのか。本質は評価を維持するだけ?
10.現在は本質が当然で、表層機能で顧客満足を獲得しているのが多いのでは。
11.顧客満足は表層機能で差が出ると理解してよいのか?
12.本質だけ満たしていれば顧客によっては満足するのでは。表層を削ってコストを下げている企業もある。
13.本質も表層もある程度高いものが出そろい差がつきにくい。どこで差をつけていけばよいのか。
14.表層機能・サービスに顧客が気づいていない場合はないのか?
15.表層機能・サービスが満たされていない場合はunsatisfactionになるのだろうが、それを無駄なく満足させるためにはなにか定義はあるのか。それともその場で考えるしかないのか。
2.機能代償仮説に関して
1.消費者は「サブ」の部分につられがちだが、今後それがさらに進行し、本質部分の不十分さをサブの部分の充実で補えるようになることはないか?
本質を表層で代替することはできません。というのは、本質そのものに問題があれば、それは商品・サービスとしてそもそも成り立たなくなる、あるいは根本的に不十分なものになるからです。顧客は本質が満たされている場合には通常あまり本質の部分を意識しませんが、本質が不十分な場合にはただちに厳しい態度をとります。
2.機能代償仮説によって、駐車場がなくても商品を無料配送すればフォローが成り立つが、その配送料は商品の価格に含まれるのか。
価格は別問題です。というのは、駐車場がある場合、それが無料なら通常そのコストは何らかの形で価格に転嫁されているから、配送料や駐車料金というかたちで表に出るのか、それとも無料配送や無料駐車場としてコストが価格に含まれているのか、という問題なのです。
3.本質の部分で一つでもゼロがあればすべてが無になる、という意味では本質はかけ算、表層は足し算だと考えてよいか。
4.味がおいしくないのに店の雰囲気だけでやっていけてる店は、機能代償仮説によるのか、それとも顧客満足は人によって違うからなのか。
5.表層的サービスの充実度がゼロなら満足度はゼロ、とすれば充実度がマイナスなら満足もマイナスになるのか。おいしい店でも店員の態度が悪いと「二度といかない」となるが、本質的なサービスの満足度が問題にならない状態といえるのでは。
6.機能代償仮説について、レジュメの医者の例ではなく、喫茶店だったらどうなるのか。ふつう「おいしいコーヒー」を期待するのだろうが、人によっては「気軽にはなせる空間」「愛想のいいマスター」などを期待するのではないか。本質はあるけれど表層はいまいちという店はたくさんある中で、本質より表層を重視するようなところが重宝されることもあるのでは。
顧客のニードやウォントに「態度」などが含まれているのか、含まれているとしてどの程度なのか、ということにこれらの質問の答えは左右されます。「雰囲気」を求めてくる顧客にとっては「味」よりも「雰囲気」が本質です。雰囲気をつくるうえでは「態度」も重要なファクターであり、本質の部分を構成するでしょう。「味」はまあ食べることができれば、あるいは「雰囲気をこわさない」程度であればよいのでしょう。病院に来る患者はとりあえず病気が治ることが第一で、愛想がよいかどうかは本質ではありません。6の質問は前半は正しいのですが、まさにその「期待するもの」が本質なのです。表層と本質が入れ替わっているわけではありません。
7.機能代償仮説で、表層の一部がダメでも他でフォローできるというのはすべての事例に当てはまらないような気がする。
3.知覚矯正仮説に関して
1.どんなに戦略的に考えたところで、人の評価にゆがみがあるのではあまり意味がないのでは?
ぐちゃぐちゃにゆがんでいるわけではなくて、多くの人に共通する一般的な「ゆがみ方」がある、というのがこの仮説です。したがって、そうした「ゆがみ方」を理解することで、より顧客への正確なアプローチが可能になると考えられています。
2.「知覚矯正」と「同化作用」は同じ意味か?
3.・同化作用の例の、「多少不満なクルマを他人に悪くいわれると腹が立つ」の意味が不明。
4.知覚矯正仮説における自己正当化は妥協ではないのか。少し高めの期待で不満を持つよりは期待通りのほうが満足ではないか。常に事後の評価が高いとは言えないのでは。
5.人は自己正当化を図るというが、クルマなどある程度長期間使うものであればいずれは製品に対するほぼ正しい評価、満足度が得られるのではないか。
6.高い値段を払う場合事前期待は高くなるので、事後評価との差はあまりない。一方で安い店には事前期待はあまり高くないので良いサービスなら事後評価との差は広がり、顧客満足へとつながる。とすれば、後者のほうが顧客満足を生み出しやすいのか。
7.知覚矯正は、たとえば彼氏に不満があっても友達が「あんたの彼氏はかっこいい!」というとそう思えてくるようなものか。
8.「多少の不満」は知覚矯正するというが、その場合次の購入時はその「多少の不満」によって買わないということもあり得るのでは。
9.もともと期待が低くて、あとから受けたサービスなどがよかったことからもともと期待も高かったと思いこむことも自己正当化か。
まず、テキストの該当部分を読んでください。自己正当化や「同化」は、いいとか悪いとか言う問題ではなくて、人間の心理一般にこういう傾向があるということなのです。また、知覚矯正はふつう無意識に起こるので、顧客は自分の知覚を矯正したなどとは思っていません。
10.「期待通り」でも必ずしもよくはないと説明していたが、いったいどれが一番ベストなのか明確に現れるのか?
11.期待通り、というのはその人のニーズに合っていたということで、顧客満足は達成できているのでは?
「期待通り」というのは、「不満ではない」状態であると理解されています。だから、問題はないのです。ただ、「競争優位」という視点から考えたときにそれだけでよいのか、ということです。意識的に「期待以上」と顧客に認識してもらう必要があるのです。
12.表向きに期待させるのは価格のみにして、品質の期待は顧客の価格から連想されるものに巻ませておけば、値段にしては品質がよいということになるのでは。
13.企業は顧客の事前の期待と事後の評価を調査して顧客満足度を設定するのか。
14.企業は事前の期待を意識的に作り出したりしているのか
15.事前期待はどのようにもたらされるか
16.知覚矯正で他人の影響によって満足度が変わるとなると、顧客満足は難しくなるのでは。
17.ある商品やサービスについて自分は不満である、が他の人たちは満足しているという場合、不満を持っている自分の感情は、一般的にはどのように変化するのか? 知覚矯正するのか?
18.「実際より少し高めの期待を持ってもらう」とはunsatisfactionにつながるのでは。
実現される成果よりもより少し高めの期待をもってもらい、そして顧客が事後には「期待通りだった」と認識してもらうことができれば、効率的です(悪く言えば、80円のものを勝手に100円だと思いこんでくれるのですから)。したがって、うまく期待をコントロールして顧客の満足をかすめとろうというわけです。
19.すごく期待して店に行き、そこの料理を食べてそこそこおいしいと思えたら、それは知覚矯正なのだろうか。いちいち期待通りだったとか考えずに、直感で味わえればよいのでは。
4.顧客満足化の統合戦略について
1.「潜在的」とそうでないところの境界線は何か。
2.潜在的満足空間の「潜在的」とは表層の部分と考えてよいのか。
3.商品や店の評価は口コミなどですぐ広がるので、「期待」と「評価」のギャップのある「不満足」および「潜在的満足」空間は、新しいものにありがちということか。
4.潜在的満足空間への対応は、顧客の立場に立って考えるものであるが、将来的に必要・不必要という観点からだけで考えていないのか?
5.仮想的顧客満足空間にあるどの要素の質を増すか、ということは戦略における選択といえるのか。
6.顧客満足への対応戦略について、基準となるのはパフォーマンスであり、その技術水準に合わせて期待水準を操作するという考え方で正しいか。
7.不満足空間の切り捨てがよくわからない。
8.無関心戦略で、駐車場がないといっていても最低限のものがないと不満が残る。すこしでもあったほうがましでは。
無関心戦略は、「駐車場がない」ことへの対応として、最初から完全に「クルマで来る」という選択肢を顧客にまったく意識させないことがねらいです。あるいは、「クルマで来る」人を自分たちが対象とする顧客からはずしてしまうのが、不満足空間の切り捨てです。最低限のものがないと・・・という感覚は、「なにがなんでも絶対クルマ」という顧客の感覚ですが、そういう顧客を相手にするのかどうか、という選択の問題なのです。
5.その他
1.「特命リサーチ」で「PS=Personal Satisfaction」という言葉がCSの最新型として紹介されていたが、いつ頃からそんな語彙が出てきたのか?
2.顧客の満足をどう評価するか、とは、お客の立場に立って考えるということではないのか?
3.マーケティングを学ぶ上で消費者の心理学はどのくらいのウェイトを占めるのか
経営・経済系のマーケティングの講義では消費者心理を中心的には教えませんが、心理学・社会学系では「消費心理学」という科目をおいている大学もあります。経営学と心理学とにある程度分業関係があり、現場では両方をくみあわせています。
4.小泉内閣は国民に対してどのようなサービスを与えることができるのか・・・というような考え方も消費者満足に当てはまるのか。
5.これまでの「マーケティング」とは、サブ・サービスに関するところで真に顧客の求めるものを探求し、充実させるということか。
6.ユニクロは本質(服の耐久性や価格)も高く、表層(店員も多く、ていねい)も高いので顧客満足が高いと考えるのは当然か。
7.友達のバイト先で、店長から「友達だから」ということでアイスクリームをサービスで出してもらった。かなり満足だったがこれは顧客満足だろうか。
8.あまり値段が安くなりすぎると消費者は疑いを持つのではないか。