2001/06/04
顧客満足論
−第8回 顧客満足の今日的課題(2)−
Z 顧客満足の今日的課題(つづき)
2 関係性マーケティングと顧客満足(テキスト第8章 ※再掲)
(1)なぜ関係性マーケティングか:p183
@環境の複雑化、不透明化→信頼に基づく長期的関係づくりが重要になる
A安定的な長期顧客との継続的な取引からこそ利益が上がる ※80対20の法則
B商品が高度化しシステム化することで、メンテナンスやアフターサービスの重要性が高まる
C関係性構築のための技術的基盤の発展(POS、会員カードなど)
D商品のライフサイクルが短くなり、顧客との関係を安定させた上で次々と新製品やモデルチェンジの対応をしていくことが求められる
Eサービス商品が拡大し、個客への対応が必要となる
F売り手と買い手の関係が変化している
(2)関係性マーケティングの意味
コトラー+グルンルースの定義(p188)
「マーケティングとは、顧客やその他の利害関係者集団との関係を、その全集団の目的が自社の収益を満足させ得るように、確立・維持・発展させるビジネス・タスクである」
つまり、関係者それぞれが自己の目的を追求することが、自社の利益になるようにし向けること。
具体的には、取引の当事者双方の満足を達成することになる。
例)いきつけの店
カード会員
メーカーと流通業者 セブンイレブンの例
3 ソリューション満足のマーケティング(テキスト第9章)
(1)ソリューション満足とは(p206)
「二者の相互行為を通じ、買い手の認知した問題を売り手の解決策で充足すること」
もちろん、買い手のニーズなどに適合した商品を売ればそれだけでもそうなのだが、
問題の建て方としてこのように考えると、まったく異なってくる
例)ドリルか穴か
売り手が、買い手の問題の探索、発見から最終的な解決まで一連の対応で行うことが課題。
※時に買い手は自分の問題がわかっていない
(2)ソリューション満足のマーケティング類型(p209,図23)
@行動重視型:双方が問題を知っている。単に距離などをうめて解決すればよい
例)のどが渇いている買い手、ジュースを売りたい売り手
A提案型:買い手が問題をわかっていない。売り手から問題認識と解決方法を提供
例)どうやって事務経費を減らしていいかわからない買い手
B奉仕型:買い手はわかっているが、売り手がわかっていない
例)株の投資家と証券会社
Cワークショップ型:両方ともわかってない
例)セブンイレブン
4.非営利・公共組織と顧客満足
(1)非営利・公共組織とは
・狭義の「非営利組織」
公益法人:広く開かれた組織としてオープンな公共奉仕をめざすもの
たとえば医療、福祉、文化、教育など
共益法人:限られた会員のための組織として会員にのみ奉仕することをめざすもの
たとえば労働組合、農協、趣味のサークルなど
・公的機関(国際機関、政府、地方自治体など)
(2)顧客満足の観点から見た非営利組織
@事業は非営利だが、雇用された従業員が事業活動に従事するもの
→基本的には一般の企業などと同じ考え方で、事業活動の対象の顧客満足を考える
例)政府・自治体機関:国民、住民 病院:患者 学校:学生
A事業活動は基本的に自発的に参加する構成員・協力者によって担われるもの(b)
→事業活動の対象と、構成員・協力者の双方の顧客満足を考える必要がある。
例)政党:有権者・国民と党員・後援会員
ボランティア団体:援助される人と援助する人
サークル:おもには構成員自体の満足だけ考えればよい
B両方(@A)の側面を持つもの
→考え方としてはAと同じ
例)生協:組合員はお客さんであると同時に組織の主体者でもある
(3)非営利組織における顧客満足の重要性
非営利組織こそ「顧客満足」を重視する必要がある
〜「市場」の検証をうけない場合(行政など)
自己満足にならないために(ボランティア組織など):出資者との関係でも
(4)非営利組織における顧客満足の注意点
@顧客の表面的な要求にこたえるのがよいとは限らないことがある:学校など
=顧客自身が自分たちのほんとうの要求がわかっていないことが少なくない
A対価性がない場合、顧客の不満がいっそう潜在化しやすい:行政など
B構成員・協力者の顧客満足は忘れられがちである:ボランティア組織など
C提供される製品・サービスの「表層的」部分の重要性が忘れられがちである:行政など
D短期的な成果だけでは正しく評価できない場合がある:労働組合など
(5)非営利組織の顧客満足活動の具体的動き
@自治体における「行政評価」の導入
A大学における「授業評価」→「改善」のサイクルづくり
グループレポートの発表に関して
(1)今日の運営責任者会議で評価方法、発表方法などについて決定し、各グループに連絡する
(連絡は各グループ代表者へのメールで送信する)
(2)各グループに対する質問には、7/9,16の講義で回答してもらう
(6/11,18発表のグループは7/9,それ以外は7/16)