2001/06/11
顧客満足論Q&A(第8回−6/4−分)
一 関係性マーケティング
1 関係性マーケティングは日本人の体質にマッチングしているのでは?これは海外などでも同じように使えるのだろうか?
2 これからは循環型社会を目指していくためには、関係性マーケティングと顧客満足のところで、新製品やモデルチェンジに対応していくことが求められているという話とは矛盾しているのでは?
関係性マーケティングや顧客満足の考え方は、循環型社会をどうやってつくるのかという問題にも参考になるはずです。わかりやすいので、例としては新製品開発の例を出していますが、あくまでこれは例示ですから、狭くとらえないでください。
二 ソリューション満足について
1 ソリューション満足のために、売り手が買い手の問題解決策を追求しすぎて、かえって単なる売り手の先走りになってしまうということがありえるきがするのだが、そうなった場合、これもまた顧客の不満を招いてしまうのではないか?
2 ワークショップ型は売り手と買い手、どっちが主導になるのだろうか?
3 ワークショップ型両方とも分かっていなければ、何か生まれるのだろうか? 売り手と買い手が一緒に考えるというのは今はこれが売れるのではないかとか話し合うこと? それは買い手がわかっていることになるのではないだろうか?
買い手は自分のところに問題があるのはわかっているが、どんな問題かがわかっていないか、どうすれば解決できるかがわかっていない。売り手は問題を解決できる可能性は自覚しているが、買い手の問題がなんなのかつかめていない、というような時です。
4 他のコンビ二はワークショップ型をとっていないのだろうか?
5 どの株を買って利益が出るのか分からない投資家に対し、利益の出そうな株を勧める証券会社は提案型にならないのだろうか?
6 ソリューション満足という言葉を今日はじめて聞いた、要するに顧客満足の中のひとつということなのだろうか? 買い手のニーズに合わせて・・・というのはこの講義ではよく聴くことだが、取り分けて何について行うことがソリューション満足なのか?
7 ソリューションマーケティングのワークショップ型の場合、解決策の発見に時間がかかりすぎて失敗する場合などはないのだろうか?
8 ワークショップ型がどのような構造なの?
9 ワークショップ型が現在最も一般的だと言われているが、どういった形で具体的で行われているのか?実際現場で売り手と買い手が一緒に考える場を持つことは困難ではないのか?
10 ソリューション満足のマーケティング類型は満足の質を表しているわけではないのか?
11 ミスドで実施されている「ドーナツの新製品募集」もワークショップ型に当てはまるのだろうか?
12 セブンイレブンの場合、一緒に考えるというより、顧客のデータを参考にして、そこで顧客の流行や好みを分析して、顧客にフィードバックするという提案型ではないのか?
ここでセブンイレブンをワークショップ型といったのは、メーカーとセブンイレブンの関係についてです。セブンイレブンはデータをもっているが、具体的にどのような商品化が可能かわからない。メーカーはセブンイレブンのデータにこたえる製品はどんなものかわからない、だからセブンイレブンとメーカーでワークショップをやるのです。
三 非営利組織の顧客満足について
1 非営利組織、公共組織の事務的な対応はサービスとして成り立っているのだろうか?このような組織はそこまでの顧客満足を求めなくてもよいのか?大学のサークルも非営利組織として顧客満足を狙う必要があるのだろうか?
サービスの定義を思い出してください。「ある主体が、他の主体に対して有用なひと、もの、システムの機能または活動のみを提供すること」でしたね。この定義からすれば、公共組織も学生サークルもひとつの主体として、誰かに何らかの機能や活動を提供しているわけです。営利企業と同様に利潤を直接の目的として活動しているわけではありませんが、やはりサービスをうけとる主体の「満足」を実現する必要はあるわけです。
2 非営利組織の顧客満足について、「非営利こそ顧客満足を重視している必要がある」とあったが、行政などを見ていると、顧客満足を重視しているようには思えないところが多くあり、不満が潜在化していると感じられるが、行政はそういう顧客満足についてどういう風に考えているのだろうか?また、行政評価とはどんなことをするのだろうか?
従来の行政の発想をこの講義に即して考えれば、本質機能・サービスの部分が満たされていれば役割は果たしており、表層機能・サービスは必要ないと考えられてきたわけです。しかし、社会が発展して人々が求める水準が高まるに従って、本質の部分でもより高品質なものが求められるようになったのとあわせて、表層の部分への要求も強まってきています。また、税金の使い方という点でも、より住民のニーズに密着したやりかたが必要になっています。このため、行政のなかでも住民・利用者の求めるものを適切につかみ、そうした人々の満足するようなサービス提供をしようという動きが強まっています。行政評価というのは必ずしもそれだけではなく、行政の効率的・効果的な活動を実現するためにその活動の品質を適切に評価しようとするとりくみです。
3 日本における非営利組織のCSに対する意識はまだまだ低いレベルにある、「医療ミス」や「学級崩壊」がその結果ではないだろうか?
医療ミスや学級崩壊は多面的な問題の反映であり、「CSに対する意識の低さ」に原因を還元するのは、一部のマスコミでもみられる見解ですが、危険です。意識ではなく、もっと制度的な原因が大きいように思います。逆に言えば、CSを意識しようにもできないような制度的枠組みに現場があまりにしばられていることに大きな問題がある(それとてすべてではありませんが)ように思います。しかし、非営利組織においてもっとCSを意識すべきなのは確かです。
4 非営利組織の医療において医療費はどのような位置付けになるのか?
医療費は国によって完全に規制されており、医療機関が裁量できるのは差額ベッドなどごくわずかです。そのこと自体の是非は別な問題としてありますが(医療経済論で勉強してください)、現在のところ医療機関においては「価格」を位置づけることは困難です。
5 なぜ非営利組織であるのに、黒字を求められるのか?
6 病院は倒産することはある?
7 非営利組織における顧客満足が高いレベルで、実現されることはあるのか?いつその日がくるのか?
8 NPOやサークルなど、非営利組織的な組織のCSを高めるには、どうすればいいのか?顧客からの発言が少ない組織がCSを向上させようとは思わないか?
9 なぜ構成員が事業活動の対象になるのか?事業構成員はなぜ顧客なの?
説明したはずですが、たとえば学生のサークルの場合、サークルの構成員によって活動が担われていますが、同時のサークルの目的は構成員の何かしたいとか、技能を向上させたいとか、試合に勝ちたいとかいう要求を実現することにあるわけです。だから、構成員自身が顧客でもあるのです。
10 非営利組織の顧客満足が高まってきたのは最近だというが、なぜそのようになってきたのだろうか?
いくつか理由はあります。第一に、行政のところで述べたように既存の非営利組織の活動に対する要求水準が高くなってきたこと。第二に、ボランティア組織など新しい非営利組織の活動が活発になってきたことがあげられるでしょう。NPO法の制定によって、こうした新しい非営利組織が社会的・制度的にも市民権を得てきたことがあります。
11 ボランティアでは相手が何を求めているか分からない場合もあると思うけどその場合は自分の思うようにやってもいいのか?
12 非営利組織では営利を目的としないために従業員満足が不十分になることが多いのではないかと思う。顧客満足を達成したみかえりが少ないのでは?組織構成員のモチベーションをどのように上げているのだろうか?顧客満足から得られる結果が民間企業と異なって不明確ではないか?
13 非営利組織のところで、「対価性がない」ということをあげていたが、4月から電化製品のごみに対して引き取り料を払う制度ができたが、この制度によって、不満は表面化しやすくなったのか?やはり、捨てるときに課税するのではなく、買うときに課税するほうがよかったのでは?
よく考えてほしいのですが、ここで「対価性がないと苦情が言いにくい」というのは、ここではゴミの収集活動についていっているのです。電化製品を廃棄する際に費用を払っていれば、ちゃんと集めてくれないとか、指定した時間に取りに来ないとか言うことについては不満を言いやすくなるはずです。もちろん、全社会的にみた場合には購入時負担のほうが合理的です。
14 なぜ人はNPO,ボランティア活動をしたいと思うのか?活動をしている限り援助する側のCSは成り立っているのでは?
ボランティア活動をする人の多くは、まったく見返りを求めていないかというとそうではなく、たいていの場合やはり充実感、達成感、自己実現などを感じたいとか、人間としての誇りをもちたいなどの思いを持っています。そうした思いを実現することによって、いっそう活動へ力を注ぐなどの効果が期待できます。逆に、そうした思いを実感できないと活動から離れていきます。
15 行政の表層的サービスって何?
16 政府なんて特に、国民を満足させてくれるのが本当だけれど、実際それができているのかどうかは調査結果として現れるだけで、政治家のお給料に直接響くわけでもないだろうし、その辺何とかならないのだろうか?
<立命館に引き寄せて考える>
1 最後にやった授業評価のところで、授業評価のやつを公表しないと、顧客満足活動にはならないのではないのだろうか?それとそのアンケートはどの程度反映されているのだろうか?
2 非営利組織もこれからもきちんとした戦略もってマーケティングを展開していかなければならないと思うが、そういう意味で立命館大学の動きは間違っていないと思うが、先生はどのようのお考えだろうか?
3 生協は私たち構成員が出資して運営している、私たちは顧客であるが、本屋さんなどでは生協カードを見せると安くなる。それはわれわれをリピーターの顧客として割引による囲い込みをしているのか、出資者への還元としてたらえているのか、どちらだろうか?
割引は、直接的には生協が非営利組織であることから、組織の構成員である組合員に、商品の中に含まれている「利益」相当分を還元しているわけです。書籍やCDは再販制によって価格が固定されていますが、生協、農協などの非営利組織は利益相当分を割り引くことで組合員に還元することが法的に認められています。。
4 学校の生協は非営利組織といっているが、他の営利組織とまったく違いが見えない。時には営利組織のほうがよいと感じることが多い気がする、このことはよいことなのか?
生協には生協という組織形態の意味があるのですが、日常の消費からだけではみえない場合も多いでしょうね。たとえば、長い夏休みに売り上げが激減するというような特殊な状況に、一般の営利組織はなかなか対応できないでしょう(不可能ではないですが)。
5 大学でのソリューション満足のマーケティング類型は行動重視型なの?
四 一般的質問
1 ユニクロの話で価格のことで論議しているが、実際に利用している人間として、ユニクロはめだま商品は確かに誰から見ても安いといえるが、それ以外は普通とそれほど代わらないと感じる。物の値段なんて絶対的に「安い」とほとんどの人間が思わないかぎり、なんともいえないではないか?あくまでも、人それぞれの主観であり、それに伴う製品の質も人それぞれの主観に大きく左右されているのではないか?
2 麒麟は朝日に遅れをとったあと、「淡麗」を売り出したが、これは差別化の戦略をとった朝日にはかなわないとみて、新しい市場を求めようとした結果なのか?
3 長期顧客の重要性について、車の場合、「乗り換える」というリピーター確保のサービスシステムがあるが、家電などの場合、POSシステムなどによる顧客管理は行っているが、今後、更なるリピーター確保戦略が必要じゃないだろうか?
4 今まで買い手であった人々が自分たちの各々のニーズ主張し始めているようだが、頼み込むWWW.TANOMI.COMや空想生活WWW.CUUSOO.COMがはやっているのもそのためだろうか?
5 顧客満足は企業の利益・成長のみならず、事業の維持存続を担うものなのだろうか?
6 具体的にどのような方法が市場を知るために有効なのだろうか?
7 枚方の電気屋の名前を教えて。
8 どうやって事務経費を減らしていいか分からないのは買い手?売り手ではなくて?
9 ネット販売でコンサルタントは可能なのか?
10 枚方の電気屋さんの話で、一部地域の人にしか売らないというので、それ自体大胆な戦略に思えるが、その他の地域の人に対してのCSはうまくいっていないのではないのだろうか?電化製品日はあまり詳しくないが、一部地域を売ったところで売上は上がっているの?
なぜ他の地域の人のCSを考える必要があるのでしょうか? 再三述べているとおり、CSを考える場合の「顧客」とは、企業なら企業が顧客と定義した対象であって、すべての人ではないのです。そんなことをいえば、大学はすべての受験生を合格させなければならないでしょう。
五 その他
1 「モーニング娘はなぜ売れるのか?」と言うテーマでプレゼンしてもいいだろうか?誰もした事のない切り口でやってみたいと思ったので。
2 一人どこの班にも属していない友人がいたので、今から僕らの班に入れてあげてもいいだろうか?
3 グループレポートの評価は全体評価だけで個人個人の頑張りの差はどうなるのか?多い人数のグループだと、その「やる」「やらない」の差は歴然であると思うが。