2002年11月21日
マーケティング論
第8回 製品開発とライフサイクル戦略
Z 製品戦略 (テキスト第6章)
2.ブランド
(1)ブランドとはなにか?
高級ブランドだけが「ブランド」ではない
ブランドとは、「売り手の製品を識別し、競争相手と差別化するための、名前、用語、デザインなどおよびそれらの組み合わせ」
・識別を製品アイテム単位で行うことを意図すれば、製品名=ブランドとなる
・識別を製品群を単位で行うことを意図すれば、ブランドによってある製品群を表す
例)WILL
・企業名も、その企業の製品全体を代表するブランドとなりうる
(2)誰がブランドを発信するか
@ナショナル・ブランド
大手メーカーが自社の製品をブランドとしたもの。 例)PANASONIC(松下電器)
Aプライベート・ブランド(PB。ストア・ブランドともいう)
小売(または卸売)業者が自社の仕様でメーカーに発注してつくらせたもの。
例)セイバーズ(ダイエー)、無印良品(良品計画)
※なぜPBは安いのか?
(3)なぜ「ブランド」で買ってしまうのか
無名の製品にもいいものはいっぱいある。なのになぜ・・・?
例:OEM(Original Equipment Manufactureing=相手先ブランド生産)の不思議
@ブランドは品質保証の表現である
Aブランドは一貫性の保証でもある 例)「無印生活」
Bブランドそのものが消費の対象にもなる
→この点、詳しくは石井淳蔵『ブランド−価値の創造』岩波新書、を参照
(4)売り手の側から見た「ブランド」
@ブランドの持つ意味
「ブランド・ロイヤルティ」の重要性
Aブランドが「資産(エクイティ)」としての価値をもつ
(5)ブランドに関する決定のプロセス (テキストにはありません)
@ブランドか、ノーブランドか
A誰のブランドにするか
Bブランドの名前をどうつけるか
C既存ブランドの拡張で行くのか、新規のブランドにするのか
D既存ブランドはこれでよいのか〜リポジショニングの必要性
(6)ブランドを考える上での注意
@ブランドの定義を広く解釈すれば、すべての商品にはブランドがある。しかし、それが「ブランド」として認知され定着するかどうかは、企業が意識的に取りくみ、それが市場に受け入れられた場合のみである。
A「高級ブランド」は、「高級」な「ブランドイメージ」を確立することに成功したブランドであるといえる。そのブランドの実質とブランドイメージは必ずしも一致しない。
[ 製品戦略(続)
1.新製品開発(テキストp.112)
(1)製品計画の本質
単に「いま何をつくるか」ではない・・・p112参照
製品ライフサイクル(図11)全体を見通した構想が必要
(2)新製品開発のプロセス
@アイデアの創造
Aアイデアのスクリーニング(精査、選択)
B事業性分析
C製品化
Dテスト・マーケティング
<質問への回答>
○フルラインかショートラインの選択は何によって決まるのですか? 企業が他より優位にたつ技術をもつ場合にはフルラインがよいのでは。また、なぜ現在においてショートラインが主流なのでしょうか
大きく言えば、ニッチ戦略をとるか、多様な理由から市場のより多くのセグメントをターゲットにしようとするか、によって決まります。花王の例で説明はしましたが、「技術」をもつからフルラインがよいとは必ずしもいえません。というのは、「技術」がフルラインのすべてで優位性を発揮する基盤となるようなものかどうかに関わっているからです。花王は化学という汎用性のある技術で優位があったため、フルライン戦略をとれたのです。
ショートラインが主流になった理由はさまざまですが、大きな理由としては消費の多様化、個性化が進むのにつれて80年代にはそれらに追随してアイテム数を増やす傾向が強かったのに対して、バブル以降利益率の低い多品種少量生産から、絞り込んだアイテムで市場占有率を高める方向性が強まったことがあります。
○良品計画は無印良品以外以外の事業を展開しているのですか?そして、無印良品がなぜプライベート・ブランドなのかわかりません。
良品計画は無印だけです。メーカーが自分の作っている製品を全国のさまざまな流通ルートで市場に対して展開するのがナショナルブランドで、小売企業が主導権を握って基本的に自社店舗で発売するために開発して展開するのがプライベートブランドです。西友に無印の売り場があるのは、もともと無印良品が西友のPBとして開発された経緯によります。
○ブランドは他と差別化されていることで「ブランド」ということなのでしょうか?「ブランド」ということがわかりにくい。
テキストをよく読んでみてください。なおわからなければ再質問を。
○4Pの中でプロモーション活動の本質とは何か?また、これは市場活動の中でどのような形で存在し、具体的手段としては具体的にどのようなものが考えられるのであろうか?
プロモーションについてはなにも話していません。先走らないで!
○テキストがマルクス経済学の視点から書かれているので偏っているのではないか。
これは重要な点なので、解説します。