2003年12月25日
マーケティング論
−第十三回 21世紀のマーケティング(第13-15章)−
※今回は、テキストの章立てには沿っていますが、内容はかなり独自のものです。
1.サービス・マーケティング
(0)なぜサービスなのか
・経済のなかでサービスの比重が高まっている〜生活と産業の両面で
・あらゆる分野でサービスの発想が必要になっている
(1)サービスとは何か
ある主体が、他の主体にとって有用な、人、「もの」、およびシステムの機能または活動のみを提供すること。(わたし近藤のオリジナルの定義なので、テキストとは違う)
(2)サービス業におけるマーケティング上の特徴
@基本の基本:無形性(形がない)
活動や機能は物的なかたちをとらない
無形であるために、次のような問題が生じる
・在庫ができない
・品質が事前に確認できない(例:美容師の腕はやってみてもらわないとわからない)
A無形性から派生する特徴
a)同時性(または不可分性)
サービスは対象がないとなりたたないし、対象は提供する側が準備することができない。
またサービスは、必要なその場でそのときに行われなくてはならないことが多い
※受け手がそのときその場にいなければ、仮にサービス活動が行われても無駄。 例:乗客のいないバス
b)結果と過程の等価的重要性
サービスにおいては結果として有用であったというだけでなく、活動や機能の提供過程
の質も問われることが多い。 例:歯医者
c)顧客との共同生産
しばしばサービスはその活動の一部をサービスの受け手の側が自ら行うことによって成 り立つ。
例:コンサルタント業 、レストランでのお客さん自身の役割
(3)サービス業における4Pに必要な視点
@製品:上記の「特徴」参照
A価格:価格自体が製品の品質を示す傾向が強い、交渉の余地が大きいなど
Bチャネル:サービスは輸送できないので、立地が重要になる
Cプロモーション:広告の意義と限界、口コミ的情報の重要性
2.ソーシャル・マーケティング
(0)なぜソーシャル・マーケティングなのか
・コンシューマーリズム〜70年代以降の企業活動やマーケティングへの批判の強まり
・「環境」や「地域」への意識や関心の強まり
・「営利」と「公共」の中間領域の拡大
(1)非営利組織のマーケティング (表14-1)
@消費者の特徴:ニーズがあるとは限らない
A提供側の特徴:目的達成が第一であり、利益が指標ではない
Bこうした特徴が4Pにどう反映するか
製品
価格
チャネル
プロモーション
(2)社会志向のマーケティング (ここはほぼテキストどおり)
@社会責任のマーケティング
安全性
環境対応
情報公開
A社会貢献のマーケティング
メセナやフィランソロピー
コーポレート・シチズンシッップ
3.関係性マーケティング
(0)なぜ「関係性」なのか
・信頼と長期取引の重要性
・「顧客」から「個客」へ・・・特に金融・保険商品に典型
(1)関係性マーケティングとは
売り手と買い手のより長期的な「関係性(relationship)」に注目するマーケティングの発想。
企業と顧客との間のインタラクティブな双方向的コミュニケーションのなかから、具体的なウォンツが「共創的」に発生すると考える。(和田充夫の定義をもとに、近藤が整理)
特徴:単発的・合理的な取引では許されないことも、長期的利益から容認される。
たとえば個人であれば、単発的なウォンツの表現の背後にある「生活」を捉える必要。
(2)関係性マーケティングからCRM(Customer Relationship Management)へ
「商品の売り手」から「個客のエージェント」へ
「Many to One」から「One to One マーケティング」へ