リゾート経営論
−第4回 リゾートの歴史的展開−
 
 
 
 
 
0.リゾートのイメージ
 
 <前回出てきたキーワード>
 
 <なぜそういうイメージをもったか>
 
 <その他>
 
では、リゾートの歴史からこうしたイメージの源泉を考えてみよう。
 
1.ヨーロッパにおけるリゾートの歴史
 
(1)イギリスにおける鉄道の誕生とリゾートの変化
 鉄道以前:ごく一部の特権階級のためのリゾート=憧憬型リゾートの原型 ex)バース
        特徴:高級、小規模、近場
 鉄道以後:リゾートの大衆化=回帰型リゾートの発生 ex)ボーンマス
        要因@顧客側:人間性回復の必要性、大衆的交通手段の登場
          A運営側:「地域開発」のはじまり(自治体、開発会社双方による)
 
(2)第一次世界大戦によるフランスのリゾートの変容
 第一次世界大戦に参戦したアメリカ軍兵士の休養の場所としてのニースの発展
  →「色白絶対」から「健康的な日焼け」へ
  →アメリカ人のヨーロッパへのあこがれの発生
  →「滞在税」による地域整備へ
 
(3)バカンスの誕生
 ロシア革命による「労働者国家」ソ連の成立→1922年労働法典:2週間の有給休暇の制定
 フランス左翼政権(人民戦線政府)の成立→1936年バカンス法:   〃
   ※フランスではその後1954年に3週間、1962年に4週間、1982年に5週間以上へと延長。
 
(4)第二次世界大戦後:「休暇」市場へむけた地域開発の展開
 ランデック・ルシオン(フランス)の開発(第二次世界大戦後)→雇用対策、地域振興
 しかし、戦後ヨーロッパはそれほど裕福ではなかった→長期・低廉型へ
 
(5)航空機時代のリゾートとしてのスペイン
 太陽に恵まれ、物価の安いスペイン→フランコ独裁政権の崩壊で安定
 チャーター航空会社が安い航空便を大量に動かすことで、バカンス客が激増
  ※旅行代理店、ホテル、航空会社の協調態勢
 
 
2.第二次世界大戦後におけるアジアのリゾート展開
 
(1)植民地時代のアジア−前史
 低賃金、低物価〜だれでも王侯貴族
 「はるか憧憬の地」として〜バリ、タヒチ
 
(2)ベトナム戦争がもたらしたもの
 アメリカ軍兵士の休養地→大量のドルが流入
             同時に売買春、麻薬・・・ ex)パタヤ(タイ)
 
(3)「歓楽街」からの脱却は可能か
   重要な外貨獲得源としての国家戦略・・・低廉、自然の魅力
 
3.アメリカのリゾート開発−個人と企業のはざまで
 
(1)リゾート開発の変遷
@20世紀初頭までの豪華リゾート:いわばバーチャル・ヨーロッパ ex)サラトガ
A鉄道時代の中産階級向け豪華リゾート:財閥による開発のはじまり ex)フロリダ
  1924〜25年の商工会議所による全米的宣伝キャンペーン
  巨大資本による巨大ホテル、ゴルフ場、マリーナ、カジノ・・・
  投機の対象として
B第二次大戦後の定住型リゾートの誕生:地域再生の核として ex)アスペン(コロラド)
C開発指向からの脱却:ネットワーク型 趣味や価値観を共有する人々の小規模なコロニー
           自然回帰型 自然との共生をめざす
 
(3)つくられた「地上の楽園」ハワイ
@「植民地」ハワイの開発の歴史
A巨額の予算をつぎこんだ観光宣伝によるイメージ形成
 
 
4.日本のリゾート開発−戦前から戦後へ(時間次第では次回へ)
 
(1)戦前の高級リゾート
  欧米人の「避暑地」開発が原点であるものが多い
  日光、箱根、雲仙、軽井沢
(2)戦後の開発型リゾート
 「西武対東急」〜箱根戦争、伊豆戦争
         1990年代の北海道対決
           東急:点と線をおさえた面的開発  ex)道東
           西武:中核施設を起点としたゾーン開発 ex)ニセコ
 
(3)「リゾート法」体制とその破綻
 
5.リゾートの歴史から何を学ぶか
(1)大きな流れ
  高級リゾートに原型
  大衆化=開発型へ
  大量消費・開発型と個性的・自然共生型の並存へ
 
(2)イメージの持つ意味の重さ
 
 
(3)これからのリゾートは?