サービス・マネジメント論 第4回
質問への回答
 
V.サービスの基本的特徴(つづき)
コアサービス・サブサービス
・ サブサービスに力を入れすぎて、コアサービスがおろそかになった具体例はありますか?
 
 
コンティンジェントサービス
コンティンジェントサービスに力をいれることは無意味ですか?
コンティンジェントサービスに力をいれても差はつかないですか?
 コンティンジェントなサービスが決定的になるような分野では、ここに力を入れることが重要です。たとえばブライダル産業、高級旅館・ホテルなどです。顧客の要求に個別性が高く、かつ突発的な事態に適切に対応できないと評価が非常に下がるような分野です。
 
二つの源流
アメリカの「サービスマーケティング」と、北欧の「サービスマネジメント」のどちらが今の主流ですか?
アメリカと北欧型は現在では同じ考え方になっているのでしょうか?
アメリカと北欧の違いは、サービスというものに対してのアプローチの違いでしょうか?
 どちらが主流というものではなく、もともとアプローチの違うものが融合されてきているのです。
 
日本の「サービスマネジメント」論は独自であるとレジュメには書いてあるのですが、元々は2つの源流から来ているのですか?
前田勇氏のようなものではなく、アメリカ・北欧型のサービス・マネジメント論は日本では 近年までほとんど研究されてこなかったのですか?
 日本のサービス・研究は独自の伝統を持っていますが、欧米のサービス・マネジメントがまとまって検討されるようになったのはここ15年くらいのことです。
 
アメリカで、まだ「サービスマーケティング」が重視されていなかった時代はホテルなどの接客も重視されてなかったのでしょうか?いわゆる「5つ星ホテル」などでもproductに力をいれていたのでしょうか?
 それが必要な分野(高級ホテルなど)ではもちろん接客も重視されてきました。ただ、おもにそれは経験的に蓄積されたいわば職人芸のようなものであったといえます。体系的に理解されるようになってきたのはやはりここ2,30年のことでしょう。
 
1960年以前はマーケティングのようなものはまったく無く経営活動をしていたのか?
 実際上マーケティング的なことは行われていましたが、それをマーケティングとして体系化したのはやはり第二次大戦後でしょう。
 
「システム」としてサービスをつくる重要性
六本木ヒルズは、サービス・マネジメントシステムを考えることは必要ですか?
 もちろんです。もちろん、多数の事業者がテナントとしてはいっているわけですが、「六本木ヒルズ」としてどのようなサービス・コンセプトをもってどのようなセグメントに対応していくのかを考えることが必要です。それをテナントにも貫徹していくことがデヴェロッパーには求められています。これがうまくいかず失敗したショッピングセンターなどの開発は少なくありません。
 
サービス
清掃業はサービス業ですか?
お芝居やライブ、ミュージカルもサービスですか?
 その通りです。サービスの定義から考えてください。
 
お笑いは人を楽しませるという意味ではサービスだと言っておられましたが、おもしろくなかった場合はどうなのですか?
 おもしろくなかった場合は、本来サービスとして成り立っていないことになります。だから入場料を返せとはなかなかいえませんが。
 
食べ放題のようなセルフサービスの多い店でもサービス活動といえるのでしょうか?
 セルフであってもサービスです。サービスの定義から考えてみてください。
 
サービスマネジメント
サービスマネジメントシステムと他の製造業などのシステムが主にどう違うのか?
他の業種にシステムは必要ないのか?
 戦略と実行活動、生産と流通といった、製造業では相対的に切り離して考えることができる諸要素が、サービス業では密接不可分であり、戦略策定上も実際の活動のうえでも切り離して考えることはできません。それ故、製造業と比べてよりいっそう全体的なシステムとしてとらえる必要があるのです。
 
サービスマネジメントはマーケティング論で学んだセグメンテーションなどと違う点はあるのでしょうか?
 基本は同じですが、上記と同じで相互に不可分なものとして理解する必要があります。
 
マーケティングとマネジメントは同じように考えてもいいですか?
サービスマネジメントは全体を重視し、サービスマーケティングは、市場や顧客を重視しているという点の違いだけで、他に相違点はあるのですか?
 どちらを重視するのかではなく、マネジメントは組織全体の管理運営に関わる考え方で、そのなかで市場や顧客との関係をどのようにつくっていくのかということについての考え方だと理解してください。
 
サービスマネジメントを達成するために、公正な評価をするための外部機関が必要な場合はあるのでしょうか?
 評価システムについては今後の講義、あるいは3回生配当の「顧客満足論」でふれていきます。
 
その他の質問
・ サービスの良し悪しはどのような判断をするのでしょうか?
 基本的にはサービスの受け手の主観的判断です。
 
なぜ、経営学はアメリカが優れているのでしょうか?
 個々の要因はいろいろありますが、資本主義経済システムがもっとも進んだ形で展開されているからではないでしょうか。一般的な科学の方法として、もっとも進んだものを分析することで、その原理的なあり方を理解することができるという考え方があります。