サービス・マネジメント論
-第1回 Ⅰ.なぜいまサービスなのかー
0.受講ガイダンス
(0)教員自己紹介
近藤 宏一 立命館大学経営学部助教授
専門:サービス・マネジメント論、交通経営論
メールアドレス kondok@ba.ritsumei.ac.jp
(1)インスティテュートのカリキュラムのなかでの講義の位置づけ
・サービス・マネジメントの基礎理論を学ぶ
・多様なサービス業の概観を受講生自身の手で把握する
(2)スケジュール
4/ 7 Ⅰ.イントロダクション~なぜいまサービスなのか
①講義の進め方についての説明
②なぜいま「サービス」なのか
4/14 Ⅱ.すぐれたサービスとは-具体的ケースから
Ⅲ.サービスの基本的特徴
①サービスの基本的特徴
②サービスの構成要素
③「もの」とサービスの関係
4/21 Ⅳ.サービス・マネジメントとはなにか
①サービス・マネジメントの誕生
②サービス・マネジメントの基本的考え方
③「顧客」とは何か
4/28 Ⅴ.サービス・マネジメント・システム(1) セグメンテーションとコンセプト
*グループ報告のためのうちあわせを行う
5/12 Ⅵ. 〃 (2) サービス・デリバリー、イメージ、組織理念
5/19 Ⅶ. 〃 (3) サービス・マネジメント・システムのまとめ
5/26 Ⅷ.サービス・マネジメントの展開(1) 顧客ロイヤリティ、従業員満足、ホスポタリティ
6/ 2 Ⅸ. 〃 (2) サービスの品質と価格、サービス・リカバリー
6/ 9 Ⅹ. 〃 (3) 非営利・公共組織のサービス・マネジメント
6/16~7/ 7 各種のサービス業とサービス・マネジメント(受講生によるレポート発表)
7/14 まとめ
(3)進め方
①講義(第1~9回、14回を予定)
インタラクティブな講義にするため、毎回感想や質問を書いて提出してもらう。
テキストを参照しながら、講義はレジュメをもとに行う。
※レジュメはその回の分しか配布しないが、webCTなどに掲載する
原則として、それらの感想や質問に対しては翌週の講義の最初にコメントする。
②受講生のレポート発表と質疑(第10~13回を予定)
テーマ:日本における各種のサービス業の現状とサービス・マネジメントの課題
希望するサービス業の分野ごとにグループを作り、調査してレジュメまたはpower pointを
用いて発表する。グループは第3回講義で登録。
その際には基本的に講義全体を受講生のグループが運営する。
(各グループの代表者が全体のスケジュールを決定、講義ごとの運営、発表、司会など
それぞれを分担して行う)
(4)試験
記述式が中心。A4判の紙一枚のみ持ち込み可(記載内容は自由)の予定。
(5)評価
配点:試験 60点満点
出席(感想レポート提出) 10点(5回未満ゼロ、5~9回:5点、11回以上:10点)
レポート発表 30点(受講生による評価を基礎とする)
※レポート発表に参加できない者は別途個人レポートを課す(正当な理由必要)。
どちらも行わなかった場合は単位を与えない。個人レポートの課題は後日発表。
評価:A+:90点以上 A:80点以上 B:70点以上 C:60点以上 D:60点未満
(6)テキスト
近藤隆雄著『新版 サービス・マネジメント入門』生産性出版、2003年
ただし、シラバス掲載の『サービス・マーケティング』でも対応可能。
(6)参考文献など
以下の文献の内容は講義と密接に関連している
・近藤宏一「サービス・マネジメント論の枠組みと課題」、『立命館経営学』第35巻第4号、199 6年。
・近藤宏一「サービス・マネジメント論における『サービス』概念の検討」、『立命館経営学』 第37巻第4号、1998年。
また、新聞では「日経流通新聞」にサービス業関係の記事は多く出るので、目を通すとよい。
Ⅰ.なぜいまサービスなのか
1.サービスが注目されるわけ
(1)サービス業がしめる比重が非常に大きくなっている
キーワードは「外部化」
A)生活の変貌
・高齢化:
・女性の社会進出、家庭のあり方の変化
・健康志向
・環境意識の高まり
・長時間勤務、長距離通勤の常態化
B)産業のあり方の変化
・外部化~情報化、環境志向、国際化などへの対応
ex)環境監査、廃棄物処理
・いわゆる「リストラ」
ex)経理部門は事務処理会社に
・ベンチャーなど多様な事業のあり方がひろがる
ex)秘書つき賃貸オフィス
(2)さまざまな事業活動にサービスの発想が求められている
・「作り手」の発想から「受け手」の発想へ=「顧客志向」
「ドリルを買う客はドリルがほしいのではない、穴がほしいのだ」
・国際競争、規制緩和
さまざまなサービス業の海外からの参入
規制緩和によって新規参入が可能に
→従来にない発想が必要に
・消費者・市民の意識の高まり
2.「よいサービス」とは ~日常用語としての「サービス」と科学としての「サービス」
(1)「よいサービス」のイメージ
受講生の考える「よいサービス」とは
(2)コトバとしての「サービス」
a)態度的用法
b)精神的用法
c)犠牲的用法
d)機能的用法
うえの三つは、科学的検討の対象としてのサービスではない。
(3)科学的に「サービス」をとらえる必要性