サービス・マネジメント論 質問への回答
(第3回)
----第3回----
1.サービスとは・・・
・携帯電話は「もの」を媒介としたサービスでしょうか。
そのように理解することも可能です。
・「かたち」のあるサービスは絶対にないのでしょうか。
かたちがないのがサービスなのです。「バットを使わない野球」が、もはや野球ではないのと同じです。
・質はサービスの一種ではないでしょうか。
違います。形のある製品を考えてみてください。「音のいいラジオ」と「音のよくないラジオ」は別種の製品でしょうか。おなじラジオの品質の違いにすぎないでしょう? それと同じことです。
・サービスの「情緒的側面」ありますが、ホスピタリティと同じことですか。
ホスピタリティについてはまた講義しますので、そのときに考えてみてください。
・サービスは在庫にできませんが予測することはできるのでしょうか。
予測は可能で、態勢をとっておくことはもちろんできます。しかし、それはサービスそのものの在庫とは異質です。
・サービス・マネジメント行政に用いることはできるのでしょか。政府の仕事はサービス業ですか。
もちろん、利益を目的としたビジネスと非営利のサービス活動は本質的に別物です。しかし、実際のサービス活動のマネジメントにおいては共通して考えることができる側面が大きいので、サービス・マネジメントの考え方を行政サービスにも応用することが可能だといえます。
・旅行代理店の旅行パックにはいろいろなサービスが入っていますが、どのようなサービスになるのですか。
そのいろいろなサービス全体がサービス・パッケージなのです。
・スーパーにある「お客様の声」はお客との共同生産になるのですか。
共同生産についてはまた説明しますが、これはあてはまりません。
2.コア・サービス、サブ・サービス、コンティンジェント・サービス
・どのサービスにおいてもコア・サービス、サブ・サービス、コンティンジェント・サービスを含んでいるのですか。
かならずとはいえません。
・コア・サービスとサブ・サービスははっきりと分けるのが難しいものがありますが、はっきりとわけて捉えなくてはいけないですか。
明確にわけるというよりは、相対的な違いとしてとらえたほうがよい場合はあります。
・サービスの提供する側と受ける側では何がコア・サービスで何がサブ・サービスなのか違うことはありますか。
受ける側から考えて規定する必要があります。
・デリバリー業界における配達時間はサブ・サービスに当たるでしょうか。
それは、サービスを受ける側にとって何が重要かによって違ってきます。
・コンティンジェント・サービスがコア・サービスになることはありますか。
その場合は例外的状況に的確に対応できることそれ自体がコア・サービスだといえるでしょう。
・コア・サービスよりもサブ・サービスのほうが差をつけるうえで効果的に思うのですが。
そう説明しました。
・「サブ・サービス」は人によって求めるものが違うと思いますが、提供者はどのようにして決めるのですか。
どのようなサブ・サービスがサービスの受け手にとって重要なのか次第です。
3.機能と活動
・態度は「活動」になるのですか。
活動の「質」を構成する要素だと考えています。
・機能と活動が同時に提供されるようなサービスはあるのでしょうか。
ありません。機能と活動は別な概念です。
・コンビニで好きなものを選ぶことは活動ですか。
それは消費者が自分で商品を選択しているのですから、まったくサービス提供側の問題ではありません。
・サービス・マネジメントにおける機能と活動の違いがよくわからない。あまり変わらない気がする。
・レンタカー会社は活動になりえないですか。
レンタカーはクルマの「機能」を提供しているわけです。レンタカー会社が「クルマの機能を提供する」活動をしているとはいうことは可能です。おなじ機械でも、自動販売機は商品を販売する活動を消費者にとって提供しているわけです。機械が商品を販売する機能をもっているとはいえますが、それは自動販売機を運営する側にとってのことで、消費者に対しては活動が提供されているのです。
4.「もの」と「サービス」
・「もの」と「サービス」が相互に代替性がある場合がある、というところがよくわかりません。
レンタカーを借りるか、クルマを買うかという例をよく考えてください。
・スポーツメーカーはサービス業ですか。「メーカー」と「サービス業」の違いがわからない。
スポーツ用品メーカーはスポーツ用品という「もの」を作っていますから、サービス業ではありません。
・消費者から見た場合「もの」と「サービス」の二つの選択があるということですか。
レンタカーを借りるかクルマを買うか、というように代替性がある場合にはそうです。
5.サービス・マネジメントとサービス・マーケティング
・サービス・マネジメントとサービス・マーケティングの定義は同じ意味と捉えてよいでしょうか。
相対的な違いはありますが、とりあえずあまり気にしなくてよいです。
・サービス・マーケティングには二つあるとのことですが日本では二つとも取り入れているのですか。日本ではどちらが主流ですか。
いまはこの二つの流れが大きくは融合しています。
6.その他
・飲食店においてサービスの仕方はマニュアルによって決まっていたり、独自のサービスをしたりするところもありますが、どちらのほうがよりよいサービスになると思いますか。
いちがいにいえません。それぞれのサービスがどのような活動を提供しようとしているのか、によって左右されます。
・日本とアメリカではサービスにチップなどの違いがありますが、どうしてこのように違うのですか。
特に違う理由があるわけではなく、歴史的に作り出されてきた習慣の違いといえるでしょう。
・サービスの本質よりも態度でカバーされているものも多いと思いますがそのような戦略もあるのでしょうか。
現場でも勘違いが多いのですが、そういうものを戦略とはいいません。