サービスマネジメント論第4回 質問と回答
 
サービス
・「コア・サービス≠利用者が一番重視すること」とありましたが一番重視することは何でしょうか。また利用者が一番求めていることをコア・サービスにするべきでは。
 説明しましたが、コア・サービスとはそのサービスが成り立つのに不可欠の要因であり、それだけに内容や品質に差がでにくいうえ、あってあたりまえであるので顧客・利用者の意識からぬけおちがちなのです。このため、利用者が実際にはサブ・サービスを重視する傾向があります。
 
・何もしないのもサービスでしょうか(バスガイドのいないバスツアー)。
 求められていないものは提供しなくてよいわけです。
 
・「同時性」の持つ積極性、「顧客との共同生産」にかかわる苦心と可能性がわからない。
 「同時性」は、一般にサービスは在庫ができないなどマイナスの側面が語られがちですが、逆に言えば顧客の必要に応じた柔軟な展開が可能であるということでもあります。
 また、「顧客との共同生産」は、生産過程を管理できないという面での苦心はあるわけですが、最近の傾向からすれば顧客自身の自発性や自己実現要求をうまくつかむことでより個別的なニーズに応じた対応が可能だということにもなります。
 
・(前回に続き)個性的なサービスは気分を害する場合があるので会社全体の均一化されたサービスのほうがよいのでは。
 個性的なサービスを提供することで、個々のサービスの質に著しく差がでてしまえば問題ですが、本来サービス提供者の個性が求められるようなサービスにおいては、個性の発露そのものが求められているのですから、均一化されたサービスとはそもそも異質なものなのであり、比較はできません。
 
生産と販売を切り離す
・生産と販売が別れているサービス業はないですか。
 サービスが形のあるモノに体化しているようなもの、たとえばクリーニングにおいては分離しているということができます。
 
・生産と販売が一体となる、ならないの意味がわかりません。
 たとえば美容院では、髪の毛をセットするという活動すなわちサービスの生産活動と、髪の毛をセットするというサービス商品を顧客に提供するという販売活動が一体となって行われています。クリーニングでは衣類を預かる、渡すという販売活動とクリーニング行為そのものは相対的に切り離されています。
 
・卸売業者に商品を売ることは販売活動ではないでしょうか。
 その通りです。それは形のあるモノを作っているメーカーの立場からみればそうなります。
 
サービス・コンセプト
・コンビニ各社のサービス・コンセプトの違いがわかりません。
 考えてみてください。違いはないかもしれません。
 
・サービス・コンセプト③ノウハウ移転④サービスとしての経営活動の違いがわかりません。
・外資系ホテルがおこなっている受託経営はサービスとしての経営活動といえますか。
 こうした受託経営はまさにサービスとしての経営活動の典型例です。
 
セグメンテーション
・この講義で出てくるセグメンテーションはマーケティングのセグメンテーションと同じ意味ですか。
 同じです。
 
・ターゲットを絞らずに広くたくさんの人をお客にすることは可能ですか。
 可能ではありますが、往々にして非効率でしょうね。
 
・コンセプトが先でセグメンテーションが後になる場合はあるのであるのでしょうか。
 あります。自分たちがもっている能力が先にある場合はそうです。
 
・不景気な世の中ではセグメントを変える必要はあるのですか。
 不景気だからではないでしょう。
 
・世の中では「中高所得層の40代」などのように人口統計的な方法が多い気がします。サイコグラフィックによるターゲット設定は多いのでしょうか。
 実際にはかなりやられています。
 
・性別、年齢などターゲットを絞る場合は何によって判断すべきなのですか。
 いちがいにはいえません。市場規模、収益性、将来性、自分たちが提供できるサービスの内容などを総合的に判断することになります。ただし、具体的にはいろいろな手法があります。
 
リサーチ
・どのようにして人それぞれに感じ方の異なるニードやウオンツを聞き、コンセプトにするのですか。
 感性評価法などの手法を用いて、個々人の価値観や感覚を含めたニードやウォントを調べます。
 
顧客の認識
・店側のコンセプトと消費者の認識がずれた場合どのように対応すべきですか。
 認識がずれたのならまずはそれを修正できないか考えるべきですが、実際には難しいといえます。たいてい、こうしたずれは店側が消費者の欲求を的確に把握できていないか、コンセプトとセグメントにずれがあるから生じるので、事業設計を見直す必要があるでしょう
 
その他
・1回生のときにマーケティング論とサービス消費論をとってないのですが大丈夫でしょうか。
 いまこの講義に出席していて、全然わからないのでなければ大丈夫です。ただし、この二科目は必要ですから、ぜひとっておいてください。
 
・ファミレスの「さと」が以前に比べて30代40代の利用が多かったですがセグメンテーションが絞られてコンセプトも変わったのでしょうか。
 直接調べていませんが、その可能性はあります。
 
・ひとつの会社が複数のコンセプトのもとで経営を行うことはありえるのですか。
 あります。飲食業の場合複数業種を展開している企業は多数あります。たとえばすかいらーくなど。