サービス・マネジメント論第6回
質問と回答
 
サービス・マネジメント・システム5つの要素
・理念と文化の違いがよく分かりません。
・組織理念より組織文化のほうがサービスで支配的でしょうか。
・理念は組織が自らつくるもので文化は自然と出来上がっていくものと捉えてもいいでしょうか。
 理念は意識的に形成し浸透させるものであり、理念が浸透すれば文化にもなります。文化はほっておいても形成されるものです。どちらが支配的というものではありません。
 
・組織文化がそのまま組織のイメージになることはあるのでしょうか。
 あるでしょう。
 
・イメージを定着させるのは時間がかかりますか。
 一般的にはそうです。
 
・TDLのような有名キャラクターを利用してイメージを作り出せないサービスはどうすれば効果的にイメージを作り出せるのでしょうか。
・効果的なイメージ作りの具体例はありますか。
 スターバックスがよい例です。アレンジコーヒー、全面禁煙、最初はわざと出店ペースをあげないなどを展開して、従来型喫茶店、コーヒースタンドとは全く異なるコンセプトをうちだしたわけですが、都会の「おしゃれな女性の休憩場所」というイメージを作り出すことに成功したことが急成長の要因でしょう。
 
・イメージ作りとは流行を生み出すということでしょうか。
 とは限りません。
 
・5.イメージ(2)c)その他とは具体的になんでしょうか。「洋風の建物に和風の料理」はこれに当てはまりますか。
 例えば店舗づくりなどは広い意味でサービスの特性に含まれます。その他とはたとえば歴史と伝統とかいうように短期的には操作できないようなものも含まれるでしょう。
 
・資産の大きい企業でないと高いイメージを獲得するという戦略を取れないでしょうか。
 そんなことはありません。
 
・サービス・マネジメント・システムの5つの要素の中で一般的に一番重要視されているものはなんですか。
 一般的にはどれが重要ということはありません。ただ、戦略的要素が明確に基盤としてあることは重要です。
 
TDL
・USJとTDLを比較して大きな違いは何でしょうか。
・USJとTDLのコンセプトとセグメントは大きく異なりますか。
 USJとTDLの比較はぜひみなさんで考えてみてください。
 
・TDLの弱点の部分で「受け身」という意味がよく分かりません、弱点は具体的にどう表れるのでしょうか(リピーターが減るとか)。「受け身」にならないように何か工夫しているのでしょうか。
 最近のサービスで重要な要素として顧客のサービス生産への参加、ということを以前に指摘しました。TDLにおいても無意識的な参加はあるのですが、たとえば自分の手で工夫することでよりおもしろくなるといった創造性が弱いということを指摘したのです。これはおそらくTDLとしてはそうしたことを求める層は対象にしていないのでしょうが、長期的なトレンドを見た場合には否定的な影響が皆無ではないと考えています。
 
・TDLでトイレに鏡がないのは現実世界からの離脱と聞いたことがあるがどういうことでしょうか。
 ほんとうに全てのトイレに鏡がないわけではないのですが、結果として鏡があまり意識されなくなっています。そのことによって現実世界からの離脱という効果ががあるという分析があるのは確かです。
 
・TDLの地下通路を見せないことによる神話的なイメージ作りのように企業が意図的につくり出したイメージはありますか。
 こうした「神話」も、実際に企業が意図的に作り出したものはあまりありません。出発点は「噂」にすぎないものを放置することで神話化されるということはあるでしょう。問題は、そうした神話を自社に有利な方向に利用できるかどうかです。
 
・TDLの従業員とお客の心温まるエピソードをテレビが紹介するのは、OLCのイメージ戦略なのでしょうか、それとも従業員のイメージが浸透している証明なのでしょうか。
 相互作用でしょう。
 
サービス
・サービスを提供する側と受ける側とのイメージに違いがある場合、サービスする側には不都合なのでしょうか。
 期待からずれることになりますから、評価が悪くなる危険性が高いといえます。
 
・最高レベルを目指すことにおいて顧客の求めている理念・価値観がずれるとどうなりますか。
 顧客の求めるものにおいて最高レベルを求める必要があるのです。
 
従業員
・従業員への意欲・能力を高めるためには具体的にはどのようなことがなされますか。
・「人的資源への投資」の従業員の意欲を高めるための投資とは何か。
 これは多様な手法があります。詳しくは「人材開発論」などで。
 
・従業員の意思決定権を必要としない業界はありますか。
 まったくない業界はほとんど無いでしょう。
 
その他
・モスバーガーとマクドナルドを比べられることは多いと思いますがモスバーガーとしてはどう思っているのでしょうか。
 紹介した「日経流通新聞」のインタビューを読んでみてください。