サービス・マネジメント論
-第14回 まとめ-
(1)よいサービスとは何か-もう一度、SASにたちかえって
①顧客(利用者)=セグメントに対応したサービス・コンセプト
セグメント:「ひんぱんに旅行するビジネス旅行者」
コンセプト:↑のセグメントに対して、「世界最高」
デリバリー・システム:ユーロクラスの導入
ビジネス客の利用に応じた運行時間(時間厳守を含む)
→このために、機体の変更、発着場所の変更などやりきる
結局、セグメントをどう理解するか、がコンセプトやデリバリー・システムを決める。
*同じ航空会社でも、セグメントが異なれば全く異なったサービスとなる
例)サウスウェスト、スカイマークetc
②コア・サービスとサブ・サービス
コンセプトに応じたコア・サービスを明確にし、そこをまず充実させる
SASの場合:定時性、安全性、利便性
サブ・サービスで不要なものは思い切って切っていく
顧客によるサービスの評価に関わるようなところは重視して投資もする
例)ビジネス利用者に対してチェックイン手続きを大幅に簡略化
③顧客(利用者)の捉え方
a)顧客(利用者)もサービス生産に参加している
b)顧客(利用者)の主観的な評価によってサービスの品質ははかられる
(2)よいサービスを支える「システム」の重要性
①明確なコンセプトが従業員の意識を変える
目標が明確・・・達成感がある
②従業員への権限移譲の重要性
現場の判断が尊重される組織風土
*この二つの要素が、「雪の日のコーヒー」の伝説を生んだ
③そうでなければ、従業員を演技者として教育する
これはディズニーランドやサウスウェスト航空の例
④理念やイメージの意味
(3)あらゆる分野で「サービス・マネジメント・システム」の発想を
今後の学習の方向について
(1)より深くサービス・マネジメント自体について学ぶために
講義:マーケティング論、顧客満足論、人材開発論
文献:ノーマン/近藤隆雄訳『サービス・マネジメント』NTT出版
井原哲夫『サービス・エコノミー』東洋経済
ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス編集部編『顧客サービスの競争優位戦略』ダイヤモン ド社
(2)いろいろなサービス業の経営について知りたい人に
講義:健康産業論、観光システム論、保険論、地域福祉サービス論、医療ビジネス論、ホテル事業 論、旅行事業論、交通システム論、レジャー産業論、スポーツビジネス論 など
文献:いっぱいあるので、総合的なものだけ
高橋秀雄『サービス業の戦略的マーケティング』中央経済
白井義男『レジャー産業のサービス・マネジメント』同友館
『環境インフラ時代へ向かうサービス産業』ソフト化経済センター編・発行
『統計で見る日本のサービス業』日本統計協会
(3)具体的なサービス企業について知りたい人に
文献:フライバーグ/小幡照雄訳『破天荒ーサウスウェスト航空驚愕の経営』日経BP
ベスーン、ヒューラー/仁平和夫訳『大逆転-コンチネンタル航空奇跡の復活』日経BP
シュルツ、ヤング/小幡・大川訳『スターバックス成功物語』日経BP
粟田・高成『ディズニーランドの経済学』朝日新聞社
マリオット、ブラウン/住友訳『マリオット・ウェイ サービス12の真実』日本能率協会マ ネジメントセンター(マリオット・ホテル・チェーンの話)
(4)地域や福祉のサービスについて考えたい人
文献:コトラー、ハイダー、レイン/井関正明監訳『地域のマーケティング』東洋経済
田村馨『都市のマーケティング』有斐閣
岩田・上野谷・藤村『ウェルビーイング・タウン社会福祉入門』有斐閣
(5)「すばらしいサービス」体験にうるうるしたい人
文献:山崎利夫編『体験・よいサービス悪いサービス 大学生が見た現場レポート』サイエンティ スト社
アンダーソン・ゼンケ/和田利春訳『こんなサービスが欲しかった!』ダイヤモンド