2001/05/07
サービス・マネジメント論
−第4回 サービス・マネジメントとは何か−
1.サービス・マネジメント論の系譜
(1)二つの源流
@アメリカの「サービス・マーケティング」研究(1970年代後半〜)
特徴:製品(goods)との対比でサービスの特徴を捉える
「マーケティング」一般から「サービス・マーケティング」の自立へ
具体的なサービス活動のいわば「やり方」の検討
「顧客」への注目・・顧客満足論との関係
*「サービス品質」の測定が重視されることのよしあし
A北欧の「サービス・マネジメント」研究(1970年代〜)
特徴:全体的な戦略としてのサービス・マネジメントを重視する
「関係」を重視する
(2)日本の独自の「サービス・マネジメント」論
前田勇氏・・・「サービス向上」論としての「サービス・マネジメント」
特徴:既存のサービス活動をどう具体的に改善するか、に焦点を当てる
※詳しくは、近藤宏一「サービス・マネジメント論の枠組みと課題」『立命館経営学』第35巻第 4号掲載、参照
2.サービス・マネジメントの基本的な考え方
(1)サービス・マネジメントとは
サービス・マネジメントとは
サービスを提供する組織のあり方と、その活動の指針を導く経営活動
*もう少し簡単にいえば、
「サービスの生産過程についての経営と管理」
具体的には、
@サービス活動全体(戦略、組織、現場)を貫く方向性を示すこと。
Aそれに応じたサービス活動の仕組みをつくること。
Bサービスを提供する側とうける側との相互作用を通じてサービスの品質を向上させること。
C以上の活動が全体としてよい循環を作るようコーディネイトすること。
(2)サービス・マネジメント・システム(テキスト12章)
サービス・マネジメントを実際に行っていく上での基本的な仕組みについての考え方
以下の五つの要素によって構成される(テキストp216、図11参照)
@マーケット・セグメンテーション
Aサービス・コンセプト
以上の二つは、マーケティングあるいは戦略の領域・・・(1)の@
Bサービス・デリバリー・システム
マーケティングをふまえた実際のサービス活動の仕組み・・・(1)のA、B
Cイメージ
D組織の理念と文化
以上の二つは組織の内外における関係の構築・・・(1)のCにかかわる
(3)なぜ「システム」か
@サービスにおける戦略と実際の活動
戦略と活動との相互作用が直接的である
「場当たり」にならないために
A「システム」としてサービスを考えることの重要性
「人」に問題が矮小化されがちであるというサービスの特殊性から
「循環」を作ることの意味
B発想としてはさまざまな応用が可能
例)まちづくり、地域おこし
*参考:コトラー他著『地域のマーケティング』1994年、東洋経済新報社。
3.サービスの受け手−利用者、顧客−への価値の提供(テキスト第10章)
サービス・マネジメントを考える上で、そもそもサービスの受け手がサービスをどのように捉えるのか、を理解しておく必要がある。
(1)受け手が感じる「価値」がサービスの「価値」を決める
@サービスは「顧客価値」によって評価される〜テキストp163、図10参照
Aサービスの品質に対する評価は、期待と実績の差から判断される〜テキストp148,図8参照
(2)常連さんが大事だ=顧客ロイヤリティの重要性
リピーターが利益を生み出す→「生涯価値」という発想
計算ももちろんだが、具体的に考えてもリピーターの収益性・効率性は高い