2001/05/14
サービス・マネジメント論Q&A−第4回(5/7)分−
一 授業内容に関する質問
(1)基本的な問題
1.サービス・マネジメントというコトバや考え方がどのようにできたのかもう少し詳しく教えて欲しい。
2.医者もサービス業とすると、人と接する仕事はすべてサービス業ということになるのか。それならサービス業ではない仕事はなくなるのではないか。
3.北欧で「サービス・マネジメント」研究が行われたことと、北欧が福祉国家となったことのつながりがあるような気がするが。
4.「定量的」という言葉の意味は
5.「サービスは『おまけ』ではない」というが、鉄道会社や航空会社が集客のためにサービスをするのは結局「付加的なモノ」つまり「おまけ」ではないのか。本来業務とはかけはなれたことをしているのだから・・・。
ここで質問者が「集客のためにサービスする」というときになにを念頭に置いているのかわからないのですが、たとえば航空便の中で飲み物やおしぼりを配るのは一般的には「サービス」と表現されます。これは確かに航空輸送サービスの全体の中では付加的ですが、しかしその経費は当然何らかの形で運賃に転嫁されており、「おまけ」ではありません。また、付加的であっても乗客が長時間座席に拘束されることからくる疲労感などを緩和するためのものであり、航空輸送サービスのサブ・サービスである快適性を向上させるためのもので、本来業務とかけ離れたものとはいえない。ここで「おまけ」といっているのは、一般的な日本語の用法としては「犠牲的」な意味、つまり対価として支払われているのとは別途、サービス提供者側が一方的に負担して行われている活動や物品提供をさしていっています。また、たとえばクイズに当たればグアムゆきチケットが当たるなどのキャンペーンが行われることもありますが、これは広告であり、サービス活動そのものとは別に考えなければならないでしょう。
いずれにせよまず、第3回の講義で説明したサービスの構造についてもう一度みなおしてください。もし質問者が別なことをイメージしているのであれば、また質問してください。
(2)戦略としてのサービス・マネジメントに関して
1.セグメンテーションの意味が今ひとつ分からない
2.サービスを受ける側の価値観は人ぞれぞればらばらなのだから、戦略も膨大なものになるのでは。
3.あまりに指針の影響力が強いと、個人の満足を充たすのは困難になってくるのでは。
(3)サービス・マネジメント・システムについて
1.なぜ「システム」として考えることが重要なのか
それぞれのサービス・マネジメントの要素をばらばらにどうにかしようとするのではなく、全体として理解することが重要です。たとえば、顧客と従業員が直接接するところにどうしてもサービス業の場合焦点が当たりがちですが、しかし、そこの接点というのはサービス提供者側の活動全体がそこに集約的に表現されるものであり、単に従業員だけをどうにかすればよいということでは決してありません。
2.サービス・マネジメント・システムの五つの要素の相互関係がわからない。
(4)顧客について
1.リピーターは重要と聴くがどれほど重要なのか。具体的事例で教えて欲しい。
2.USJとかはリピーターがないのではないか。東京ディズニーランドはリピーターが多いと聞くが、その違いは何か
3.あたらしいお客はコストがかかるというのはおかしいのでは。サービスの品質に差がでるのか?
コストがかかる具体例についてはテキストp 参照。もちろんすべてがこれに当てはまるわけではないですが、大なり小なりこういう傾向にあるということです。また、リピーターはそのサービスをうけることになれているので、手間がかからないということも多い。
4.サービスの評価は主観で決まるという場合、この主観は時と場合を含んだものは。
5.バイトで接客していると受け手の態度がサービスの質にも関わるようだ。
これもその通りで、その意味では質の高いサービスの提供を受けるためには、サービスの受け手の側もサービス提供者の側に対してどのように接するかを考える必要があります。また逆に、サービスの受け手をどのようにサービス提供しやすいかたちに誘導していくのかというシステム作りも課題となってきます。
6.リピーターと最初に来た人が両方たくさんレストランに来て入りきれない時はどっちの客が大事なのか。
いささか無理のある想定ですが、そのレストランがどういうセグメントを対象にどういうコンセプトを展開しているかによります。ごく一般論でいえば、リピーターの方を重視すべきなのですが、店と常連さんとのあいだに強い信頼関係があれば、「今日は譲ってよ」ということもできるでしょうし。
7.企業の実績が上がれば、顧客の期待が高くなり、それ以上のCSを達成するのは難しいのではないか。
8.サービスの評価が主観で決まるとすれば、提供する側はどれを基準にサービスを提供すればいいのか。
それぞれの顧客・利用者が、いったいなにを求めているのかということが基本です。主観といっても勝手に決まるわけではなく、顧客・利用者はじぶんたちがなにを求めているのか(needやwant)、どの程度のサービスを期待しているのかということから評価をするので、それを基準にしていくことになります。
9.お客さんにあまり期待させないほうがサービスの顧客価値はあがるのか。
10.顧客の価値は様々だが、ニーズを発見するにはどのような定義があるのか
二 補足説明
「サービス」というコトバの用法の問題について〜誤解が多いので
三 授業の進め方に関する質問、意見
1.発表は人の力が加わるので、テスト重視がよい。
2.経済学部生でマーケティング論を履修していない。簡単にでも説明して欲しいが。
3.航空サービスについての参考文献を教えて欲しい。
まずやはり『真実の瞬間』です。ほかに最近話題になったのは『破天荒』『大逆転』いずれも日経BP刊行があります。ほかに、ちょっと前の本ですが田中康夫現長野県知事の『全日空は病んでいる』なども。ただし、いずれにしても書いてあることが全部正しいというつもりは毛頭ありません。