2001/06/11
サービス・マネジメント論
−第9回 サービス・マネジメントの展開(3)−
グループレポート(1)
7.非営利・公共サービスのサービス・マネジメント
(1)非営利・公共サービスとは
広義のサービス業のうち
・「非営利組織」の行う事業(表2)
*組織の目的によってさらに大きく二つに分類される
公益法人:広く開かれた組織としてオープンな公共奉仕をめざすもの
たとえば医療、福祉、文化、教育など
共益法人:限られた会員のための組織として会員にのみ奉仕することをめざ
すもの
たとえば労働組合、農協、趣味の団体など
これについては「公共性」はない
・公的機関(国際機関、政府、地方自治体など)が行う事業
(2)非営利・公共サービスの特徴
@サービスは、それぞれの事業目的の達成のために行われる
例)災害ボランティア団体:被災者の生活を支援する
学生自治会:学生の要求や意見を集約して大学と話し合う
趣味の団体:会員の趣味活動が発展することを支える
Aサービスの「受け手」が市場原理では行動しないことが多い
例)災害ボランティア団体:被災者へのサービスの提供は被災の度合いで決まる
学生自治会:全学生が自動的に会員である(closed shop)
行政:サービスは住民に対して一律に提供される必要がある。
例外)医療:switching costは高いが、変えられないことはない。
Bしばしば、サービスの「受け手」と「提供者」が重複・錯綜している
例)災害ボランティア団体:被災者へのサービスが活動の中心だが、活動の参加者に対して も、達成感や充実感を提供することが求められる。
学生自治会:要求を実現するのは執行部ではなく全学生の力である
C「従業員」に求められる独自の機能
例)災害ボランティア団体:団体職員は、ボランティア参加者のコーディネイトやサポート がしごとであり、団体の主体者ではない
医療:通常の業務は営利的なサービスとあまり変わらないが、倫理性が強く求められる
D資金調達のためにマーケティングが必要である
例)災害ボランティア団体:市民からの募金を集めるためのマーケティングが必要
文化団体:企業からメセナ資金を、行政から補助金をとるための「営業」的活動が必要
行政:予算獲得、議会説得などなど
Eその他
(3)なぜ非営利・公共サービスでサービス・マネジメントが必要か
@目的達成のための事業活動には戦略が必要である
Aサービスの構造、およびサービス・マネジメント・システム自体はおおむね変わらない
Bいずれにせよサービスの受け手には「よいサービス」を提供しなくてはならない
(4)非営利・公共サービスにおけるサービス・マネジメント・システム
例)図書館
@セグメンテーション:子ども、子どもを連れてくる母親、昼間は働いている人etc
Aコンセプト:読み聞かせ、大活字本、本の種類、さらに「情報ステーション」化など
Bデリバリー・システム:夜間開館、出張、駅や幼稚園に返却ポストをおく
Cイメージ:開かれた図書館・・・デリバリー・システムと特に関係する
D文化:地域に本を読む文化を作り出す(組織文化をこえて)
E従業員:本の整理屋ではなく、文化の伝道師
F資金調達(価格システムはない):地域の支持を得る、寄贈キャンペーンなど
(5)まちづくり、地域づくりにこそサービス・マネジメントを
中心商店街、ニュータウン、中山間地・・・どこも「まちづくり」「地域づくり」の困難に直面
→誰のために地域はあるのか、を考えることから。
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