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  • 離れた介護者に漏れを伝える高齢者用おむつの開発

大学院理工学研究科 田中亜実

おしっこで発電できたら、
世の中をどう変えられるだろう?

おしっこを扱うと聞けば誰しも敬遠したくなるところだが、
彼女の好奇心はそれを許さなかった。
尿には電解液になる性質がある。
その事実を知った彼女は、尿漏れを伝えるおむつの設計図を書き上げた。
けれど実際には、発電はしても必要な電力の100分の1にも満たなかった。
前例のないことへの挑戦なのだから失敗は当たり前。
何百回かのトライの後、コンデンサに電力を蓄え、発電するシステムを開発。
世界初のバッテリーレス、ワイヤレスで離れた介護者に
漏れを伝える高齢者用おむつが生まれた。
気づけば過ぎた歳月は5年半。実用化まであと少し。
「身の回りの問題を解決できれば、世界がちょっと良くなると思うんです」
と彼女は言う。2050年には、3人に1人が65歳以上となる日本。
彼女の好奇心が、超高齢化社会の未来も照らしてくれるはずだ。