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  • ヒ素除去セラミックフィルター

大学院理工学研究科 水環境工学研究室 Md. Mahmudul Hasan

ヒ素入りの水を飲むか、飲まずに干上がるか。
そんな命の選択をなくしたい。

ヒ素は毒だ。この事実を知っていながらも、バングラデシュではその毒を口にする。
基準値を大きく超えるヒ素が井戸から検出されるが、水を得るための手段が他にない。
1杯ごとに死へと近づいているとわかっていながらも、生きるために飲まざるを得ない。
究極の矛盾にさらされている数、約5700万人。
ヒ素を除去する試みは何度も試された。
しかし、機材が高価で広まらない。メンテナンスが難しく継続できない。
電気も安定していないこの国では、先進国からの支援機材はどれも実用には至らなかった。
そんな現地の事情を考慮して発明されたのが、円柱のセラミックフィルター。
瓶に貯めた水をこのフィルターでろ過するだけの簡単さ。
当地の土で生産され、約30円のローコスト。壊れてもすぐに交換が可能だ。
彼は2年以上の歳月をかけ、現地でリサーチを続け実用性を証明した。
バングラデシュの特許も取得し、政府の実証テストの後に発売へ。
彼は言う「ヒ素に苦しんでいるすべての国に、このフィルターを届けたい」と。