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  • 水月湖での調査

古気候学研究センター 教授 中川毅

湖に沈んだ7万年を活かせるか?
人類は、過去に試されている。

急激な気候の変動は、現代社会には脅威となる。
この1万年間は、例外的に地球の気候は穏やかだった。
しかし、大幅な気候の変動を繰り返してきた地球の歴史を考えると、
安定した次代が突然終わる可能性はある。
現在、世界の注目を集めているのが、福井県水月湖での堆積層調査。
この堆積層は、年輪にちなんで「年縞」と呼ばれ
これまでない精密さで、年代測定の世界基準に認定された。
中川たちが手にいれたデータは、7万年分。
地層に含まれた花粉やプランクトン、火山灰や黄砂を分析することで、
過去の気候変動を1年単位で復元することが可能になった。
気候変動のメカニズムを把握できれば、
近未来の気候の予想精度もあがる。
現在、世界中の研究者たちと、ジャンルを越え
堆積土に記録された気候や磁場の変動、
火山噴火の歴史の研究などがすすめられている。
人類の未来は、過去にある。