株式会社国際協力銀行 麦田啓さん(2007年国際関係学部卒)卒業してすぐに「グローバル人材」になれなくてもいい。目標までのステップを知り、実行することが重要。

9.11をブラジルで経験して

高校2年生のとき、ブラジルに留学。現地では、日本で直接感じることのなかった「貧富の差」を目の当たりにし衝撃が走りました。また、その年の9月11日、多くの命が奪われたアメリカの同時多発テロも印象深い出来事でした。この事件の直後、アメリカに対する厳しい批判を耳にすることが多くあり、いわゆる反米的な意見を殆ど聞いたことがなかった私にとって、それがとても新鮮でした。1年間の留学生活を経て、国際経済および国際政治に強い関心を持つようになり、帰国後、立命館大学の国際関係学部に入学しました。

就職活動がはじまる頃、途上国での仕事に携わりたい一心で、京都を拠点とし、海外で貧困者支援を行っているNGOでインターンを開始しました。結果的に3年間在籍し、アフガニスタンで農業支援や女性のための識字教育、イランとヨルダンでは戦争で隣国を追われた難民に対する職業訓練や心のケアに携わりました。日々やりがいを感じつつも、非営利の枠に捉われない考え方に興味を持ち、ステップアップを目指してスコットランドのエジンバラ大学に留学することを決めました。

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「グローバル」の定義は自分で決める

大学院では、ビジネススクール(経営大学院)で新興国市場に特化したビジネスを学びました。アフリカ等の貧困国におけるビジネスの立ち上げをシミュレートしたり、社会的企業(ソーシャル・ビジネス)の概念について現地で調査することを通して、視野が広がりました。また、新興国を中心とした世界25ヵ国から集まった級友からも非常に良い刺激を受け、貴重な経験を積むことができたと思います。

在学中にアメリカのボストンで開催されたボストンキャリアフォーラムに参加し、そこで国際協力銀行(JBIC)への就職を決めました。JBICは日本政府が100%株を保有する政府系金融機関で、日本企業が海外進出する際のファイナンス面でのサポート等を行うのが主な役割です。入行後は環境審査室、外国審査部を経て、現在は営業部の産業ファイナンス部門西日本オフィスに所属しています。

環境審査室では、融資案件の事業地における環境・社会配慮に関する審査・モニタリング業務、外国審査部では、中東・アフリカ地域の経済・政治状況を日々フォローし、諸外国の格付付与・管理業務を担当しました。大阪の西日本オフィスでは、主に中堅・中小企業の海外進出をサポートする業務に従事しています。

JBICは、海外企業に加えて諸外国政府機関とのやりとりも行っているので、現地のモニタリング、案件交渉および調査等で海外出張をする機会もあります。部署によって業務は大きく異なりますが、どの業務からも得られるものが多く、やりがいを感じています。業務の中には英語を使用するものもありますが、日常は日本語を使いますので日本の政府系機関で働いているという感覚で仕事をしています。そのため、現在の仕事を「グローバルな仕事」と呼べるか否かは、その定義により解釈が異なると思います。

漠然と「グローバルに活躍したい」といっても何を指すのかは人によって様々ですし、外国に移住して住むことを指すことも、英語を使った仕事に従事することを指すことも、または海外出張ができればいいと考える人もいると思います。最終的には自分自身が「どのように活躍したいのか」をはっきりと思い描くことが大事ではないでしょうか。

目標には時間軸を

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私の場合、「グローバル人材」というと、世界に通用するプロフェッショナルをイメージします。もちろん、自分もそのようになりたいと願いますが、今はまだ、プロと呼べるまでに至っていないのが現状。特に、スコットランドでの大学院在学中は、語学力も知識も理想とは程遠い自分に挫折感を味わうことも多かったです。幸い就職活動においては、「日本人として」、語学力やその他スキル・経験を掛け合わせ、どうにか競争力を持つことができました。世界に通用するプロとは程遠いけれど、まずは実務経験を通じた知識やスキルを身に付け、将来的な目標に向かってスタートしたい。現在の自分は、その途中段階に過ぎないと思っています。

学生の頃から、将来が見えず不安になったときは、40歳の自分をイメージするようにしていました。そうすると、今の自分と目標との距離を測ることができ、そこまでどのようなステップを踏むべきかを考えることに集中できます。学生のみなさんも、在学中に様々な人の話を聞き、その人がどのようなステップを踏んで現在に至ったのかを聞いてみると良いでしょう。特にお勧めするのは、就職を希望する組織で働く大学のOB・OGを訪ねてみることです。卒業生を見つけられなくてもあきらめず、代わりに話を聞ける人がいないか、積極的に探してみる姿勢があってもいいと思います。

あいまいな夢を追いかけるのではなく、目標は時間軸を持ち、できる限り明確に。実現するための具体的なステップについては、色々な人を参考にしながら自分自身の計画を立て、実行に移してみてください。