立命館大学 映像学部長 北野 圭介

映像学部は、「映像の時代に挑む」をテーマに設計され、2007年に開設されました。

映画とゲームを中心とした、現代のクリエイティブ産業を担う技術と創造性、さらにはマネジメント能力をもって社会で活躍することのできる学生が育っていくこと、それがわたしたちのミッションでした。映像学部では、この10年間、学生ならびに教職員がそのミッションのもとに研鑽と努力を積み重ねてきました。現在、力のある、多くの卒業生が、社会のなかで一翼を担っています。

けれども、学部開設以来のこの10年の間に、映像をめぐるテクノロジーはめまぐるしいほどに多様化してきました。誰しもが映像を作り、そして発信できる時代となりました。老若男女を問わず、幅広く映像と関わることのできる時代となったともいえるでしょう。マスメディアの世界のみならず、SNSひとつとってみてもわかるように、個人が駆使するメディアが世界を覆う時代となったのです。そんな時代に対応すべく、あらゆる分野を映像でつなぎ、社会の多様な期待に応える能力が強く求められはじめています。

実際、映像の技術、創造、経営に関わる知識を修得した学生そして卒業生が携わる領野も、おどろくほど拡がっています。障がい者支援に映像技術を用いる可能性を探っている学生もいます。食物連鎖の世界をシャーレ型のVRでシミュレートするシステムを発表する学生もいます。祇園祭など各種伝統文化の歴史的な世界が映像化する試みに従事する学生もいます。これらは映像学部開設の当初は想像もしていなかったような拡がりといえるでしょう。

考えてみれば、前世紀末よりあちこちで語られ、いまや人口に膾炙したともいわれる「情報化」や「情報社会」の実情は、各種メディアを通した情報が飛び交う社会であり、もっといえば、そうしたメディアの多くは映像を組み込んだものとなっています。朝起きてチェックするスマホの画面から、勉強や仕事の場面でのパソコン、大通りや商業ビルに掲げられた大小のディスプレイ、駅の券売機やコンビニにコーナーに設置されたモニタにいたるまで、わたしたちの生活は映像で溢れかえっています。思いきった言い方をすれば、現代社会とは映像社会とさえいえるかもしれません。映像に携わる者は、まさしく現代社会そのものに挑戦していく視野を必要とする時代となったのです。

映像学部生の活躍の場は確実に拡がっています。
そして、「映像」を教育・研究する映像学部の存在価値も時代と共に高まっています。

映像学部は、この先の10年を見据え、新たな課題を与えられているともいえるでしょう。むろん、映像の世界は映画とゲームが牽引している、そのことはいまも変わりはなく、わたしたちの軸足はそこにあります。今日にあっては、けれども、それらに加えて、映像テクノロジーの多様化と、生活圏へのそのダイナミックな浸透、それらも視界におさめておくべきだというミッションも加わったのです。そうした多彩な課題に挑戦し、社会を豊かにする使命感をもった新世代を育てていくことが求められているのだ、そうわたしたちは強く自覚し、次の10年に乗り出そうとしています。

在学生・卒業生の皆さん、またこれから映像学部をめざそうとしている皆さん、是非私たちと共に「映像の時代」に新しい風を起こしましょう。